世田谷区第二次男女共同参画プラン 概要版 平成29年度から平成38年度 平成29年3月 世田谷区 計画の基本的な考え方 計画の趣旨  区では、基本構想の九つのビジョンの中で、「個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築いていく」としています。この基本構想の考え方を踏まえ、区では男女共同参画社会の言葉の定義を「男女だけではなく多様な性を含めたすべての人が尊重され、参画できる社会」とし、「世田谷区第二次男女共同参画プラン」を策定しました。  「世田谷区第二次男女共同参画プラン」は、これまでの取組みを継承するとともに、社会情勢の変化、区民意識の状況、国の計画改定などを踏まえ、新たな課題への取組みを検討し、一人ひとりの人権が尊重され、自らの意思にもとづき、個性と能力を十分発揮できる男女共同参画社会の実現をめざすものです。 計画の性格・位置づけ  (1)男女共同参画社会の実現をめざすために、区の基本的考え方と課題達成のための施策を明らかにするものです。  (2)「男女共同参画社会基本法」に定める「市町村男女共同参画計画」として、区の基本計画・実施計画、関連計画との整合を図ります。  (3)これまでの「世田谷区男女共同参画プラン」、「世田谷区男女共同参画プラン調整計画」を踏まえ、「世田谷区男女共同参画推進会議」及び「世田谷区第二次男女共同参画プラン検討委員会」による検討、区民意見募集等、幅広い区民からの意見・要望を尊重し反映します。  (4)「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に定められた「市町村基本計画」に該当し、基本目標Vを「世田谷区配偶者等暴力の防止及び被害者保護のための計画」として位置づけます。  (5)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に定められた「市町村推進計画」に該当し、基本目標T及び基本目標Uを「世田谷区女性活躍推進計画」として位置づけます。  (6)区の地域防災計画との整合を図りつつ、災害対策における男女共同参画を進めます。 計画の期間  平成29年度から平成38年度までの10年間とします。 計画の基本理念と視点  基本理念  一人ひとりの人権が尊重され、自らの意思にもとづき、個性と能力を十分発揮できる、男女共同参画社会の実現  視点  基本理念「一人ひとりの人権が尊重され、自らの意思にもとづき、個性と能力を十分発揮できる、男女共同参画社会の実現」に向けて、基本目標TからWまですべてを貫き通す次の「3つの視点」を掲げます。  (1)人権の尊重      性別などを理由に差別されることなく、多様性を認め合い、人権が尊重され、すべての人が尊厳をもって生きることができる社会の実現をめざします。  (2)固定的な性別役割分担意識の解消    「男は仕事、女は家庭」といった固定的な性別役割分担意識にとらわれることなく、自らの意思に基づいて個性と能力を発揮し、多様な生き方を選択することができる社会の実現をめざします。  (3)あらゆる分野における男女共同参画    あらゆる分野の活動において男女がともに参画し、責任を分かち合う社会の実現をめざします。 計画の体系 <基本理念・視点、基本目標、課題、施策、推進体制を一覧にした図が入ります>  基本目標T あらゆる分野における女性活躍推進  すべての人が尊重される男女共同参画社会の実現のために、男女共同参画の視点から、すべての女性が自らの意思によって社会のあらゆる分野で活躍し、個性と能力を十分に発揮することができる環境づくりを進めます。 【数値目標】  1 指標 区の審議会等の女性の占める割合  実績 平成28年度30.9%  目標(平成38年度) 35%以上  2 指標 庁内の管理監督的立場の女性の占める割合  実績 平成28年度34.2%  目標(平成38年度) 37%  3 指標 固定的な性別役割分担意識の解消が必要だと考える人の割合  実績 平成26年度73.3%  目標(平成38年度) 85% 【指標の定義】  1 地方自治法第202条の3に定める審議会、地方自治法第180条の5に定める委員会、その他の委員会等に占める女性委員を合計した割合  2 世田谷区の管理監督的立場における女性職員の割合  3 「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、「男は仕事、女は家庭」という考え方に対し、「どちらかといえばそう思わない」と「そう思わない」と回答した人を合計した割合 【区の取組み】 <男女共同参画センター“らぷらす”で毎年開催している「起業ミニメッセ」の様子の写真が入ります> 課題1 固定的な性別役割分担意識の解消 【施策の方向性】  あらゆる分野における女性の活躍の推進に向けて、まず「男は仕事、女は家庭」といった考え方、慣習である「固定的な性別役割分担意識」を解消するための情報提供、講座による啓発、人権教育による教育分野での取組みを進めます。 