区長記者会見(令和6年5月10日)

最終更新日 令和6年5月22日

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会見を行う区長
記者会見の様子

令和6年5月10日(金曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。新しいウインドウが開きます

PDFファイルを開きます会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。

区長あいさつ

令和6年度第1回の会見を始めます。新庁舎に移転して初めての記者会見です。よろしくお願いします。

発表に入る前に、まず令和6年能登半島地震への区の支援についてです。

区では、令和6年能登半島地震の被災地支援として、「世田谷区能登半島地震災害支援金」の募集を始め、令和6年5月9日までに2,012万1,337円の支援をいただいています。このうちの一部について、特に大きな被害を受けた石川県珠洲市と輪島市に500万円ずつ寄贈することとし、4月26日に両市を直接訪問し、寄付金をお渡しするとともに、市長と懇談して、現地を視察してきました。

まず、珠洲市に訪れ、泉谷市長との懇談のなかで、発災直後から現在に至るまでのお話を伺いました。まだ、珠洲市役所も水道が復旧しておらず、トイレも、仮設のトイレ車で賄っているとのことでした。珠洲市全体としても、人手が足りず大変だと伺いました。

津波の被害を受けた現場も訪問し、発災直後の光景が、まだ広がってる状況でした。

地震によって地盤が隆起してしまい、比較的新しく作られたと思われる神社の石柱や社殿が崩落している現場も視察してきました。

次に、輪島市の坂口市長にお会いし、被災状況を伺いました。輪島市は東京都の対抗支援自治体でもあり、千歳烏山商店街の夏祭りに輪島市の商工会が参加され、市議会の関係者などが訪問されるなどの交流があります。

輪島市役所も、地盤の隆起により被害を受けており、市内のビルが倒壊した現場も視察しました。

朝市通りの火災では、地震による消火栓の破損により、消火用の水を確保できず大変困難であったと伺いました。輪島市は漁業が盛んですが、多くの船が海底の隆起により持ち上げられてしまい、船を動かすことができないとのことでした。市長によると、岩盤を掘削して船を浮かべ、壊れていないかどうか、一つずつチェックし再び漁を行えるかどうかを準備している段階で、漁業の再開に途方もない労力が必要になるというお話も伺いました。

両市に対して、区としても、23区や都を通した支援の仕組みの中で職員の派遣などを行っていますが、必要な支援があれば、ぜひリクエストしていただき、区として対応できるか検討して、しっかりとお答えしますとお伝えしました。

区では現在も支援金を募集していますが、今後も被害の実態を伝えるとともに、被災自治体へ届けた支援を区民の皆さんに報告し、さらに被災地支援の機運を高めて長期的な支援につなげたいと思います。

次に、若手職員等による「提案型プロジェクトチーム制度」についてお話しします。今年度、基本計画や新たな行政経営への移行実現プランをはじめ、様々な計画がスタートしています。その中で、若手職員による提案型プロジェクトチーム制度を作っていくこととなりました。

世田谷区は5,000人を超える大きな組織ですが、職員一人一人が能力を発揮し、創意工夫しながら多様化する課題に挑んでいくためには、これまでの人材育成手法だけではなく、職員が自らスキルを習得し、伸ばしていくことができる「経験学習機会」の拡大が必要です。また、職員の意識調査を通じて、職員自身からも、自身の能力やスキルを他の職場の業務に活用してみたいという意向が一定数出ています。

この間、団塊の世代の退職を経て、年齢別の職員構成として、35歳以下の若い世代の職員が4割を超えています。これまでの長い行政の歴史の中で安定した時代、業務を緻密に細分化して分担し、いわゆる縦割りと言われるような、各自の持ち分をしっかり進めて行くというだけでは解決することができない問題が、現代では多く出てきている状況です。そうした中で、若い世代の職員がプロジェクトを提案できるような仕組みを作ろうということです。

この制度では、各所管部や職員個人から出された提案、例えば子どもに関わることであれば、子育て支援のこのような仕組みを作ってはどうかという提案について、担当の所管部と実際に話し合い、その仕組みが必要だとなれば、どうすれば実現できるのかというところまで、力を合わせて進められるよう目指していきます。

