世田谷区第4期文化・芸術振興計画(素案)への区民意見及び区の考え方について 1 計画全般について No 意見概要 区の考え方 1 内容がわかりにくい。区民にとってわかりやすい計画とするべき。 ご指摘の趣旨を踏まえ、「取組みの方向性」に位置づけた「取組み内容」の見直しを行い、必要に応じて整理・統合を行いました。また、「取組み内容」に「主な取組み」を設定し、具体的な内容がイメージできるよう記載内容を充実させました。計画策定後もホームページでの広報を工夫するなど、区民の皆さんにわかりやすい計画となるよう取り組んでまいります。 2 文化・芸術の振興に向けて、取組みに必要な環境や場所をどのように提供し、施策を推進するかという具体的な内容が不明確である。 厳しい財政状況の中、文化・芸術活動に必要な環境や場所を新たに整備することは困難ですが、既存の公共施設の有効活用等も含め具体的な取組みの検討を進めてまいります。 3 小中学生やその保護者を対象とした事業では、学校単位で事業を実施することが可能だが、その他の社会人や高齢者など対象を捕捉できない区民に対する施策をどのように実施するかが重要である。 計画策定時に実施する区民へのアンケートや、区民意識調査、施設・事業ごとに実施するアンケート等も活用し、様々な方の文化・芸術に対する認識・行動の把握に努め、対象に応じた取組みを検討してまいります。 4 区が実施した区民意識調査が、区民の現状を表しているのか不明確である。 「世田谷区の文化・芸術に関する区民意識調査」は、本計画の策定に向けて、区民の文化・芸術に関する認識の把握を目的として、令和5年1月に区民3,000人に調査票を送付する形で実施した調査であり、約1,000人の方にご回答いただきました。多くの区民の方にご回答いただき、有効な調査結果を得たものであると認識していますが、次期計画の策定等の機会を捉え、より効果的な調査手法の研究を行ってまいります。 5 多角的な視点で積み上げられている点は評価するが、予算の制約もある中で、総花的で具体性に欠ける計画となり、形式的に取り組んだだけとなる結果になることを懸念している。幅が広く難しい課題ではあるが、優先順位の設定を十分に議論してほしい。 「取組みの方向性」や「取組みの内容」で掲げた網羅的な取組みに対し、重点的に取り組むべき目標を基本目標として掲げております。引き続き、効果的な取組みの推進に向けて、取組みを進めてまいります。 6 高齢者に対しては、区報や町会・自治会を通した周知、ラジオによる情報提供が効果的である。児童に対しては、定期的に児童館で囲碁・将棋教室をしたり学校で職場体験を行ったりするなど、公共施設を利用した会やイベントであれば安全性が高く、効果的である。「触れる」「繋がる」の機会が増えることで、「楽しむ」「創る」が充実していくと思う。 年齢層に応じて所属するコミュニティが異なることを意識し、効果的かつ効率的な取組みを進めてまいります。 7 新型コロナウイルス感染症の影響が甚大であったという認識なのであれば、令和9年度に予定されている中間見直しでは遅いのではないか。 文化・芸術に関する施策は中長期的な視点で取り組むべきであると考え、8年間の計画期間の中間年での見直しを予定しております。中間見直しの時期の変更を現時点では予定しておりませんが、いただいたご意見の趣旨も踏まえ、見直しの際はコロナ禍の影響に十分留意し、評価検証及び次期計画の策定を進めてまいります。 8 文化政策の基本は「人権」であり、この視点なくして、文化政策は成り立たないと考える。第4期計画の「基本理念」に「人権」を謳ってほしい。 区では、平成18年に制定した世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例において、自主性及び創造性の尊重を基本理念として掲げ、施策の推進に取り組んできており、年齢、性別、LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ、国籍、障害の有無、また経済的状況にかかわらず、多様性が尊重されることが不可欠であると認識しております。文化・芸術の振興においても同様であり、ご意見の趣旨を踏まえ、文化・芸術における「誰一人取り残さない」社会の実現に向け、取り組んでまいります。 