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最終更新日 2025年5月9日
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記者会見の様子
令和7年度第1回定例記者会見を始めます。
まず、区民の皆さんも大変楽しみにされている新庁舎のカフェレストランについてです。
現在、3期に渡り工事を進めている本庁舎の2期棟の中に配置される予定で、令和8年9月中旬の2期工事竣工後である10月中旬頃にオープンを予定しています。この度プロポーザルを経て、カフェレストランの運営事業者が株式会社WATに決定しました。今後、区と運営事業者で厨房機器や内装等の協議を進め、開店の準備を進めていきます。運営事業者の作りたい店の雰囲気、デザインなどを可変的に決定できるよう、工事の打ち合わせ等も進めていきたいと思います。カフェレストランは2期棟の中庭テラス沿いで、区民会館に出やすい位置に配置されます。2期工事が進む中で、旧庁舎の特徴だった中庭を囲んで配置される庁舎群が見えてきます。さらに区民交流スペース、交流室、屋上など区民参加で作り上げます。現在はこの整備と併せて、運営手法などの検討、議論も進めているところです。カフェレストランは単なる区役所にある食堂レストランにとどまらず、区民の日常における大切な場、寄り添う場として、長く親しまれるよう準備を進めていきます。
令和6年5月から本格的に2期工事に着手して約1年が経ち、東棟・西棟ともに工事の大幅な遅れによりご心配をおかけしましたが、施工者である大成建設株式会社との協議により再設定した工程は遅滞なく進んでいます。旧庁舎は解体され、地表から深さ13メートルまで掘削作業が終わっています。工事用の仮設通路を構築の上、これより鉄筋からコンクリート型枠といった建設資材の運搬・組み立てを繰り返し、基礎工事を進めていくところです。
本庁舎等整備工事において、大成建設株式会社の工程見誤りによる大幅な遅延、またそれに伴う違約金が発生しました。当初の契約における工期を履行することができなかったという契約違反に対し、世田谷区指名停止基準に基づく措置として、令和6年3月28日付で、大成建設株式会社を令和8年3月27日までの2年間、指名停止としています。そして今回、現場の監理技術者が令和7年4月から交代したことに伴い、新たな違約金発生と指名停止措置の実施を予定しています。監理技術者とは、施工計画の作成や工程管理の他、工事に従事する技能者等への指導監督の職務を行う人で、この監理技術者が持つ施工実績は、本庁舎等整備工事における技能提案型総合評価方式による入札時の評価項目でした。今回、交代した監理技術者の実績が、入札評価時の監理技術者の実績と同等以上ではなかったことから契約上のペナルティが生じたものです。本庁舎等整備工事の全体竣工は、令和11年4月下旬の予定です。まずは令和8年9月中旬の2期工事竣工に向けて、引き続き安全第一で工事を進めていきます。
次にせたがや防災ギフトについてです。
令和6年度、在宅避難の推進として1人当たり3,000ポイントを付与して防災用品を選んでいただくせたがや防災ギフトを実施しました。50万世帯に送付して申込率は76%、申込世帯数は38万世帯を超え、管理トイレやモバイルバッテリー、ポータブルソーラー充電器、ティッシュ、トイレットペーパーなどの消耗品セットが人気商品でした。WEBによる申込みが全体の約6割で、その方々に防災に関するアンケートを実施したところ、回答率が96%と21万件を超える回答をいただきました。せたがや防災ギフトについて、「家庭での防災意識を高めたり、備蓄を促すのに有効だと思いますか。」という質問に対し、84%の方が「はい」という回答でした。また、「カタログだけでは足りないものを自分で購入しようと思いますか。」という質問に対しては、足りないものは自分で購入しようと思った方が85%でした。「あなたのご家庭では、災害に備えて水や食料は何日分備蓄していますか。」という質問に対しては、半分以上の方が3日以内の備蓄という回答で、より備蓄している方が約2割、備蓄をしていない方が17%でした。また分析の結果、備蓄をしていない世帯の人気商品が、モバイルバッテリーや保存水、簡易トイレなどであることが分かりました。現在は備蓄をしていない世帯の皆さんにも、在宅避難に備えた備蓄をするきっかけになったのではないかと考えています。