現在、職員からプロジェクトのテーマを募集しており、9月頃にプロジェクトチームを発足し、10月以降に運営を開始して実現に結び付けていってもらいたいと考えています。

次に、公共施設を利用した中高生への学習場所の提供についてです。中学生・高校生は、宿題や受験の勉強をしようという時に行くところがなくて困るという声を聞きます。図書館や青少年交流センターにも自習室はありますが、数が足りないと。また、子ども条例の見直しに向けて、子どもたちの声を聞いていく中でも、勉強する場所がないという声がありました。

そこで、区内の区民センターや地区会館などの利用率を調査し、利用率に余裕のある部屋を中高生の学習の場と位置付けて、開放していこうという取組みです。

令和6年3月から順次開始し、現在では太子堂区民センターや宮坂区民センターなど12施設で実施しています。始まったばかりで、まだ十分に中高生自身に伝わっていないので、告知に力を入れていきたいと思っています。利用時間帯は17時30分から21時30分まで、一部の施設では21時までです。開放日は施設によって異なります。積極的に活用していただきたいと思っています。

また、桜丘区民センターなど6か所の区民集会施設には、自習や読書、休憩など誰でも利用できる読書室やロビーなどもあり、中高生の自習専用ではありませんが、このような場所もあるということを積極的に案内していきたいと思います。

次に、新庁舎の内覧会開催についてです。区民の皆さんには5月19日(日曜日)9時から16時まで、事前申込不要で、新しい庁舎を内覧していただこうと考えています。

また、報道機関の皆さんには、5月18日(土曜日)に内覧会の開催を予定しています。セレモニー等もあり、庁舎をご案内しますのでぜひ取材していただきたいと思います。

次に、図書館ブックボックスについてです。

小田急線下北沢駅の構内に、宅配ボックスように本を受け取ることのできる図書館ブックボックスを設置しました。本を予約する際に指定すると、ブックボックスで受け取ることができる仕組みです。

大変多くご利用いただいており、開始から3日目には入庫待ちが発生しましたが、現在は3日程度でブックボックスでの提供ができる状況です。

4月の利用実績として、入庫件数402件で597冊、保管期限を過ぎて回収したのが84件で131冊、入庫待ち件数は336件で446冊でした。

現在は需要に対してボックスのキャパシティが少ないので、どのぐらい需要があるか、利用サイクルなど状況を見ながら、今後、区内にさらに展開していくことも考えたいと思っています。

次に、聞こえの支援として、中等度難聴者のための補聴器購入費助成についてです。

身体障害者手帳に該当しない、中等度難聴の方や片耳のみ高度・重度の難聴の方で、聴力の低下により周囲の皆さんとのコミュニケーションが難しくなっている方がいらっしゃいます。そうした難聴の方々に補聴器を適切に装用いただくことで聞こえの支援となりますが、補聴器が高額であることから、購入をためらわれている方もおり、支援の必要があると考え実施したものです。学校での人間関係の構築や職場での意思伝達のほか、高齢者の認知機能の低下防止など、ライフステージに応じた生活の質の向上を目指しています。

これまで、18歳未満の中等度難聴の児童を対象とした補聴器助成を行ってきましたが、これを高齢者までの全世代に拡充しています。4月の1か月の間に、200件を超えるお問い合わせをいただいており、申請をいただいた方から順次、助成金を交付していきます。ぜひ活用していただきたいと思います。助成額は、18歳から64歳までの方は、片耳5万円、両耳では10万円。65歳以上の方は、条件として住民税非課税世帯の方となりますが助成額は5万円です。

続いて、上用賀アートホールのリニューアルオープンについてのご紹介です。

上用賀アートホールは、砧公園や世田谷美術館に隣接する場で、環状八号線沿いに建物があります。用賀駅から徒歩15分ほどという交通アクセスの課題や施設の老朽化もあり、利用率が近年低下傾向にあったことから、昨年に区内の舞踊や邦楽、合唱、バレーボールなど様々なジャンルのグループへお声がけし、どのようなホールにするべきかなど意見や要望を伺う意見交換会を開催しました。また、若者たちにも気軽に利用してもらえるように、青少年交流センターでもアンケートを実施しました。