2 推進体制・連携強化について No 意見概要 区の考え方 1 「触れる」「楽しむ」「創る」で提案した内容に関して、せたがや文化財団に人的・財政的支援を行い、同財団が指定管理を担っている施設で役割を果たしてはどうか。 区の外郭団体である公益財団法人せたがや文化財団(以下「せたがや文化財団」という。)は、世田谷美術館、世田谷文学館、世田谷文化生活情報センターの3施設の指定管理者として、区立文化施設の維持管理のみならず、専門性を活かした多様な自主事業を実施しております。区は引き続き、せたがや文化財団との連携・協力をさらに深め、本計画に掲げる施策の推進に取り組んでまいります。 2 区内にある17大学と積極的に連携し、区の文化施設とも連携しながら、学生が積極的に活動に参加できる枠組みを設けてはどうか。 区内には17大学(学部)があり、それぞれが持つ強みや専門性を活かし、様々な分野で連携事業を実施しており、事業に応じて多くの学生に参加いただいているところです。いただいたご意見を踏まえ、区の様々な文化資源の活用に向け、文化・芸術分野における学生の積極的な参加による連携の方策について研究してまいります。 3 世田谷区が更なる文化政策の充実を図るために、現場感覚のある人材を積極的に検討委員会の委員に迎えてほしい。 第4期計画検討委員会では、民間美術館である五島美術館館長(令和5年6月~:理事)や世田谷区郷土芸能保存会会長にご参加いただき、学識経験者や専門家、区民委員、区職員とは異なる日々文化・芸術活動の最前線にいる委員からのご意見をいただきながら検討を進めてまいりました。今後の計画策定においても、引き続き様々な経験を有する委員からご意見をいただけるよう、委員の選定を検討してまいります。 4 文化・国際課とせたがや文化財団との連携強化と職員の専門性の向上を図ってほしい。 区の外郭団体であるせたがや文化財団との連携・協力関係を強化するとともに、様々な研修等に積極的に参加するなど職員の専門性向上に取り組んでまいります。 5 教育委員会との連携強化を図ってほしい。文化を人権と考えておらず、子どもの成長に欠かせない文化・芸術への理解が薄い管理職や教職員が多いと感じている。 引き続き教育委員会との連携を図り、文化・芸術を通した子どもの成長に繋がる取組みを実施してまいります。 6 せたがや文化財団という資源を生かすために、財団と行政やNPO、地域の市民団体との連携を強化してほしい。 計画の推進体制として、せたがや文化財団との連携・協力関係を強化するとともに、区内で文化・芸術活動に関わる様々な主体との連携の強化を目指してまいります。 3 取組みの方向性1「触れる」について No 意見概要 区の考え方 1 情報発信の強化が掲げられているが、投入した費用に対して効果が上がっているのか分析や見直しをしてほしい。発信が一方的な垂れ流しとならないよう留意してほしい。 年齢に応じて情報の入手手段が異なることに留意し、SNSを活用した区民参加型の情報発信なども引き続き取組みつつ、効果的な情報発信のあり方について検討してまいります。 2 子ども達が文化・芸術に直接触れる機会を増やしてほしい。子ども達が姉妹都市など海外を訪問し、日本の文化・芸術をアピールする場や機会を与えられれば、子ども達の未来が変わると思う。また、今の中高生が興味のある文化・芸術は大人たちが考えるものとは違うと思う。現在の流行を生んでいる中高生と意見交換を行うことで、新たな文化・芸術が見えてくるのではないか。 本計画では、取組みの方向性1「触れる」において、「学校や施設等における身近な鑑賞・参加機会の提供」「子どもの鑑賞・参加機会の充実」を位置づけ、成長過程にある子ども達が学校や地域で文化・芸術に触れる機会の充実に取り組んでまいります。また、中高生との意見交換については、ご指摘の趣旨に加え、こども基本法に基づく子どもの意見反映の側面からも重要なご意見であると認識しており、効果的な意見集約のあり方について機会を捉えて検討してまいります。 3 SNSを活用した情報発信について、フォロワーの年齢層を把握し、施設に足を運ぶ機会が少ない年齢層に対象を絞って発信すべき。 年齢に応じて情報の入手手段が異なることに留意し、効果的な情報発信のあり方について検討してまいります。 