1「区立幼稚園集約化等計画」策定の趣旨 ・世田谷区では、「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョン」等を踏まえ、令和3年度に、区の教育・保育の推進拠点として、乳幼児教育支援センターを設置するなど、就学前の子どもの教育・保育の充実に取り組んできた。 ・この間、令和元年10月に幼児教育・保育が無償化し、令和3年9月には「医療的ケア児支援法」が施行されるとともに、令和2年4月には区の保育待機児は解消し、令和2年度以降、区立幼稚園・認定こども園(以下「区立幼稚園等」という。)の入園者数の減少が顕著となり、園の小規模化により集団教育・保育から得られる様々な体験や活動に制約が生じることが懸念されるなど、区の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況は大きく変化している。 ・本計画は、こうした状況の変化に対応し、区立幼稚園等における質の高い教育・保育の実践と区全体の教育・保育の質の向上を図るため、「子ども・子育て支援事業計画調整計画」に示される予定の「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえ、平成26年8月策定の「区立幼稚園用途転換等計画」(以下「用途転換等計画」という。)を見直し、今後の区立幼稚園等のあり方について示すものである。 2「区立幼稚園用途転換等計画」見直しの背景 (1)用途転換等計画の進捗状況 ・用途転換等計画では、区立幼稚園9園について、5園を区立の幼保連携型認定こども園に、4園を公私連携の私立認定こども園へと用途転換を進めることとしている。 ・これに基づき、平成28年度に区立多聞幼稚園を幼稚園型認定こども園へ用途転換するとともに、区立塚戸幼稚園については、平成30年度をもって閉園し、令和2年度、同園跡地に公私連携の幼保連携型認定こども園を開設した。 ・区立松丘幼稚園は、区立弦巻中学校との複合化による改築・用途転換を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う事業見直しにより、弦巻中学校との複合化による改築・用途転換は中止となった。 ・区立砧幼稚園については、区立砧小学校の改築に合わせた複合化による改築・用途転換を計画しており、改築後は医療的ケア児を幼稚園から小学校、新BOPまで受け入れるモデル的取組みの一環を担うことが予定されている。 (2)区立幼稚園等の現状及びそれを取り巻く状況 @区立幼稚園等入園者数の減少と配慮を要する児童の割合の上昇 ・区立幼稚園等では、幼児教育・保育の無償化等の影響により在園児数が急激に減少しており、定員の充足率は、平成29年度の約76.4%に対して、令和4年度は約38%となっている。 ・一方、在園児に配慮を要する児童が占める割合は、平成29年度が約15.2%なのに対して、令和4年度は約25.2%に上昇している。 A未就学児人口の減少 ・令和4年の世田谷区の0歳〜5歳の未就学児人口は、ピーク時の平成30年と比較すると約9%減少している。 B保育待機児の解消・私立幼稚園入園児数の減少 ・保育待機児数は、区内保育施設の整備が進んだことなどにより、令和2年4月に0人となり、保育待機児は解消された。 ・私立幼稚園の入園者数は、減少傾向に転じており、東京都の「学校基本調査」によれば、平成30年度と比較すると令和3年度の入園者数は約19.5%減となっている。 C医療的ケア児支援法の施行 ・令和3年9月18日に医療的ケア児支援法が施行され、区立幼稚園等を含む学校等の設置者は、医療的ケア児に対して、看護師等の配置等の必要な措置を講ずる責務を負うこととなった。 D乳幼児教育支援センター機能の設置 ・区では、令和3年12月に開設した乳幼児教育支援センターを区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として位置づけ、今後は、同センターを中心として、乳幼児期の子どもたちに質の高い教育・保育を提供する体制の構築に取り組んでいく。 