さらに、「災害時に地域や近所の住民同士でどのような支援(手助け)ができると思いますか。」という質問において、集合住宅世帯はそれ以外の世帯と比べて、在宅避難や共助の意識がやや低い結果が出ました。この結果を踏まえて今年度、区ではさらなる在宅避難推進のため、マンション防災共助促進事業として、希望するマンションの管理組合、賃貸マンションの所有者や管理会社、居住者の代表の方を対象に、1棟当たり最大30万円の防災備品を配布します。配布予定棟数は1,000棟としています。申込期間が令和7年6月16日から12月15日で、メール・FAX・郵送のいずれかで受け付けます。事業の対象となるマンション居住世帯は25万世帯で、その世帯にはマンション向けの啓発冊子を作成し、配布する予定です。また、在宅避難を理解できる動画なども、順次配信していきたいと思います。マンションの防災問題は地域内で課題になり、住んでいる方も不安な点として認識されていると思います。なかなか区の情報が届かず、日常的に地域との繋がりが薄いという方にも、今回の配布事業をきっかけに、マンションの管理組合をはじめ、管理人や管理会社の代表などのネットワークを作り、今後も連絡や様々な話し合いができるようなキックオフにしたいと思います。
次に横尾忠則さんの展覧会についてです。
「連画の河」と題して、6月22日まで世田谷美術館で開催されています。若い頃からニューヨーク近代美術館で個展を開催され、グラフィックデザイナーから画家に転身し、88歳にして精力的に作品を展開されています。
今回の個展では、横尾さんがデザインした2.3メートル×1.8メートルの大変大きな作品が、62枚も並んでいます。1枚の同窓会の写真をイメージの起点として、どのように展開させていくかは考えずにキャンパスに向かい、次々に描いていったということです。一昨年から一挙に1年半かけて創作に向かったそうで、今回の展覧会は世田谷美術館のみの開催で、すべて新作という大変意欲的な企画です。実際に見てみると、1枚1枚に入れ込んだ思いが大変激しく、また温かく伝わってきました。新しい美術・絵画の境地を、世田谷美術館で初公開できるということは、区立美術館という土台があってこそではないかと感じています。横尾さんの連画は、和歌の上の句を受けて、別の人が下の句を出し、さらにインスピレーションを受けて別の人が上の句を出すという、当時の文化人・教養人の娯楽であった連歌の発想で挑まれ、完成したものです。ぜひご覧になっていただきたいと思います。
次に第12回宇奈根の渡しについてです。
始まりは12年前、喜多見児童館の子どもたちが、大田区まで多摩川沿いをウォーキングする企画から、大田区の渡し舟の船着き場の記念碑を見つけ、かつて世田谷区宇奈根と川崎市宇奈根を結んでいる渡し舟があったことを知りました。子どもたちが色々と調べていく中で、渡し舟があった頃に船頭を手伝っていた方が子どもたちのために渡し舟を作ってくれました。そして12年前、完成した渡し舟を漕いでいき、対岸で待つ川崎市長を乗せて、200人ほどの地域の人たちが拍手で待つ世田谷側にまた戻ってくるという交流を行いました。以来、雨による川の増水などで中止することもありましたが、昨年は105人の子どもたちが多摩川の遊覧を楽しみました。今年は5月11日に予定しており、現在、子どもたちが練習に励んでいることと思います。小学生の頃に船頭役を担当した中学生が技術を継承しており、さらには12年前に小学生であった子どもたちが今では大学生世代となって、サポートする立場に回っています。今年度も会場では、地域の方々や中高生・若者世代、青少年交流センターによるゲーム体験、軽食など各コーナーを実施する予定です。舟の乗車券は既に事前配布が始まっていますが、当日券も用意しますので、ぜひご来場いただければと思います。当日は宇奈根1丁目の多摩川河川敷で、午前10時から午後3時まで開催します。前日に大雨が降って多摩川が増水するなど、天候によっては中止になりますが、穏やかな日であれば、楽しんでいただけると思っています。