4 施設の入館証・入館カードとマイナンバーカードを連動して、情報収集の一本化を図るべきではないか。 施設の来場者に関する情報を収集・分析し、効果的な施策の実施に反映することは重要であると認識しております。マイナンバーカードとの連動については、個人情報保護の観点から困難ですが、効果的な分析の実施に向けて取り組んでまいります。 5 新型コロナウイルス感染症による影響で「文化・芸術を鑑賞しなかった」「文化・芸術活動を行わなかった」と回答した方々に対し、文化・芸術に対する関心が薄れたり、他の分野に興味が流れないようにしたりする取組みが必要である。空き時間に近隣にある文化施設等に「ふと、入ってみた」というように、文化・芸術の世界に誘因する土壌づくりが重要である。 文化施設を身近に感じられるような広報の実施や事業等の充実を図るとともに、取組みの方向性2「楽しむ」に位置づけた「まちなかで文化・芸術を楽しめる取組みの充実」を推進し、身近な環境で文化・芸術を楽しめる環境づくりに取り組んでまいります。 6 区内の小中学生の課外学習として、世田谷パブリックシアターで本格的な演劇を鑑賞する機会を設けてはどうか。成長過程で本格的な演劇に接する機会は、子どもの力になり、人間形成にプラスになると考える。 世田谷パブリックシアターでは、せたがやこどもプロジェクトと銘打った公演やワークショップ、体験型企画等の子ども向けの取組みを実施しています。区教育委員会では、子どもの成長過程で芸術に触れることは大変重要であると考え、普段の授業では得られない体験学習を通じて、知的好奇心の喚起や体験による気付きから自ら学び考える力の増進を図っています。さらに、質の高い芸術の鑑賞を通じて、芸術文化を味わう楽しさや喜びを享受する豊かな感性を育むことを目的として、区立小学校を対象に古典芸能鑑賞教室や音楽鑑賞教室、美術鑑賞教室などを実施しています。いただきましたご意見は、今後の施策検討の参考にさせていただきます。 7 世田谷美術館・砧公園を中心として、北には世田谷文学館、蘆花恒春園、南には五島美術館、静嘉堂文庫、次太夫堀公園民家園のある環状8号線に結ばれた細長い地域は「アートパークの街」と呼べるのではないか。美術館・公園群は、訪れた文化・芸術施設での体験に加え、新たな娯楽として注目されている「まち歩き」に絶好の配置であり、地域住民や観光客のみならず、外国人向けの「優しい日本語でのツアー」での活用も期待できる。 社会課題や区民ニーズが多様化・複雑化するなか、施設や事業を単独のものとして捉えるではなく、総合的な活用の方策を検討することは、課題解決に向けて非常に有効な考え方であると考えております。ご提案の趣旨を踏まえ、様々な主体との連携の推進に向け、機会を捉えて検討してまいります。 8 第3期計画の施策目標4「乳幼児期」と具体的な年齢層が明記されていたが、第4期計画では「子ども」という大きなくくりになっている。人間形成の大事な時期である乳幼児期から文化・芸術に触れることは非常に大切である。そのため、表記を「子ども」だけでなく「乳幼児期」と明記してほしい。 引き続き乳幼児期からの取組みが重要であると考えております。いただいたご意見も踏まえ、記載を修正いたしました。 9 世田谷区では、第3期計画の重点政策として「次の時代を担う世代の文化・芸術振興」を掲げ、施策目標「育む」には「乳幼児期から文化・芸術にふれることは、想像力と創造性を育み、多様な価値観を受入れ、人と人との絆を結ぶ社会の基盤を形成していくことが期待されます。次代を担う子どもたちの創造性を育むために、乳幼児期から文化・芸術にふれられる機会の提供を充実させていきます。」という文言があった。第4期計画にも、この精神を引き継いでほしいと切に願う。そして、このことを強く示すためにも「子ども」と一括りにするのではなく、「乳幼児期から」という文言を入れてほしい。 引き続き乳幼児期からの取組みが重要であると考えております。いただいたご意見も踏まえ、記載を修正いたしました。 10 コロナ禍を経て、オンラインやデジタルの良さが評価されているが、やはり子どもの成長にはリアルな体験が欠かせない。子どものリアルな体験機会の充実も計画に謳ってほしい。 