そうしたご意見等も踏まえて設備を一新し、楽器類やバレエバーなどの新規購入や、ダンス等に対応できるよう壁面に鏡を入れるなど改修して、4月1日からオープンしています。このような発表の場には機材や楽器を積んで来る必要がありますので、これまで駐車場が1台分しかなかったところを5台分確保するなど、使いやすさでも工夫しています。

続いて、ふるさと納税です。

まず、令和5年度の寄附実績について、合計が約3億3,255万円となりました。昨年度に比べて約4,674万円の増となっています。このうち、95%あまりは個人からの寄附、いわゆるふるさと納税で3億1,646万円。遺贈を含まない個人からの寄附額としては、過去最高となりました。様々な返礼品のメニューとして、スイーツや世田谷みやげなどを選りすぐり特設サイトへ掲載しています。先日報道でも取り上げていただきましたが、向井潤吉さんの版画なども出品しており、2点のご注文があったと聞いています。

ふるさと納税では一方で、こうした返礼品型に取り組む以前から、社会貢献型、地域参加型について取り組んでいます。令和5年度から使い道・支援を拡充した「世田谷区児童養護施設退所者等奨学・自立支援基金」などでは約5,500万円と非常に多くの寄附をいただきました。また、子ども基金には7,900万円弱の寄附をいただいています。子どもたちの支援や児童養護施設の退所者等の若者支援など、支援先が明確に見えるものに反響があります。「せたがや動物とともにいきるまちプロジェクト」にも約1,280万円のご寄附をいただきました。寄附額が少しずつ伸びていると同時に、流出額も広がっています。直近では、令和5年が99億円近い流出で、今年は100億円には乗ったようですが、これまでのように毎年2割ずつ増加していくような状況は抑えられたと聞いています。ただ、寄附額3億円と流出額100億円の間にはまだまだ大きな開きがあります。

発表項目

新型コロナウイルス感染症における世田谷区の対応記録について

まず、新型コロナウイルス感染症について、令和6年5月で、感染症法上の5類となって1年が経ちました。現在においても、後遺症で苦しんでいる方も多く、新たな感染の波もあったことから、コロナが完全に収束したわけではありませんが、外出自粛要請などが行われた約4年にわたる、新型コロナウイルス感染症対応の記録を作成しました。区のホームページでもご覧いただけますが、大変詳細な内容となっています。コロナ禍は、本当に未曾有の事態であり、おそらく戦後経験したことのない感染症との戦いということで、区を挙げて様々に取り組んできました。このコロナ禍で対応した職員たちは、5年、10年経てば退職して区を離れていたり、部署を異動していたりしています。もし、次に危機的状況が発生した際、当時はどのように対応したのか記録がない状態は非常にまずいと思い、令和5年度末に各部でまとめてもらいました。

区では、感染症予防の総合的な取組みの基本方針等について定めた「世田谷区感染症予防計画」を令和6年4月に策定しましたが、今回の対応記録はその別冊として、また、区の独自の取組みも含めた具体的な記録を残すために作成しています。

内容の構成として、冒頭10ページまでを、「世田谷区は新型コロナウイルスとどう向き合ったか?」と題し、主に私が原稿を書きました。前例のないコロナ禍において、例えば組織改正をしたり、検査手法を変えたりなど様々な試行錯誤がありましたが、その中で上手くいったこと、成果を上げたこと、期待したほどの効果ではなかったことなどを記載しています。

次に、11ページから12ページまでは、毎月の感染者数の推移を記載しています。令和4年9月26日から、全数把握の見直しに伴い、区で把握することのできた感染者のみを集計しています。

13ページ以降では、区の取組みとして、保健所の体制、検査、医療提供体制など、28項目に分類し、実施機関、概要、詳細を記載しています。また、医師会、高齢者施設、保育園、学校等の関係者にご協力いただき、コラムも掲載をしています。

次に、区独自の取組みについて紹介します。1つ目は社会的検査です。区では高齢者施設等で、クラスター感染によって重症化や死亡するリスクが高いと判断し、令和2年10月より、社会的検査を開始しました。高齢者施設等を定期的に一斉検査する形で、施設数が多いことから検査間隔が空いてしまう欠点もありましたが、それと合わせて、感染者の発生した施設を、当日または翌日までに利用者・職員全員に検査を行い、感染拡大を抑える随時検査の取組みも行いました。この手法は、厚生労働省と先行して協議してきたことが実を結び、令和2年9月に「行政検査」として国費で実施することが発表されました。区の問題提起が実際に受けとめられ、国としても検査を広げていこうというきっかけになったかと思います。