まず、世田谷区子どもの権利条例についてです。
世田谷区は、国連子どもの権利条約に掲げている理念のもと、子どもたちが健やかに育ち、そして尊重される社会をつくるために取り組んできました。平成13年、23区で初となる、国連子どもの権利条約を踏まえた「世田谷区子ども条例」が制定されました。それから20年が経過し、日本でも、子どもの権利条約を踏まえた国内法として「こども基本法」が成立し、令和5年4月に施行されました。それを踏まえ、「世田谷区子ども条例」を改正し、令和7年4月より「世田谷区子どもの権利条例」として施行しました。
子どもの権利条約では、子どもたち・若者たちは、自らに関わる社会事象に関して、その成長に応じて意見を述べることができることが掲げられ、こども基本法でも意見表明権が強い柱となっています。
そこで、世田谷区子ども条例の改正にあたっても、子どもたちの声を聴くだけではなく、1歩進めて、中高生を対象にした、子ども条例検討プロジェクトを立ち上げ、条文の内容を検討し、子どもの思いや意見を反映しました。子どもの意見を前文に記載したほか、子どもの権利条約を引用するなど、特に重要と考えた権利を明示して子どもの権利を具体的に規定しました。一方で、権利を明示することとあわせて、基本となる政策においては、子どもが社会において責任ある生活を送るために、自分自身に子どもの権利があることや、また、同時に大人や他の子どもたちにも権利があり、互いに認め合い尊重することが大切だということも、しっかり押さえていこうという議論がなされました。このように議論や検討を重ねて、子どもの権利を基盤とした総合的な条例ができました。私も、子ども条例検討プロジェクトの最終日に参加しましたが、大学生世代が伴走者になりながら、大変熱心に子どもたちから意見が出て、案文が次々と修正されていきました。本条例のパンフレットは、デザインが立体的でクロスワードパズルも掲載されています。この開いてみたくなるようなパンフレットのデザインは、小学生から中学生・高校生まで参加した「子ども版パンフレット編集会議」において、子どものアイデアから生まれました。「中に何か隠れているのではないか」と思わせるような、単にめくるよりも、リアルに見える立体的なデザインにこだわったものです。また、先ほど紹介したクロスワードパズルでは、パンフレットの中身を読み、理解をして解いていくという仕掛けになっています。子どもの権利条例案文も、また、こういったパンフレットも、子どもたちの参加によりできているということをご紹介したいと思います。
次に、世田谷区保育の質ガイドラインの改定についてです。
世田谷区保育の質ガイドラインは平成27年3月に策定しており、ちょうど10年が経過しました。この間、区内の保育施設などで虐待や不適切な保育の事案、重大事故等が発生して対応する中で、子どもの権利を守る保育の重要性がより高まっています。そのため、ガイドラインを改定し、子どもの生活の場・学びの場・支援の場において、子どもの権利を具体化することが重要であるということを、改めて明確に示そうということになりました。改定にあたっては、世田谷区子どもの権利条例あるいは世田谷区子ども・若者総合計画(第3期)の内容を踏まえて議論を重ねてきました。
本ガイドラインが、子どもの権利を中心とした保育を実践するための指針となるよう、ガイドライン冒頭では、子どもの権利条約に示される4つの原則の内容を、「私との8つの約束」という子どもの視点からの願いとして記載し、しっかり保育者、あるいは保育事業者の皆さんが受けとめるということで作られています。また、ガイドラインを改定するにあたり、すべての施設に通う子どもやその保護者、これから施設に通う子どもの保護者などへ、期待したい内容について幅広く意見を聴きました。例えば「無理に叩いたり、大きな声で怒ったりしないでね」「大人に対して言わないこと・しないことは、私たちにも言ったり、したりしないで」など、それぞれの声を聴き取り、ガイドラインに反映していきました。