3区立幼稚園集約化等計画 (1)用途転換等計画の見直し ・保育待機児が解消したことにより、区としては当面の間、新規の保育施設の整備を見合わせる方針としたことを踏まえ、区立幼稚園の公私立の幼保連携型認定こども園への用途転換についても、当面行わないこととする。 (2)区立幼稚園の集約化 ・区立幼稚園・認定こども園への入園者の著しい減少等の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況変化を踏まえ、現在8園ある区立幼稚園等については、地域の乳幼児期教育・保育の拠点として区内5地域に各1園に、段階的に集約化する。 ・3歳の段階から配慮を要する児童や医療的ケア児の受け入れ等のため3歳児保育の導入に向けた検討を行う。 @約化にあたっての整備の手法  配慮を要する児童等の受入れに向けた機能強化を目的とした一部改修を行い、既存施設を活用することを基本とする。 A集約化後の施設類型・クラス・定員等 ・集約化後の施設類型は、区立幼稚園もしくは幼稚園型認定こども園とする。 ・学年数、クラス数、定員等の詳細は、各施設の個別の集約化計画等で定める。 ・幼稚園型認定こども園へ用途転換する場合は、給食提供のための厨房の設置工事を行うことを基本とする。 B集約化の年次等 ・集約化の年次、集約化の組み合わせ等については、区立幼稚園の在園状況や地域の教育・保育の拠点としての地理的条件、施設の改修・改築工事の可能性、集約化後の跡地の活用等を総合的に勘案して確定していく。 【各園の集約化の内容・年次について】 ・世田谷地域については、令和8年度以降、松丘幼稚園と桜丘幼稚園を集約化する。現桜丘幼稚園の園舎・園庭を活用し、運営形態は区立幼稚園とする。 ・北沢地域については、認定こども園多聞幼稚園を地域の拠点とする。既に幼稚園型認定こども園に用途転換済のため、従来どおりの運営とする。 ・玉川地域については、令和9年度以降、三島幼稚園と 中町幼稚園を集約化する。現中町幼稚園の園舎・園庭を活用し、運営形態は区立幼稚園とする。 ・砧地域については、砧幼稚園が区立砧小学校と複合化後し、新園舎の供用が可能となる令和11年度以降に区立幼稚園型認定こども園に用途転換する。 ・烏山地域については、令和10年度以降、給田幼稚園と 八幡山幼稚園を集約化する。現八幡山幼稚園の園舎・園庭を活用し、運営形態は区立幼稚園とする。 型認定こども園 − 玉 川 中町幼稚園 三島幼稚園と中町幼稚園を集約化 なお、集約化等の想定年次は、現時点での最短で整備が可能な年次である。 また、集約化の組み合わせ及び集約化の順序は、現時点での想定である。 (3)今後の区立幼稚園等のあり方 @ 乳幼児期の教育・保育の質の向上に向けた連携の先導・推進 ・地域の教育・保育の拠点としての役割を担う区立幼稚園等は、私立幼稚園や保育所等と連携しながら、施設種別の枠を超えた連携や、保・幼・小・中との交流・連携等を先導・推進する。 A 社会の変化に伴う働き方の多様化等に対応した機能充実 ・保護者等のニーズの多様化に対応するため、長期休業期間中の預かり保育の実施や、預かり保育の時間延長等、区立幼稚園等の機能充実を図る。 B 世田谷区の特色ある取組みの実施 ・乳幼児教育支援センターを中心としたモデル研究の取組みなど、世田谷区の特色ある取組みの担い手として研究や事業を牽引する。 ? 配慮を要する児童・医療的ケア児の対応 ・集約化後も、私立幼稚園や保育所等と連携し相互に補完しながら、配慮を要する児童へのきめ細やかな対応や、医療的ケア児支援法の施行を踏まえた医療的ケア児の対応に取り組む。 (4) 今後の進め方について ・区立幼稚園の集約化については、区の乳幼児期の教育・保育施設をめぐる状況の変化、区の財政状況等を総合的に勘案し、段階的に進めていく。 ・区立幼稚園集約化後の跡地活用については、「子ども・子育て支援事業計画調整計画」に示される予定の「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえ、区立保育園の再整備計画の方向性との整合性も勘案しながら、「子ども・子育て応援都市」として、教育を含む子ども・子育て施策を一層バージョンアップするための検討・調整を行う。 ・本計画については、次期基本計画の中間見直しや「子ども計画(第3期)」の見直しの時期に合わせて、その進捗状況の検証等を行う。