世田谷区第4期文化・芸術振興計画(案)概要版 令和6年2月 世田谷区 第1章 計画の策定にあたって 1 第4期文化・芸術振興計画策定の趣旨 第3期文化・芸術振興計画(平成30年度~令和3年度) 第3期文化・芸術振興計画(調整計画)(令和4年度~令和5年度) <社会状況の変化> コロナ禍、DX・SDGsの進展、法改正等の趣旨 第4期文化・芸術振興計画(令和6年度~令和13年度) 2 計画の位置づけ 本計画における「文化・芸術」 文化芸術基本法の例示に加え、年中行事等の地域の伝統的文化、景観・風景・街並み等の文化的な環境、生活様式等、人間の生活とその精神活動に関わること 文化芸術基本法による例示(参考) 条 条文 第8条 文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術(メディア芸術を除く) 第9条 映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(メディア芸術) 第10条 雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊、歌唱その他の我が国古来の伝統的な芸能 第11条 講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く) 第12条 生活文化(茶道、華道、書道、食文化その他の生活に係る文化)、国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽)並びに出版物及びレコード等 第13条 有形及び無形の文化財並びにその保存技術 第14条 各地域における文化芸術の公演、展示、芸術祭等、地域固有の伝統芸能及び民族芸能に関する活動 3 計画期間 令和6年度(2024年度)~令和13年度(2031年度)の8年間とし、令和9年度に中間見直しを実施する。 4 計画の進行管理 本計画に基づく施策を着実に推進するため、PDCAサイクルによる進捗管理を行う。 第2章 文化・芸術を取り巻く環境 1 文化・芸術を取り巻く環境 社会環境の変化 ・世界情勢の混沌化、社会的な不安感 ・少子高齢化の加速による社会活力低下 ・高度情報化とDXの進展 ・SDGsへの意識の高まり 国の動向 ・文化芸術基本法の改正  振興対象範囲の拡大(食文化など) ・文化芸術推進基本計画(第2期)  文化・芸術の社会的・経済的価値の重要性の再認識 ・文化財保護法改正  保護体制の強化と観光等への活用強化 東京都の動向 ・東京文化戦略2030 2 新型コロナウイルス感染症の影響 社会環境の変化 ・文化施設の休館や利用人数制限 ・文化・芸術活動の場所や機会の減少 ・オンライン配信の拡大 ・「3密」を避けたイベント開催手法 区の政策 ・アーティストや民間施設への支援 ・オンライン配信やSNSを活用した区民参加型の情報発信の強化 3 世田谷区の文化・芸術の特色と歩み 歴史・文化財 「世田谷区文化財保護条例」「世田谷区文化財保存活用基本方針」に基づく歴史・文化財等の保護と活用 施設整備・事業展開 世田谷美術館、世田谷文学館を始めとする区立文化施設の整備と、せたがや文化財団との連携による文化・芸術事業の展開 条例・計画 「世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例」の制定及び「世田谷区文化芸術振興計画」による文化施策の推進 場の充実 各地域区民会館等の整備による、身近な場所で文化・芸術に接し、また文化活動の練習や発表を行う場の充実 区内の文化環境 地域ごとの独自の文化環境、区内民間文化施設の存在、区内在住のアーティスト、アマチュアの文化活動、地域の文化・芸術活動 第3章 第3期文化・芸術振興計画の評価 1 施策目標の取組み状況・評価 施策 目標 施策の方向 主な実績 評価 1 発信する 1 世田谷の文化・芸術情報の収集・発信 ・ホームページ、メールマガジン、ブログ、ツイッター、Instagram、動画配信、ポッドキャスト等による発信 ・SNSを活用した区民参加型の情報発信に取り組み、来場者の増加に繋がった。 