表紙 世田谷区移動等円滑化促進方針 概要版 施設の利用と移動に関するバリアフリー化の促進 人にやさしいまちづくり ともにいきる せたがや 令和5年(2023年)6月 1ページ目 第1章 はじめに 背景と目的 区では、区民のだれもが安心して暮らせるまち、人々とのふれあい、支えあいながら生き生きと活動できるまちをめざし、福祉のまちづくりを推進してきました。 平成19年3月に世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例 (以下「UD推進条例」という。)を制定した後、それに基づく計画として世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画(以下「UD推進計画」という。)を平成21年3月に策定し、世田谷区ユニバーサルデザイン環境整備推進地区(以下「UD推進地区」という。)を中心にユニバーサルデザイン(以下「UD」という。)の考え方に基づく取組みを推進してきました。 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、心のバリアフリーといったソフト面での取組みの推進や新たに移動等円滑化促進方針に関する制度を追加するため、高齢者、障害者等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)が改正されました。 本区は、令和元年10月に「先導的共生社会ホストタウン」に認定されたことを受け、UDのまちづくりや心のバリアフリーの推進などにより共生社会の実現に向けた取組みを推進していくこととしています。 UD推進条例の取組みをさらに推進するために、バリアフリー法に基づく「世田谷区移動等円滑化促進方針(以下「促進方針」という。)」を策定します。 促進方針の位置づけ 移動等円滑化促進方針とUD推進計画との関係性等を整理した図を記載しています。 国の法律、都の条例、区の分野別の計画、方針との関係性も併せて整理しています。 世田谷区におけるユニバーサルデザイン推進の取組み UD推進条例 UD推進条例では、不特定又は多数の者が利用する庁舎等の公共施設や病院、駅などを公共的施設として定め、新設、改修時に各種基準に適合するように指導しています。 UD推進計画 UD推進計画では、生活環境の整備に関する目標や基本方針、施策・事業を明示し、ユニバーサルデザインによるまちづくりを進めています。 UD推進地区 梅ヶ丘駅〜豪徳寺・山下駅周辺地区 区役所周辺地区 千歳烏山駅〜芦花ホーム周辺地区 成城学園前駅周辺地区 深沢1〜4丁目周辺地区 促進方針とは 高齢者、障害者等が利用する施設が集積している地区において、移動等に関する面的・一体的なバリアフリー化の方針を区が示すものです。 なお、策定後、移動等円滑化の状況について概ね5年ごとに調査するとともに、必要に応じて促進方針の見直しを検討します。 促進地区・生活関連施設・生活関連経路のイメージ図があります。 促進地区 バリアフリー法に基づき、移動等円滑化を促進することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区を促進地区として区が定める。 生活関連施設 駅や官公庁施設、福祉施設、商業施設などのうち、高齢者、障害者等が、日常生活において多く利用する施設。 生活関連経路 生活関連施設を結ぶ経路のうち、高齢者、障害者等が、日常生活において利用する経路。 第2章 現状と課題 区の概況 人口・世帯数 約91万7千人・約49万世帯 高齢者・高齢化率 約19万人・約20% 障害者数 約3万人 外国人人口 約2万人 乳幼児人口 約4万人 道路網 都市計画道路の整備率5割弱 主要生活道路の整備率4割弱 公共交通 鉄道:3事業者により運行 7路線 合計41駅 路線バス:5事業者により運行 83路線 バリアフリー化の現状と課題 @UD推進条例に基づく取組み これまで、UD推進条例、UD推進計画に基づきUDの取組みを推進してきました。今後更なるUD推進を図るため、既存の鉄道駅やその徒歩圏に立地する公共的施設、そこへ至る道路、信号機等における面的・一体的な施策の推進が必要です。 A交通バリアフリー法に基づく取組み 三軒茶屋駅周辺地区では、交通バリアフリー法に基づく「交通バリアフリー基本構想」を策定し、鉄道駅や周辺道路等における重点的な取組みにより、バリアフリー化が進められています。 その後、総合的・一体的なバリアフリーを推進するため、交通バリアフリー法とハートビル法を統合・拡充しバリアフリー法へと改正され、新たな基準も追加されました。