保育の質ガイドラインについては、かつて世田谷区内の待機児童数が非常に多く、待機児童の居場所・保育の場所として毎年10園以上の保育施設を整備していた時期にも、新たな保育施設整備事業者に職員が作成したチェックリストで保育の水準を示して確認するなどしていました。これを、子どもの権利を保障した保育ができるように、「私との約束」として子どもの視点から記載をしていったということです。保育と一言で言いますが、本ガイドラインでは様々多面的に、子どもについてどんな基本姿勢で関わるのかということを、子ども目線に変えて10年ぶりに内容を更新したものです。
続いて、令和7年3月に、せたがやインクルーシブ教育ガイドラインを策定しました。
令和5年度末に、区内小・中学校の全管理職及び教員を対象としたアンケートを実施し、小・中学校ともに9割近くの教員が、支援が必要な児童・生徒への対応が難しいと回答しています。このような状況を踏まえ、庁内関係所管や学校関係者、外部の有識者も交えたガイドライン作成委員会を教育委員会の事務局内に設置し、区民意見募集やシンポジウム、各種団体や当事者のヒアリング等を通して検討を重ね、本ガイドラインを策定しました。
インクルーシブ教育を実践する現場の教員に向けて、目指すべき方向性と、1歩ずつ進めるための教育委員会の考え方や視点、事例や実践のポイントを示すことで、目の前の子どもたちに起きている状況をどのように捉えるべきか考え、主体的な成長を促す学級運営や指導の工夫や配慮など、学校・教員としての行動に繋げてもらうために策定したものです。
区ではこれまで、障害のある子どもたちや医療的ケアが必要な子どもたちを、通常学級で受け入れてきました。年齢・性別・性的指向及びジェンダーアイデンティティ・国籍・障害等に関わらず、全ての子どもが同じ場所で共に学ぶことが大事で、誰もが自分らしく学校生活を送れるための教育を推進していきたいと思います。それぞれが個性や背景を持っていることを前提に、相互理解と尊重が当たり前となるような子ども同士の繋がりを築くことを、本ガイドラインを通じて、現場の教員に理解してもらうことを目標にしています。
また、インクルーシブ教育を1歩ずつ進めていくにあたり、具体的に5つの土台となる考え方を示しています。学校における行動コンセプトとして、「子どもたちが決める」、「一人ひとりに応じたきめ細かな指導や対応の充実」、「見守り、伴走する」、「子ども同士のつながりを大切にする」、「教員の専門性の向上」の5つです。また、この行動コンセプトの実践ポイントとして、当事者である児童・生徒や保護者が感じたこと、やって欲しかったことなど様々な声を反映し、事例1「対応の引継ぎと丁寧な調整に基づいた支援」から、事例11「思い込みや偏見」に至るまで、11の事例を掲載しています。
本ガイドラインは、区立小中学校の全教職員をはじめ、非常勤講師や各種支援員など、学校のサポートに入る様々な方に1人1冊配布していきます。また、関係所管や民間機関にも幅広く広げ、今後は職員会議や校内研修、チェックリストを活用した自己研鑽、保護者会や地域への発信等において活用していきます。
ガイドラインができたからインクルーシブ教育ができたわけではなく、ガイドラインが策定され、インクルーシブ教育をさらに充実させていく最初のスタートラインができたものと理解しています。また、ガイドラインを現場の教員の皆さんと学校がどのように受けとめ、変わっていくのかということに注目し、欠けている内容があれば更新していきたいと考えています。なお、せたがやインクルーシブ教育ガイドラインは、他自治体の事例等を参考にしたものではありません。
政策経営部 広報広聴課
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