2 世田谷の文化・芸術の魅力を高め、広める取組み ・せたがやガイドブックの配布 ・海外招聘公演の実施 ・多種多様な観光情報冊子の積極的な配布により区内外に区の魅力を広くPRした。 2 親しむ 1 誰もが、文化・芸術を身近に鑑賞・体験ができる機会の充実 ・様々な企画展、コレクション展 ・せたがやまちかど・まちなかコンサート ・高齢者・障害者施設等への出張公演 ・リアルとオンラインの二方向での事業展開などにより参加者の層が広がった。 ・訪問が不可の施設について、特製DVDを作成し、配布した。 3 支える 1 区民、団体の文化・芸術活動や文化施設等の支援 ・文化・芸術活動継続支援事業の実施 ・区民ギャラリー等の貸出 ・障害者施設アート展の実施 ・コロナ禍で活動継続が困難となったアーティストや民間文化施設への支援に取り組んだ。(せたがや元気出せArtsプログラム) ・障害者施設アート展では動画配信も併用。 2 次代を担う人材の発掘・育成 ・ネクストジェネレーションの実施 ・大学生インターンの受入れ ・博物館実習の講義や実践 ・学生インターンや学芸員育成のための実習の実施等により実践的な学びの機会を提供した。 4 育む 1 次代を担う、子ども・若者の創造性を育む取組みの推進 ・区立保育園・幼稚園への出張ワークショップ、音楽鑑賞教室、美術鑑賞教室、古典芸能鑑賞教室の実施 ・出張ワークショップの実施や、音楽や美術、古典芸能の鑑賞教室の開催等により鑑賞・体験機会の充実を図った。 5 活かし・つなぐ 1 多様な文化資源やせたがやらしさを活かした取組みの推進 ・歴史講座、野外歴史教室、特別展等の実施 ・郷土歴史文化特別授業の実施 ・無形民俗文化財の映像を制作・公開し、記録に残すとともに文化財の普及啓発に繋げることができた。 ・文化財ボランティアの活動の場の定着 2 多文化共生と国際施策の推進 ・姉妹都市等との交流 ・にほんご交流会等の実施 ・姉妹都市との交流や国際メッセのオンライン開催など工夫して実施し、異文化理解・多文化共生を考える機会を創出した。 2 文化・芸術に関する区民意識調査結果 ・文化・芸術の鑑賞率 79.5% 鑑賞しなかった理由 新型コロナウイルス感染症の影響 52.2% テレビ、CD、ネット等で鑑賞できるから 28.3% 関心がない 15.1% ・自ら行う文化・芸術活動の活動率 25.8% 活動しなかった理由 関心がない 27.6% 新型コロナウイルス感染症の影響 25.4% 時間がない 24.7% ・文化・芸術に関する情報の入手しやすさ 入手しやすい 32.9% 入手しにくい 37.1% ・区の文化施策として重視してほしいこと 身近なところで気軽に文化・芸術に触れられる機会の充実 65.3% 文化財や史跡などを保存・活用し、区の魅力としてアピールする 52.9% 子どもがもっと文化・芸術に触れられる機会の充実 50.2% 3 第4期に向けた課題 (1)情報発信力の強化 SNSを中心に情報収集を行う若年層に対する情報発信について、更なる工夫が必要である。 (2)身近な場所での鑑賞や活動の推進 文化・芸術施策において、身近な場所での鑑賞や活動は区民が最も求めているものであり、引き続き推進していく必要がある。 (3)文化資源の確実な保存 美術品や文学作品等文化資源を確実に次世代に継承するため、文化芸術施設を計画的に改修し、効率的な更新を図っていく必要がある。 (4)文化・芸術活動場所の拡充 活動場所の不足の声があるため、再整備を行っている世田谷区民会館の練習室の活用等、多様な活動場所のさらなる拡充が必要である。 (5)文化・芸術を通した交流の促進 文化・芸術を通した交流の促進により、文化・芸術に関する関心を高め、新たに活動を始めるきっかけづくりが必要である。 