2つ目は、行政検査による検体プール検査法の導入です。世界中でコロナが広がった当時、日本では、一人ひとりの検体を個別に検査していました。検体プール検査法は、例えば4人の検体を採取したら、1本に混ぜて検査し、陽性が出れば、4人の検体を改めて検査するという手法です。4人全員が陰性なら一度に4人分を検査できるため、検査スピードが非常に早くなるということで、検体プール検査法を採用すべきだと厚生労働省に働きかけました。令和2年末に、当時の田村厚生労働大臣に直接要請し、令和3年1月にようやく、国は検体プール検査法の行政検査の承認を公表しました。都が実施したPCR等検査無料化事業において、区と連携協定を結んだ川崎重工株式会社が、全自動でPCR検査を行うシステムで検体プール検査法を実施いただき、令和4年1月から令和5年5月7日まで、区内で無料PCR検査を延べ8万425件実施しました。

3つ目は、オンライン診療の仕組みの整備です。オンライン診療から検査、診断、投薬までワンストップで実施できる仕組みを設けました。当時、オミクロン株が広がり、感染者が増大していたなかで、クリニックで検査を受けられないという声がありました。オンライン診療の仕組みとしては、発熱した際に抗原検査キットをバイク便で届け、陽性が判明したら、自宅で医師によるオンライン診療を実施し、診察後に医療機関より薬が処方され、それをバイク便で届けるというものです。

対応記録は区のホームページで公開しており、製本した冊子は図書館と区政情報センターに配備していく予定です。

生活困窮世帯等の子どもと家庭を支える学習・生活支援の拠点事業「まいぷれいす」の拡充について

次に、子どもの貧困対策計画の重点施策として、子どもと家庭を支える学習・生活支援の拠点事業「まいぷれいす」の2か所目を開設します。

令和3年度より、区内の北部で「生活困窮世帯等の子どもの成長と家庭の生活の安定に向けた学習・生活支援の拠点事業「まいぷれいす」を展開しています。生活困窮等により、毎晩の食事を安定して提供できるような家庭状況ではなかったり、勉強についていくことができないといった中学生の子どもたちを、支援員が丁寧に接し、一緒にご飯をつくって食べたり、学習を支援したりしています。支援を受けた中学3年生の子たちの進路が決まったという嬉しいニュースもありました。

そして今回、区内の南部に2か所目を開設します。1か所目は、令和3年8月の開館から令和6年3月までに、延べ6,000人の中学生が利用しています。この取組みを通して、経済的困窮に加え、社会的孤立など様々な複合的困難を抱えている家庭や虐待等によるリスクが隣り合わせにある家庭などが、本事業での子どもの居場所や家庭の見守り等の機能を利用することで、子どもが児童相談所での一時保護となることなく、進路を獲得していくことができました。2か所目の開設に伴う本事業の拡充を通して、子どもの貧困対策の推進に加えて、児童相談所設置区における、セーフティネットの強化を目指していきます。

質疑応答

  • 記者

コロナ禍での区の対応に関連して伺いたい。現在、自治体に対する国の指示権を拡大する地方自治法の改正案が国会で審議されている。コロナ禍の対応はもとより、世田谷区政を振り返ると、LGBTの問題や学校給食、待機児童など、社会課題のなかで国がまだ判断していないものに対して、独自に判断し対応してきたこともあるかと思う。そうした経緯も踏まえ、今回の改正案について、区長の考えを伺いたい。

  • 区長

今回の地方自治法の改正案は、すでに衆議院の総務委員会で審議が進んでいるが、本当に待ってもらいたい。このまま成立させるのはとても問題がある。国会で廃案にしてやり直すべきだと考えている。理由としては、改正案の発端となった第33次地方制度調査会の答申が令和5年12月21日に出されたが、コロナ渦において、国と自治体の役割の線引きに困難があったこと、或いは、保健所の入院調整において、感染者の急増により、都道府県を超えた広域調整が必要になることなどが理由になっている。そこで問題なのは、国民の安全に関わる非常事態だということを閣議で決定し、国が補充的指示権を持つということだ。2000年の地方分権改革で、国と地方は上下、主従の関係から、対等・平等の関係になった。コロナ禍においても、区から国へ積極的に提案することや、国から区へ意見を聞かれる場面もあった。様々に連絡を取り、場合により直接話し合い、国と区でともに知恵を出して試行錯誤しながら進めてきたと思う。区がやりたいと思ってもできないこともあったが、国が受け止めて方針としてくれたものもある。