【施策】  @情報提供・啓発活動の充実  A男女共同参画に関する男性の理解の促進  B教育分野における啓発  C家庭や地域における男女平等教育・学習の充実  D職場における男女平等意識の向上  E意識調査による実態の把握と啓発 課題2 女性の活躍推進と政策・方針決定過程への女性の参画促進 【施策の方向性】  誰もが働きやすいしくみづくりや環境づくりへの取組みを支援し、経営者自身が女性の雇用や管理職への登用等に積極的になれるよう、企業に向けた働きかけを行います。  また、区の審議会等への女性登用率の向上への働きかけを進めるとともに、企業におけるポジティブ・アクション(積極的改善措置)の取組みなどにも注視し、企業への支援に努めます。 【施策】  @事業者に向けた女性の活躍推進のための意識啓発  A審議会等の女性登用率の向上  B事業者への支援  C職場におけるセクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント等の防止 課題3 女性のキャリア形成と多様な働き方の支援 【施策の方向性】  女性が能力を発揮し、活躍できるしくみづくりの実現をめざし、多様な働き方を支援する環境の整備に努めるとともに、女性のキャリア形成や就労支援、起業や女性が少ない分野への女性の進出に向けた支援などに取り組みます。 【施策】  @女性の就労・再就職支援  A女性のキャリア形成、キャリア教育の推進  B多様な働き方の支援  C女性が少ない分野への女性の参画支援 基本目標U ワーク・ライフ・バランスの着実な推進  少子高齢社会の進展や共働き世帯の増加などにより、家庭生活において男女がともに育児や介護などを担うことが求められています。また家庭生活の充実とともに社会貢献としての地域活動への参画などへの関心も高まっています。このような社会情勢の変化を踏まえ、長時間勤務や転勤が当然とされている男性中心型労働慣行を見直すことで、男女がともに家庭や地域に参画できる「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」がとれた社会をめざします。 【数値目標】  4 指標 区内事業所におけるポジティブ・アクションの認知度  実績 平成27年度45.3%  目標(平成38年度) 80%  5 指標 仕事と家庭生活をともに優先している人の割合  実績 平成26年度24.1%  目標(平成38年度) 35%  6 指標 町会・自治会長における女性の割合  実績 平成28年度8.6%  目標(平成38年度) 20% 【指標の定義】  4 「区内企業の『男女共同参画に関する意識・実態調査』」で、ポジティブ・アクションについて「内容を含め良く知っている」と「内容をある程度知っている」と回答した事業所を合計した割合  5 「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、ワーク・ライフ・バランスの現実として「『仕事』と『家庭生活』をともに優先している」と回答した人の割合  6 当該年度の区内の町会・自治会長における女性の割合 【区の取組み】 <「世田谷区ワーク・ライフ・バランス推進指針」における3つの取り組みの領域の図が入ります> 課題4 ワーク・ライフ・バランスの普及・啓発 【施策の方向性】  「区内企業の意識・実態調査」などによる男女の育児・介護休業の取得状況をはじめとした実態の把握・公表などを通し、ワーク・ライフ・バランスの実現へ向けた区民や区内企業の意識醸成を図ります。 【施策】  @ワーク・ライフ・バランスの考え方の普及  A事業者への働きかけと支援  B男女の育児・介護休業の取得促進  C 区内企業の「男女共同参画に関する意識・実態調査」等による実態の把握と啓発 課題5 男女がともに家事、育児、介護を担える支援の充実 【施策の方向性】  すべての女性の活躍を推進するために、育児や介護等サービスを充実するとともに、男性の家庭生活への参画を促進し、男女がともに家事・育児・介護等の担い手として活躍できる環境を整備します。 【施策】  @保育等の拡充  A育児に関するサービスの充実  B子育て世代への支援と地域交流  C介護者への支援  D男性の家事・育児・介護等への参画促進 課題6 防災・地域活動等への参画促進 【施策の方向性】  区の防災会議においては女性の視点部会を設置し、避難者対策や生活再建支援における女性の視点について対策の強化を検討し、平常時の取組みの充実、災害時の DV や性暴力の防止の取組みについて、地域防災計画に位置づけています。  また、これまで参加が少なかった若い世代の男性・高齢者等、多様な区民の地域活動への参画を促し、地域活動における男女共同参画を推進します。 