コロナ禍で急速に普及したオンライン配信は手軽に楽しむことのできる機会を提供するツールとして、有用であると考えておりますが、特に成長期の子どもには施設等で直接鑑賞・体験する経験が重要であると考えております。引き続き、文化・芸術を通して子ども達の成長につながる経験の機会を提供してまいります。 11 区のおしらせ「せたがや」には、多くのイベント情報が掲載されているが、「読みたい」と思わせるような紙面にデザインをリニューアルしてはどうか。区で行われている取組みを、まずは知ってもらうことが必要である。表紙にアート・デザインコンペで選ばれた作品を掲載するなど、アーティストが活躍するチャンスを設けることが必要ではないか。 区のおしらせ「せたがや」については、ご指摘のように、区が行う施策を多くの方に知っていただくため、読みたいと思っていただける紙面づくりが大切であると考えております。いただいたご意見も参考にしながら、リニューアルも含め、より魅力ある紙面となるよう取り組んでまいります。また、区内の文化・芸術活動がこれまで以上に活発になるよう地域のアーティスト支援に取り組んでまいります。 4 取組みの方向性2「楽しむ」について No 意見概要 区の考え方 1 高齢になると外出が億劫になり、音楽・芸術を会場で楽しむことが難しくなる。PCやスマートフォンにより外出せずとも気軽に楽しめる方法に期待している。 コロナ禍により、文化・芸術に関するオンライン化・デジタル化も進展しました。区立文化施設においても、世田谷パブリックシアターにおける劇場公演のオンライン配信や、ホームページ上で収蔵品を公開するなど、施設を訪れずに公演や作品を楽しむ取組みを実施しております。著作権法上の課題や会場で実際に作品や公演を楽しんでいただくことの価値を重視しながら、文化施設に足を運んでいただきやすくなる取組みとともに、引き続き、場所を問わず気軽に文化・芸術を楽しんでいただける取組みも実施してまいります。 2 先日、チェロの演奏者による公園の来園者向けの演奏を聴く機会があり、素敵な時間を過ごすことができた。芸術は場を設けて鑑賞することも大切だが、生活の一部にあることも重要だと感じた。ふるさと納税による減収がこのような取組みに影響が生じないようにしてほしい。 取組みの方向性2「楽しむ」において「まちなかで文化・芸術を楽しめる取組みの充実」を掲げており、商店街や公園などを散歩しているときに自然と文化・芸術に触れることのできる歩いて楽しいまちづくりを進めてまいります。 3 文化・芸術のオンライン配信には、他のコンテンツと比較してどのような強みがあるのか。その点が伝われば、施設等に足を運ばずに、積極的にオンラインで鑑賞する意欲が湧くと思う。 コロナ禍で急速に普及したオンライン配信は、遠方に住んでいる方や、美術館や劇場等に足を運ぶ機会の少ない方に対して、気軽に楽しむことのできる機会を提供するツールとして有用であると考えております。施設等で直接鑑賞・体験する経験も引き続き重視しながら、施設や事業の特性を踏まえ、リアルとデジタルを効果的に組み合わせた取組みを展開してまいります。 4 文化・芸術は敷居が高く、必ずしも多くの区民が必要としているとは言えないと思う。例えば、文化・芸術関連予算の一部を区内に映画館を建設することに充てた方が、多くの区民の利便性が向上し、文化・芸術の振興に繋がると思う。 区では、平成18年に制定した世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例において、「活動における自主性及び創造性の尊重」「鑑賞・活動・創造できる環境の整備」「相互の連携」を基本理念として掲げ、具体的な施策・事業については文化・芸術振興計画で明らかにし、取組みを進めてまいりました。区立文化施設の老朽化が進み、改築・改修に相当の経費が必要となる中、世田谷区文化振興基金への寄附のお願いをしておりますが、引き続き多くの区民の皆様にご理解・ご支援をいただけるよう、区の取組みに関する周知についても力を入れてまいります。 5 芸術は、見聞きしたり触れたりすることで初めて感じられることがあるので、直接楽しめる機会を充実させてほしい。世田谷公園や砧公園等の大きな公園を活用したアートフェスティバルを開催してはどうか。 