今回の地方自治法改正の問題は、国会議員で構成する内閣によって補充的指示権というものが出されるが、その逆のベクトルがないことだと思う。私たちは地方自治体として対等に、積極的な提案をしてきたつもりだが、今回の地方自治法改正は、国の指示或いは通知を待って動くという、指示待ち自治体をつくり出してしまうのではないかと危惧する。

コロナ対応もそうであったが、新しいこと、或いはまだ認められていないことを始めるために突破するには大変な労力が伴う。その際に、補充的指示権を持つ国がやらないのなら、または国の責任であるから地方自治体がやる必要はない、とならないだろうか。

コロナ対応について、国が常に正しかったというわけではない。命を守る対策としては国の統治に傾いており、健康危機管理としては脆弱になる恐れがあるのではないかと思う。

今の地方自治法改正の審議の行方は注視しているし、このような声が国会の審議にも届くことを願い、私自身も発言していきたいと思っている。

  • 記者

コロナの区独自の政策が3つ示されたが、当時区長は、国としてやるべきと考えていたか。もしくは、あくまで区独自で取った対策であったか。

  • 区長

権限の問題と、予算や制度の問題がある。社会的検査は、膨大な数の検査を実施することになるが、その費用はどうするのかという問題があった。その時は、最終的に厚生労働省が理解してくれたことで行政検査と認められ、国費で実施できるようになったことで全国に広がったと思っている。検体プール検査方式も、当初は認められていなかった。ただ、その後国が認めてくれたことで、全自動の検査機械が出てくるまでになり、多くの方が簡単に検査を受けられるようになった。日本の場合、歩みは遅かったが、やはり国と協議し、その上で実現することは必須の作業だったと思う。

  • 記者

新型コロナの対応記録について、23区でも行っている区があると思う。こうした記録を残すことは非常に大事だと思うが、この記録をどのように活用していくか、区長に考えがあれば伺いたい。

  • 区長

私個人としては、多くの社会的な損失を伴いコロナと戦っていたわけで、国としての記録も残してもらいたいと思っている。現時点で公式な記録があるとは聞いていない。

渦中にいるときは分からないこともある。試行錯誤で進めていたため、振り返ると勇み足だったと思うこともあった。しかし、今回のように記録をまとめると、この取組みが良かったのか、そうでなかったのか、何がポイントであったのかなど研修で活用することもできる。次の感染症はいつ来るか分からないので、この記録をそのまま活用できるわけではないが、例えばコロナ禍では、通常時の組織のままで対応できなくなることもあり、保健所は最大500人程度となったがそれでも保健所だけでは対応しきれない。その時に社会的検査は保健福祉政策部で担当し、ワクチンについては住民接種担当部を設けるなどして対応した。そうした経験は、今後のパンデミック等でも参考になると思う。区としてはやはり、指示待ちにならず、様々な専門家や学識経験者、海外の多様な取組みを収集してる方などの助言もいただきながら様々な政策を考えた経緯がある。そうした進め方を、記録にして共有していくことが大事かと思う。他の自治体でも記録をまとめていると聞いているので、それらと比較して議論することもあって良いかと思う。

  • 記者

新庁舎で最初の会見だが、区長自身、新庁舎での執務を始めての感想について、全体の完成は先だが延伸した工期が短縮されたことも踏まえて伺いたい。 

  • 区長

大幅な工期延伸の申し入れを約1年前の5月に受け、その間どのように対応するか、また前例のない大幅な延伸に対して、区民の皆さんの税金をもとに、必要な支出をしなければならない。その補償の問題については、施工者の大成建設株式会社と協議し、2度ほど社長とお会いすることもあった。プレキャスト工法等により、最終的には1.25カ月工期が縮減されたが、そのために大きな重機を入れることとなり、大成建設においてもそれなりの努力をいただけたと思っている。