【施策】  @防災・災害復興の分野への女性の参画促進  A地域活動への参画支援  B地域活動における女性リーダーの育成支援  C男性の地域活動への参画支援  D高齢者の社会参画の促進 基本目標V 女性の対する暴力の根絶  「DV防止法」では、「配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害である」としています。配偶者等からの暴力、ストーカー行為をはじめ、女性への人権侵害は今なお深刻な社会問題であることから、女性に対する暴力の根絶をめざすことであらゆる暴力の根絶をめざします。 【数値目標】  7 指標 DV防止法の認知度(「法律名も内容も知っている」と回答した人の割合)  実績 平成26年度34.3%  目標(平成38年度) 60%  8 指標 「DVが100%加害者に責任があり、許せないものである」と考える人の割合  実績 平成26年度51.0%  目標(平成38年度) 80%  9 指標 デートDVの出前講座実施校数  実績 平成27年度中学校6校、高等学校4校  目標(平成38年度) 中学校10校、高等学校10校 【指標の定義】  7 「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、DV防止法について「法律名も内容も知っている」と回答した人の割合  8 「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、DVについて「100%加害者に責任があり、許せないものである」と回答した人の割合  9 当該年度に区内の中学校・高等学校でデートDVに関する出前講座を実施した学校数 【区の取組み】 <デートDV啓発資料の写真が入ります> 課題7 配偶者等からの暴力(DV)の防止 【施策の方向性】  DVを未然に防ぐために、精神的暴力も DV であるとの認識を徹底するなど、早期発見につながる啓発や地域ぐるみで DVを防止する意識づくりを強化し、DVのない社会をめざし、男女平等の人権尊重に基づいて DV、若年層へのデートDV防止、早期発見に向けた働きかけに取り組みます。 【施策】  @暴力の未然防止と早期発見  A相談体制の充実  B被害者の安全確保と体制整備 課題8 DV被害者支援の充実 【施策の方向性】  区は、関係機関やNPOなど民間支援団体と連携し、DV被害者の一時保護による安全確保、住民票等の交付拒否をする支援措置などによって保護・支援を行っていますが、さらに関係機関等との連携を強化し、支援体制を拡充します。  また、DV 被害者が精神的な障害に苦しむことなどから、こころと身体の健康を回復し、さらに経済的にも自立できるよう中長期的な生活再建の支援が不可欠であるため、総合的な支援に取り組みます。 【施策】  @被害者支援の充実  A被害者の中長期的支援(生活再建の支援)  B被害者の子どもへの支援  C支援体制の充実と関係機関との連携強化  D高齢者、障害者の被害者への支援  E男性、性的マイノリティの被害者への支援 課題9 暴力を容認しない意識づくり 【施策の方向性】  主に女性に対する暴力として問題となっているDV、ストーカー行為、性暴力にとどまらず、暴力を容認しないという意識の醸成を図るため、家庭、教育現場、職場また地域での意識啓発を進め、あらゆる暴力の根絶をめざします。 【施策】  @人権尊重と暴力防止の意識づくり  A学校における人権教育の推進  B性暴力・ストーカー行為等暴力防止の意識づくり  Cセクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント等暴力の防止 基本目標W すべての人が尊厳をもって生きることができる社会の構築  生涯を通じた男女の異なる健康上の問題への留意や「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の視点を持つとともに、貧困等に直面するひとり親家庭や生きづらさを抱える性的マイノリティへの理解・支援を進め、人権尊重の社会の構築をめざします。 【数値目標】  10 指標 がん検診の受診率  実績 平成27年度子宮がん23.6%、乳がん25.4%  目標(平成38年度) 現状以上  11 指標 ひとり親家庭の養育費相談の実施  実績 平成28年度9回  目標(平成38年度) 現状以上  12 指標 「性的マイノリティ」という言葉の認知度  実績 平成26年度70.0%  目標(平成38年度) 90%以上 【指標の定義】  10 当該年度及び前年度に世田谷区の子宮がん検診及び乳がん検診を受診した区民の割合 (補足)子宮・乳がん検診は2年に1回  11 当該年度のひとり親家庭の養育費相談の実施回数  12 「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、「性的マイノリティ」という言葉について「知っている」と回答した人の割合 【区の取組み】 <「世田谷区パートナーシップ宣誓の取組み」の宣誓書と受領証の画像が入ります> 課題10 性差に応じたこころと身体の健康支援 【施策の方向性】  男女が互いの身体的な性差を理解しあい、子を産み育てることに関わる健康と権利(自己決定権)への配慮、性差を考慮した健康支援、年代に応じた性教育などが求められています。  