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最終更新日 2026年4月7日

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若い視点で見つめる脱炭素のまちづくり~成城エリアで進む高校生の課題研究と地域連携の成果

世田谷区では、成城地区を舞台に、地域とともに脱炭素社会の実現をめざす「持続可能な地域づくり SEIJO GREEN CITY」を推進しています。この取組の一環として、都立総合工科高校の生徒が、地域の実情や区の施策を題材に1年間の課題研究に取り組み、行政と学校が連携した学びを深めてきました。

本ページでは、研究の概要や成果、そして活動を通じて生徒が得た気づきや視点を紹介します。

都立総合工科高校 生徒による課題研究

研究テーマ

持続可能な社会に向けた地域戦略の分析~世田谷区脱炭素地域づくり事業の連携を通して~

研究の目的

本校がある成城地区は、世田谷区から「脱炭素地域づくりモデル地区」に指定され、脱炭素と同時に地域課題を解決する「脱炭素地域づくり」のまちづくりに取り組んでいます。私は高校生代表としてこの事業に参画し、地域戦略の分析を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目的としました。

研究の概要(活動内容)

1.環境問題に対する意識と実態把握

  • 意識調査: 世田谷区がアンケートを実施。そのことを受けて地域住民へインタビューを実施。
  • 高い環境意識: 脱炭素化に肯定的であり、日常生活レベルの省エネは既に実践済み。
  • 行動の限界: 従来の節電手法だけでは大幅なCO2削減は難しく、次のステップが求められている。
  • 再エネの必要性: 太陽光発電等の「高度な脱炭素行動」へのシフトが急務。
  • 数値比較: 世田谷区の太陽光導入率は3.88%。23区内では上位だが、足立区や練馬区に比べると向上させるポテンシャルがある。

2.世田谷区成城地区の現状

  • 住宅都市の限界: 土地の7割が住宅地。大規模な発電施設の建設は困難。
  • 個別住宅の可能性: 低層住宅が多く、日当たりの良い「屋根」が最大の資源。
  • ポテンシャル: 年間約2,000件の建築・更新があり、最新設備導入のチャンスがある。

3.推進を阻む「2つの壁」

  • 壁(1):年齢層の高さ(心理的・技術的ハードル)
    • 設置費用や耐震性への不安から、太陽光発電の導入を足踏み。
    • 最新システムの操作に苦手意識があり、従来の「節電」に留まっている。
  • 壁(2):富裕層の多さ(消費スタイルの課題)
    • 質を重視する消費が中心で、環境負荷の高い生活になりやすい。
    • 中古品利用などの「リユース」が進みにくい。

4.解決策(ネクストステップ)

  • 「安心」の可視化: メリットだけでなく、リスク回避策を含めた情報提供で認知度を向上。
  • 「快適さ」への価値転換: 脱炭素を「我慢」ではなく、健康・快適・安全性の向上という自分事のメリットとして提案する。

5.高度な脱炭素化に向けた具体的な提案

(1)広報・普及啓発の強化

  • パンフレット制作協力: 太陽光発電・断熱改修・省エネ家電のメリットや補助金をPR。
  • 移動・消費の変容: 公共交通機関の利用、EV導入、食品ロス削減を呼びかけ。
  • 循環型社会の推進: 製品の長期利用(メンテナンス)や、寄付による森林再生への参画。

(2)デジタルメディアの活用(SNS運営)

  • Instagramの運営支援: 景観や取組をリール動画で発信し、視覚的な共感を集める。
  • 双方向の交流: 専門家とのライブ配信、ハッシュタグキャンペーンによる参加型企画。
  • ライフスタイルの提案: エコラベル(FSC等)の選択、リユースアプリの活用術を紹介。
  • 地域連携: 学校・団体と協力したワークショップや教育プログラムの告知。

(3)独自のクリエイティブ&国際視点

  • LINEスタンプの提案: 「創エネ(再エネ)」をテーマに、親しみやすい猫のキャラクターで脱炭素を身近に。
  • 英国研修の知見活用:
    • 食品ロス対策: 「コミュニティ冷蔵庫」による共有の仕組み。
    • 脱プラ推進: 包装税の導入事例と再生プラスチックの活用。
    • 再利用文化: チャリティーショップを通じた寄付と販売の循環。

6.本校の脱炭素化の取組

  • 太陽光発電の効率化(令和6年度課題研究テーマ)
    • 太陽を自動で追いかける「軸変動式太陽光発電システム」の模型を製作・検証。
  • エコ1チャレンジカップ参戦:
    • 自作電気自動車(EV)で走行性能を競い、エネルギー活用の重要性を体験(2024年大会 第4位)。
  • 制服リユース(PTA連携):
    • 文化祭でのリユース販売を継続。卒業生の制服等を次世代へ繋ぐ循環を実現。

7.考察:次世代太陽電池への期待と課題

  • 現状: 全世帯への太陽光パネル設置が有効だが、従来型(シリコン製)は重く、設置場所が限られる。
  • 次世代型「ペロブスカイト太陽電池」の注目点:
    • 利点: 「軽い・薄い・低コスト」であり、設置場所の制約を解消する救世主。
    • 課題: 低い耐久性や主原料(鉛)の毒性解消が普及の鍵。

8.今後の展望

  • 情報発信の継続: 最新の技術開発(ペロブスカイト等)を注視し、適宜、情報発信する。

主な成果・気づき

私が住む近所でよく見かける太陽光発電ですが、実は導入のハードルが高いことを知りました。コスト面はもちろん、初期投資の回収シミュレーションやメリットの検討など、設置までに多くの準備が必要なのだと学びました。
そんな中、世田谷区の温室効果ガス削減に向けた独自の施策や、地域住民による「マイアクション」に参加できたことは、私にとって非常に良い経験になりました。

苦労した点

太陽光発電を普及させるための案を自分なりに考えましたが、調べてみると、思いついた案はすべて既に実行されており、それでも普及が進んでいないという厳しい現状を知りました。そこからさらに新しい案を練り上げるのは、非常に難しかったです。
 今回、世田谷区の方と連携して研究に携わることができ、光栄でした。先生や世田谷区の職員の方々に支えられながら進めてきましたが、文章をまとめるのが苦手なため、最後までかなり苦労しました。

研究を終えての感想

環境破壊への危機感やSDGsへの関心から始めた研究でしたが、想像以上に多くの工夫が世の中になされていることに驚きました。特に太陽光発電のコスト削減や技術開発に向けたメーカーの努力を知り、その努力に圧倒されました。脱炭素化に向けてアイデアを出し続ける世田谷区の職員の方々の姿にも、心から感銘を受けました。
 今回の研究を通じ、ただ興味を持つだけでなく、節電・節水や洋服のリサイクルなど、私たちの未来のために、今自分たちができることを積み重ねていこうと感じています。
 お忙しい中、私の課題研究をサポートしていただき、本当にありがとうございました。将来に活きる貴重な経験となりました。

区職員からのコメント

成城エリアの脱炭素地域づくりを研究テーマとして選んでくれたことを、とても嬉しく思っています。
 1年間、何度も話し合いを重ねながら一緒に進めることができ、行政と学校が密に連携することで、地域全体で取り組む意義を改めて実感しました。調査の進め方や視点の深め方など、生徒さんの姿勢から私たちも多くの刺激を受けました。また、この連携を支えてくださった先生方にも心から感謝しています。今回の経験が、これからの学びや地域との関わりに少しでも役立てば嬉しいです。

お問い合わせ先

環境政策部 気候危機対策課  

ファクシミリ:03-6432-7981