新庁舎への引っ越しが間に合うかどうかなど様々な難題があった中で、第1庁舎に残っている部署も、間もなく新庁舎等への移転を完了する。新庁舎と言っても、工期の3分の1が完成したところであり、今後も緊張感を損なわずに幅広い視野で、安全で良質な建物を作っていただきたい。

また、発表のなかで、若手職員の提案制度を紹介したが、庁舎が変わる時は組織が変わる一番のチャンスだと思う。指示されたことを適切、堅実に取り組むことが公務員としての役割だったところから、指示がなくとも自ら思い立ち提案する、チームを組んで取り組んでいくといったことを実現していけば、新庁舎にふさわしい、若い世代の職員の力を引き出すことにつながるのではないかと期待している。 

  • 記者

新しい区長室での執務はどうか。 

  • 区長

移転前の片づけは苦労したが、書類の束を減らすことができたので、すっきりと仕事に励んでいる。

  • 記者

5月18日(土曜日)、19日(日曜日)の新庁舎内覧会に関連して伺う。

旧庁舎の設計は、建築家の前川國男(まえかわくにお)氏であり、新庁舎には随所に前川建築の意匠が反映されているとのことだが、改めてご覧になり、区長の感想を伺いたい。また、1期工事が終了し、これから2期、3期と工事が続くが、区民の方へメッセージがあれば伺いたい。

  • 区長

区民会館ホールのホワイエには、大沢昌助(おおさわしょうすけ)氏のレリーフがある。第1庁舎にあったもので、作成当時の姿を70%のサイズで再生した。また、大階段は以前の世田谷区民会館ホールと同じ角度で階段を作っているなど、空間と特質を尊重している。伐採せざるを得なかったけやきの木も活かし、子どもたちが参加するワークショップで製作したベンチなども並んでいる。区民会館ホールは大規模なリノベーションにより、ホールの音響性能等も向上している。工事は今後5年程度要するが、工事が進むと中庭が整備される。前川氏が当時設計した世田谷区本庁舎群とほぼ同様に中庭があることに加え、新庁舎では、第1庁舎の1階に相当する約500平方メートルを区民活動の拠点として設けている。また、屋上には屋上庭園が整備されるが、ここも区民参加で何を育てるか、どのように管理していくか準備されている。区民参加という点では、これまでより多方面で可能となり、2年後には区民活動スペースもオープンしていくので注目していただきたい。

  • 記者

「まいぷれいす」拡充についての発表のなかで、虐待等によりハイリスクな家庭が利用することで、児童相談所での一時保護もなくなったとあり、保護者に対する支援等も行き届いていったのかと思うが、区長の手応え、受けとめについて伺いたい。また、2か所目の設置ということで今後の見通しなども伺いたい。

  • 区長

国の国民生活基礎調査では、約7人に1人が経済的な理由による生活困難を抱えていると答えている。こうしたアンケートを引き金に、生活困窮層の子どもたちへの支援事業が必要だということで事業を立ち上げた。児童相談所の一時保護件数も徐々に上がってきているが、その中には、虐待以外にも、「トー横キッズ」のような、親、家を離れてどこにいるかわからない状態の子どもたちも含まれていると聞く。そうした状態になる前に一時保護が必要となるが、一時保護所で保護する手前で、一緒にご飯を作って食べる、勉強を教えてもらい進路を自分で選べるようになることが子どもたちの自己肯定感を向上させて良い成果となるのではないか。児童相談所としても、一時保護となる前に「まいぷれいす」のような拠点を使ってもらいたいという声があった。

  • 子ども家庭課長

「まいぷれいす」は、子どもたちへの居場所の提供、学習支援や生活支援を行うが、近くに寄り添って、生活や学習を習慣化することは、かなり時間と支援が必要になる。

加えて、「まいぷれいす」の機能の大きな部分として相談支援がある。子どもや保護者の悩み、困りごとの相談に応じるとともに、中学卒業後の進路や、子育ての悩み相談についての情報提供を、子ども家庭支援センター等の支援機関と連携して取り組んでいる。家族関係も含めて改善が見られた事例もあると聞いている。

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