今後の取り組みとしては、多様な性への配慮が必要です。 【施策】  @疾病予防、健康づくりの推進  Aこころの健康対策  B母子の健康支援  C年代に応じた性教育の普及 課題11 ひとり親家庭等が安心して生活できる環境づくり 【施策の方向性】  母子世帯・父子世帯にかかわらず、ひとり親家庭への支援の充実を図ります。  DV被害に起因する場合、精神的な回復、自立への模索が長期間にわたることなどから、安定した生活を営むために、当事者の立場に立った就労支援、精神的な支援などを進めます。  また、ひとり親家庭の子どもの支援として、子どもの貧困対策と連携した支援を行います。 【施策】  @ひとり親家庭への相談・情報提供の充実  Aひとり親家庭の親への就労支援  Bひとり親家庭への生活支援  Cひとり親家庭の子どもへの支援 課題12 性的マイノリティ等多様な性への理解促進と支援 【施策の方向性】  人権尊重の観点から性的マイノリティへの災害時や就労時での支援の充実を図るとともに、相談体制を整備し、居場所づくりに取り組み、性的マイノリティの方の住まいの確保や医療等、日常生活における支援についての検討を進めます。  また、多様な性のあり方に対し理解の促進を図るために、区民向けの講座やセミナーを充実するとともに、性的マイノリティへの支援の過程で二次的被害に繋がらないよう区職員・教職員には、研修による理解促進に取り組みます。 【施策】  @就労・災害時等における性的マイノリティへの支援  A性的マイノリティへの理解の促進  B同性パートナーシップに関する取組み  C性的マイノリティの相談体制・居場所づくりの整備  D区職員・教育分野等における理解促進 計画の推進体制 方策1 男女共同参画センター“らぷらす”の機能の強化 【施策の方向性】  男女共同参画の視点から地域の課題を解決する実践的活動の場としての機能強化・充実を図り、《講座・研修》、《情報収集・提供》、《相談》の3つの基本機能を有機的につなげることにより、一体的で切れ目のない総合的な支援を可能とする事業をめざすとともに、災害時における各種相談や就労支援等生活再建支援を含めた女性支援の拠点としての機能強化を図ります。 【施策】  @男女共同参画社会づくりのための「男女共同参画センター」の機能拡充  A区関係所管、関係機関、民間支援組織、NPO、学校、企業、地域活動団体等との連携  B区民の主体的な活動拠点としての充実 <男女共同参画センター事業のしくみと連携についての図表、男女共同参画センター“らぷらす”館内の写真が入ります> 方策2 区職員の男女共同参画推進 【施策の方向性】  区のすべての事業を男女共同参画の視点で課題を明らかにし、共有するとともに、区職員・教職員に対する研修を充実させるなど、男女平等意識の向上を図り、それぞれの所管が男女共同参画の視点を持って事業を進めます。  また、区内企業のモデルとなるため、政策・方針決定過程への女性の参画促進に向けて、庁内の管理監督的立場への女性の登用を進めるとともに、職員が家事・育児・介護等の家庭生活と仕事を両立できるような環境づくりを進めます。 【施策】  @区職員・教職員の男女平等意識の向上  A庁内の管理監督的立場への女性の登用  B区職員の仕事と生活の両立支援  補足 区では、上記@〜Bの施策を「次世代育成支援対策推進法」及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」にもとづく「世田谷区特定事業主行動計画」として位置づけています。 方策3 推進体制の整備・強化 【施策の方向性】  男女共同参画社会の実現に向けた施策の着実な推進のために、区の関係部署・関係機関、国、都、男女共同参画社会の形成の促進を図る活動を行うNPO等と連携・協働して取り組みます。  また、PDCA サイクルに則り、計画の進行管理とフォローアップ体制の整備を検討します。毎年、男女共同参画推進会議において施策の進捗状況や成果に対する評価を行うとともに、今後の男女共同参画推進事業の取組みについて検討します。 【施策】  @国や都との連携強化  A男女共同参画に関わるNPOの育成  BNPO等との連携・協働の推進  Cフォローアップ体制整備の検討   世田谷区第二次男女共同参画プラン 平成29年度〜平成38年度 概要版 発行年月 平成29年3月 編集・発行 世田谷区生活文化部人権・男女共同参画担当課 〒154−8504 東京都世田谷区世田谷4−21−27 TEL 03ー5432ー2259 FAX 03ー5432ー3005 世田谷区広報印刷物登録番号/第1489号