コロナ禍によりオンライン化・デジタル化が進展したものの、文化・芸術分野において、美術館等で実際に作品を鑑賞したり、劇場で公演を鑑賞する機会の重要性は変わっておらず、子どもから高齢者まで様々な事業を実施し、直接楽しめる機会の充実を目指しております。ご提案いただいたイベントの開催については、現時点では予定しておりませんが、ご意見の趣旨を踏まえ、事業を実施してまいります。 6 世田谷区には子育て家庭が多いため、人気の絵本作家の個展を開催することで、来館者数の増加に繋がるのではないか。 子育て世帯をはじめ、区民の年齢構成等の情報も参考に、多くの方に楽しんでいただける取組みを実施してまいります。 7 世田谷パブリックシアターのようなホールが区内に複数あれば、より気軽に文化に触れることができるのではないか。また、居住する地域の住民が優先的にチケットを購入できるとよい。 現時点で新たな施設の整備は予定しておりませんが、身近な場所で気軽に文化・芸術に触れる機会の創出に向けて、アウトリーチ事業や出張展示・出張公演等の取組みを進めてまいります。 8 再整備を行っている世田谷区民会館では、公演の定期開催や文化・芸術活動団体の交流支援を実施すべき。また、区の中心に立地するという利点を活かし、参加型の活動拠点として、他の4つの地域の区民会館での参加型事業を充実させた上で、新たな区民会館での全区的な大会につなげる取組みを実施し、鑑賞だけでなく、参加して楽しめる施設を目指してはどうか。 新たな世田谷区民会館では、区民自治と協働・交流の拠点として、文化・芸術の魅力を区内外に発信する施設となります。事業の実施については、ご提案の趣旨も参考に、検討してまいります。   5 取組みの方向性3「創る」について No 意見概要 区の考え方 1 伝統的な芸術や展示に加え、バンドやDTM(デスクトップミュージック:PCを利用して楽曲を作成する手法)等の現代音楽を発表する機会を増やしてほしい。日本の現代音楽はアメリカのヒットチャートにも食い込んでおり、次世代のアイデンティティ創出に資する貴重な芸術資源である。文化施設や公園、体育館等を活用することで、身近な場所で現代音楽を楽しむことができるのではないか。 本計画における「文化・芸術」とは、文化芸術基本法で例示されたものを基本としながらも、多種多様なジャンルが存在していることを踏まえ、幅広く捉えて振興の対象としています。公共施設における音楽活動の実施には、他の利用者や近隣住民に配慮する必要があるため一定の制限が発生しますが、芸術資源の一つとして利用可能な施設に関する情報公開等について検討してまいります。 2 区民が文化・芸術を自由に表現できる期間限定のフリースペースを設けてはどうか。また、テーマを設定して作品を募集し、優秀作品を世田谷美術館に展示してはどうか。 世田谷区民絵画・写真展を令和5年度より世田谷区民展と改称し、絵画・写真等の制作を楽しむ区民による展覧会を世田谷美術館区民ギャラリーで実施します。引き続き、取組みの方向性3「創る」で掲げた文化・芸術活動を行う区民への支援に取り組んでまいります。 3 第3期計画の施策目標3「個人や団体の文化・芸術活動を支える」は、文化・芸術に関する課題の中で最も困難な課題であり、区民にとって見えにくい部分だと思う。 本計画においても、第3期計画に引き続き、取組みの方向性3「創る」に「文化・芸術の練習や発表の場の充実」や「文化・芸術活動への支援」を位置づけ、取組みを進めてまいります。また、補助制度の活用について、引き続き区報やホームページを活用して広報を実施してまいります。 4 空き家を活用し若者に活動の場を提供する取組みを試行的に実施してはどうか。取組みが徐々に理解されていけば、区の文化・芸術活動が少しずつ広がる契機にもなり得ると考える。 いただいたご意見も参考にさせていただき、若者による活動の場や機会が広がる取組みについて、研究してまいります。 5 下北沢と三軒茶屋を結ぶ茶沢通り沿いに、下北沢には本多劇場の8つの小劇場が、三軒茶屋には世田谷パブリックシアターに2つの劇場があり、毎日、演劇の公演が行われている。多くの演劇関係者も区内に居住しており、この地域は「演劇の街」と呼べる。「演劇の街 世田谷」は、充分に魅力のあるブランドとなるのではないか。