今後、更なるバリアフリーを推進するため、改正された法の趣旨を踏まえた、全区的なバリアフリー化の促進が必要です。 B各施設のバリアフリー化の現状 各施設のバリアフリー化については、UD推進条例等により一定のバリアフリー化が図られていますが、改正バリアフリー法や移動等円滑化整備ガイドラインの改訂内容(バリアフリーのまちづくりに向けた地域における取組の強化、踏切での視覚障害者の誘導について等)を踏まえ、さらなるバリアフリー化の促進が必要です。 促進方針の策定に向けた課題 課題1:UD推進計画と一体的な施策の推進 課題2:区全域におけるバリアフリー化に向けた方針の設定 課題3:今後の取組みのモデルとなる地区の設定と他地区への展開 第3章 促進方針の基本目標と基本的な考え方 本区における既存の取組みを更に推進するため、第2章で示した課題の解決に向けて、以下に3つの基本目標を示します。 施設の利用と移動に関するバリアフリー化の促進に向けて 基本目標 基本目標1 UD推進条例を補完し、一体的な施策推進により区全体の底上げを図る。 基本目標2 教育や啓発による心のバリアフリーを推進するために、取り組み内容を具体的に示す。 基本目標3 「モデル地区」を促進地区として設定し、更に取組みを進めたのち他地区へ展開する。 第4章 区全域における方針 区全域におけるバリアフリー化の取組を促進していくにあたり、施設整備などによるハード面におけるバリアフリー化とあわせて、心のバリアフリーや情報のバリアフリーなどのソフト面におけるバリアフリー化の促進が必要です。区の関連計画とも連携し、区全域におけるバリアフリー化の促進のために必要な以下の取組みを推進します。 @施設のバリアフリーの促進 公共交通、道路、建築物など個々の施設については、関連する条例、基準等に基づき整備します。 さらに、接し合う施設設置管理者が連携・協力し、移動の連続性に配慮したバリアフリー化を促進します。 また、踏切など、道路と公共交通施設とが交差し合う場合も連携協力し、バリアフリー化を促進します。 接し合う施設設置管理者の連携・協力による移動の連続性に配慮したバリアフリー化のイメージ図があります。 公共交通施設  鉄道 可動式ホーム柵の設置エレベーターの大型化など バス  停留所へのベンチ上屋の設置など タクシー 接遇研修の定期的な実施UDタクシーの導入など 道路 踏切の安全性確保 歩道橋設置箇所のバリアフリー化など 交通安全施設 音響式信号機の増設 横断歩道へのエスコートゾーンの設置など 公園 設備やトイレなどの安心安全の取組み 建築物 各種基準、ガイドライン、UD推進条例に基づいた整備推進など A情報のバリアフリーの促進 すべての人が必要な情報を必要な時に適切に得ることができるようにするため、以下の取組みを実施し情報のバリアフリー化の促進を図ります。 @ 事前の情報収集の円滑化 各施設のHPへのバリアフリー情報掲載やそれらの更新の促進など A 現地での情報提供 ICT を活用した情報提供機器の設置、窓口担当者への心のバリアフリーや情報のバリアフリーの普及・啓発の推進など B 情報保障の充実 催事や会議等における興行主や施設設置管理者に対する情報保障の充実の促進など 多様な人に配慮した情報の種類のイメージ図があります。 B心のバリアフリーの促進 「不便さ」、「不自由さ」は、機械や設備だけで解決できるものではなく、一人ひとりが、高齢者や障害者の気持ちになって考え、協力していくことが心のバリアフリーです。  行政、施設設置管理者、区民が連携・協力し、以下3つの視点の取組みを実施し、心のバリアフリーを促進します。 @ 理解 障害当事者による講座やワークショップを実施するなど、様々な人への理解など A 接遇 公共交通機関などでの人的対応の充実など 心をこめたコミュニケーションと気づかいを実践した接遇の普及など B 交流 障害者がスポーツ・レクリエーションに親しむ機会の充実など スポーツ・レクリエーション活動を通じた障害のある人とない人との交流促進など 理解、接遇、交流の様子の写真があります。 C商店街におけるバリアフリーの促進 梅ヶ丘駅〜豪徳寺駅・山下駅周辺地区および区役所周辺地区の商店街でこれまで実施されてきた取組みを、移動等円滑化における世田谷らしさと捉え、ハード・ソフトの一体的なバリアフリー事例として更に磨きをかけ、商店街のバリアフリーを促進していきます。 商店街のバリアフリーの促進に向けた写真があります。 