第4章 計画の基本的な考え方 1 将来像 ・コロナ禍における文化・芸術活動への影響 ・法改正による文化芸術の範囲拡大(食文化等の追加) ・文化・芸術に関する区民意識調査における意見等 ・世田谷区民会館の文化・芸術拠点としての再整備 誰もが文化・芸術を楽しめるまち 世田谷 年齢、国籍、障害の有無、また経済的状況に関わらず、区民の誰もが文化・芸術に親しみ、また民間団体、大学等と連携・協力しながら、将来像の実現を目指す。 2 基本目標 Ⅰ 区民が文化・芸術を身近に感じられる取組みの充実 Ⅱ 文化・芸術活動の場や機会の充実 Ⅲ 多様な文化・芸術の発展と次世代への継承の推進 3 成果指標 文化・芸術に親しめる環境の区民満足度 鑑賞活動への区民参加の割合 文化・芸術の創作活動等への区民参加の割合 4 推進体制(連携強化) 庁内連携 教育、福祉、産業、まちづくりなど せたがや文化財団との連携・協力 公益財団法人せたがや文化財団の総合力、専門能力を活かした更なる連携強化 多様な主体との連携 地域の文化・芸術活動団体、アーティスト、商店街、NPO、民間文化施設、大学等の教育・研究機関他 第5章 計画の内容 1 取組みの方向性 1 触れる 従前の取組みに加え、これまで文化・芸術に親しむ機会が少なかった方や関心が低い方に対する情報発信や、文化・芸術の楽しさや魅力に触れる機会の創出 2 楽しむ 文化・芸術に関心を持った方が、日常的かつ継続的に楽しさや魅力を感じることのできる機会を用意し、さらに関心を深めることができるような取組みの充実 3 創る 自ら文化・芸術活動を行う方や、新しく活動を始める方の機会や支援の充実。また、世田谷の多種多様な文化を区の魅力として広めていく取組み 4 繋がる 新たな担い手や団体間の交流促進に向けた支援。また、区内にある様々な文化資源の保存・継承と活用により、世田谷区の魅力を高める取組み 2 計画の体系 将来像 誰もが文化・芸術を楽しめるまち 世田谷 基本目標 Ⅰ 区民が文化・芸術を身近に感じられる取組みの充実 Ⅱ 文化・芸術活動の場や機会の充実 Ⅲ 多様な文化・芸術の発展と次世代へ継承 取組みの方向性と内容 1 触れる 誰もが文化・芸術に触れることができるよう、文化・芸術の楽しさや魅力に触れる機会の創出を図る。 ・様々な世代に向けた多様な手段による情報発信 ・誰もが、身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実 オンライン・紙媒体による多様な情報発信 世田谷の文化的な魅力についての情報発信 世田谷の歴史・文化・芸術に関するデジタルコンテンツの充実 子どもの鑑賞・参加機会の充実 学校や施設等におけるアウトリーチ活動 区の文化資源を活かした鑑賞機会等の充実 2 楽しむ 新たに文化・芸術の拠点と位置付けた世田谷区民会館を、「文化・芸術を鑑賞するだけでなく楽しめる場所」とする。 ・文化・芸術を楽しめる場や機会の提供 ・文化・芸術を通じた交流の場や機会の提供 ・まちなかで文化・芸術を楽しめる取組みの充実 伝統文化を楽しむ機会の提供 地域発信の文化・芸術による交流促進 昔の暮らしや風習などを体験する機会の提供 文化・芸術の参加機会の充実 デジタル技術を活用した文化・芸術を楽しむ機会の提供 文化・芸術活動団体間の交流支援 3 創る 区民の文化・芸術活動を支援することで文化・芸術の土壌を豊かにし、活動や交流の活性化を図る。 ・誰もが、文化・芸術活動をできる機会や支援の充実 ・世田谷の多種多様な文化を広める取組みの推進 地域の文化・芸術活動団体の発表の場の充実 若者が主体的に参画し、地域で活躍する機会の創出 文化・芸術活動団体への支援 子どもの作品展の実施 文化・芸術の発表の場の提供 障害者の文化・芸術活動支援 4 繋がる 地域に根差し、受け継がれてきた歴史や文化財、伝統文化や風景等を次世代へ継承するため、確実な保存を図る。 ・次代の文化・芸術を担う人材の発掘、育成、交流・支援活動 ・文化資源等を活用したまちづくり、観光事業の取組みの推進 ・文化資源の保存と継承 ・国際交流の推進 文化施設の地域連携 専門的な人材育成、交流・支援 地域の歴史や食文化を学ぶ機会の提供 ボランティアの育成・支援 文化・芸術施設の計画的な改修と美術品等の保存・活用・継承 姉妹都市を始めとする国際交流の推進