コロナ禍を経て、ライブを前提とする演劇などの舞台芸術の置かれた状況はかなり厳しいものがある。「演劇の街 世田谷」が、さらに盛り立て、世田谷区の顔となるため、下北沢・三軒茶屋を結ぶ地域で、相互の宣伝協力や、中長期的に稽古のできる場所の整備や公演前等の利用ルールの見直しなど何らかの取組みができないか。 立地等の地域特性を活かし、民間事業者と連携しながら、様々な文化資源を積極的に活用することは、有効な取組みであると考えております。広報や活動場所の確保については、区内で活動する様々な団体・個人との公平性の観点や区の関わり方等も踏まえ、慎重に判断すべきと考えますが、今後の施策検討の参考とさせていただきます。 6 芸術愛好家のアマチュア団体の育成とともに、プロの芸術家の組織化に協力してはどうか。活動場所の確保、委託事業の実施などを提案したい。 新たに開館する世田谷区民会館では、ホールや集会室等を活用した文化・芸術の交流事業を実施し、様々な交流を促進することで、区内の文化・芸術活動の活性化に取り組むことを予定しております。文化・芸術には多様なジャンルがあり、一元化する組織の必要性については、各団体の意向や区の関わり方も踏まえ、慎重に検討することが必要ですが、交流の機会の創出について、世田谷区民会館における事業の実施状況等も踏まえ、検討してまいります。 6 取組みの方向性4「繋がる」について No 意見概要 区の考え方 1 美術品や文化財の保存に引き続き取り組んでほしい。 本計画では、取組みの方向性4「繋がる」において、「美術品・文学資料の保存・収集・活用・継承」「文化財の保存」を掲げております。引き続き、文化資源を確実に保存・継承できるよう取り組んでまいります。 2 台湾・高雄市との文化交流を進めてほしい。 令和5年3月に文化交流に関する覚書を台湾・高雄市との間で更新しております。いただいたご意見を参考に、今後交流を検討し進めてまいります。 3 風景の保全・創出の取組みは、まだ十分でないと感じる。更なる植樹・緑地化に向け、50年後・100年後の緑地面積の数値を掲げて具体的な取組みを進め、大きな公園だけでなく、自宅を出たところから緑のある街にしてほしい。 令和5年度末に策定予定の世田谷区みどりの行動計画において、平成29年度に策定した世田谷区みどりの基本計画で掲げた令和9年のみどり率29%の目標達成に向けて、具体的な取組みを定めて取り組んでいきます。引き続き、みどりの風景の保全・創出に向け、風景づくり計画と整合を図りながら、取組みを進めてまいります。 4 郷土の視点も併せて複合的な取組みを検討している点は評価できる。 いただいたご意見も踏まえ、引き続き取組みを進めてまいります。 5 文化財関係の予算の充実を図ってほしい。また、文化財は「活用」よりも「保全」に重点が置かれているのが現状だが、積極的な活用を検討してほしい。また、小学生に学校教育の中で文化財に触れる場や活用する場を提供してほしい。 平成29年に定めた世田谷区文化財保存活用基本方針では、文化財を中心として地域のつながりがより豊かになるよう、文化財の保存・活用の推進に向けた方針を掲げております。同方針と整合を図りながら、文化財の保存・活用に取り組んでまいります。 6 子ども達が教育の場で歌舞伎に触れる取組みを提案したい。歌舞伎鑑賞や歌舞伎に関するイベントへの参加を通して、子ども達が貴重な経験を積み、人間性を磨くことに繋がるとともに、文化・芸術の保全・継承において大きな課題となる費用面での貢献が期待できる。 日本固有の伝統芸能に対する関心を高める機会として、区立小学校6年生を対象に狂言のワークショップを実施する小学校古典芸能鑑賞教室を実施しております。ご提案の歌舞伎に関する鑑賞等の取組みの実施については、今後の施策の参考とさせていただきます。 7 親の経済格差が子どもの体験格差に影響している今、NPOを含む民間団体への支援強化を図る意味でも「文化関係のNPOと行政との連携強化のためのネットワーク構築の推進」を「繋がる」に明記してほしい。 「推進体制」として、「多様な主体との連携」を位置づけ、連携・協働して取組みを進めることの重要性を掲げております。このような考え方に基づき、引き続き施策の充実に取り組んでまいります。