第5章 促進地区 促進地区の選定 モデル地区として最も効果の高い地区を促進地区に設定するにあたり、これまでUDのまちづくりを重点的に進めてきた5つの総合支所管内におけ る UD 推進地区の中から、取組み実績、バリアフリー法に基づく三要件(効果要件、 課題要件、配置要件)を踏まえ検討した結果、「梅ヶ丘駅〜豪徳寺駅・山下駅周辺地区」と「区役所周辺地区」を包括する『世田谷区役所周辺地区』を促進地区に選定します。 生活関連施設の設定 高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する駅や官公庁施設、福祉施設などを生活関連施設に設定します。 生活関連施設:旅客施設、公共・公益施設、文化・教育施設、保健・福祉施設、医療施設、商業施設、都市公園 生活関連経路の設定 歩行者ネットワークの形成を考慮したうえで、生活関連施設間を結ぶ経路を生活関連経路に設定します。 促進地区における配慮事項 配慮事項は、まち歩きでの意見、世田谷区移動等円滑化促進方針策定協議会での意見を参考に配慮すべき事項として区として取りまとめたものです。各施設設置管理者により可能な限り配慮することとします。 1 施設のバリアフリーの促進 各施設設置管理者の連携協力による施設の安全性確保など 2 情報のバリアフリーの促進 各施設設置管理者の連携協力によるわかりやすいサイン整備など 3 心のバリアフリーの促進 すべての人にとって易しい社会となるための研修実施など 4 商店街のバリアフリーの促進 商店街で取組むバリアフリーの推進など 行為の届出制度 促進地区では、多くの人が往来する鉄軌道の駅と道路とが接する部分について新設・改修等などを行う場合、当該管理者は区に届出が必要となります。 届出制度の流れの図があります。 第6章 促進方針の実現に向けて 取組みの方向性 協議会や多くの区民の意見を反映させた本方針に記載した事項を今後具現化していくためには、引き続き関係者が一丸となって取組んでいく必要があります。今後の関係者による取組みの方向性を以下に示します。 (1) 周知・啓発と連携・協力 @ 区民、施設設置管理者、行政機関等をはじめとする関係者に対し、世田谷区移動等円滑化促進方針の内容を周知・啓発する。 A 教育や啓発により心のバリアフリーの促進に取組み、区民意識の醸成に努める。 B 区民、施設設置管理者、行政機関等と連携・協力しながらバリアフリー化を推進し、面的・一体的なバリアフリー化の実現に取組む。 (2) 世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画との一体的な推進 @ 本方針とUD 推進計画とが一体となって、世田谷区のUD を推進するよう努める。 A 本方針は、「世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例」をはじめ、様々な条例・方針・計画等との整合・連携を図りながら、地域共生社会の実現をめざす。 (3) 促進地区の他地区への展開と区全体のレベルアップ @ 促進地区内の生活関連施設及び生活関連経路管理者に対し、配慮事項を踏まえた整備や維持管理を促し、促進地区内の移動等円滑化のレベルアップを図る。 A 促進地区の良い部分を区内の他地区へ展開し、将来的には区全体のレベルを更に引き上げる。 B 他地区への展開にあたっては、市街地開発事業などの面的整備の機会を捉えるなど、効率的に一体的な整備が可能となるよう配慮するとともに、5つの総合支所の地区特性を踏まえた柔軟な展開を図るものとする。 促進地区における重点的な取組み (1) 「うめとぴあ」、区役所本庁舎の移動等の円滑化 区は、うめとぴあ周辺と、建て替えを進めている世田谷区役所本庁舎周辺の移動等円滑化に向けた取組を進めます。 ・ICTの活用を含めたサイン整備の検討をする。 ・生活関連経路の点検を行い、必要に応じた改修等を実施する。 (2)商店街の心のバリアフリーの促進 区と商店街とが協力しながら、促進地区内の商店街に対し心のバリアフリー等に関する普及啓発活動を実施します。 ・本方針の周知する。 ・ワークショップ等の手法を取り入れた普及啓発活動の実施する。 (3) 交通事業者等との連携 鉄道事業者は、「道路の移動等円滑化に関するガイドライン(令和4年6月国土交通省)」などによる、鉄軌道施設の円滑な利用や安全確保について、区に対して情報共有しながら検討を進めます。 なお、促進地区内においては、(1)、(2)の取組と共に、区と交通事業者等が連携・協力し取組を進めていきます。 世田谷区移動等円滑化促進方針(概要版) 発行年月 令和5年6月 編集・発行 世田谷区 都市整備政策部 都市デザイン課 住 所 〒158-0094 世田谷区玉川一丁目20-1 電 話 03-6432-7151 FAX 03-6432-7996