世田谷区第4期文化・芸術振興計画(案) 令和6年(2024)度~令和13年(2031)度 世田谷区 令和6年2月 第1章 計画の策定に当たって 1.第4期文化・芸術振興計画策定の趣旨 文化・芸術に触れ、その活動に参加することは、人々の創造力を刺激し、育み、豊かな人間性を涵養します。文化・芸術活動の高まりは、充足感と人々の思いやりや相互関係を深め、多様性や包摂性のある地域社会の形成に繋がります。 世田谷区は、昭和61年に世田谷美術館、平成7年に世田谷文学館、平成9年には世田谷文化生活情報センターを開館するなど、全国に先駆けて区立文化施設を整備し、文化・芸術振興に取り組むとともに、豊かな自然環境と閑静な住宅街を背景に、文化・芸術の振興に努めてきました。 そのような中、「区民一人ひとりが生き生きと暮らし、誇りを持って住むことのできる地域社会の実現」のため、平成18年4月に「世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例」を施行し、文化芸術に関する基本理念を明らかにし、区・区民・事業者等の協働による文化芸術の振興に関する施策を進めてきました。また、平成19年には、条例に基づく「第1期文化・芸術振興計画」(平成19年度~平成21年度)を策定し、文化・芸術に関する施策が目指す将来像を区民に示し、計画的に取組みを進めてきました。 また、平成25年9月に区議会の議決を得て、概ね20年間における公共的指針として定めた「世田谷区基本構想」では、「九つのビジョン」の一つとして、「文化・芸術・スポーツの活動をサポート、発信する」を掲げ、区民が日常の中で文化・芸術に親しみ、交流できる環境を整えるとともに、世田谷ならではの文化資源を将来世代に引き継ぐことを目標としています。 この度、平成30年に策定した「第3期文化・芸術振興計画」(平成30年度~令和3年度)で掲げた将来像を継承して令和4年3月に策定した「第3期文化・芸術振興計画(調整計画)」(令和4年度~令和5年度)が令和5年度をもって最終年度を迎えることから、コロナ禍やSDGs等の社会状況の変化を踏まえ、区の中長期的な文化・芸術政策の将来像や取組みを示す新たな計画として「第4期文化・芸術振興計画」(以下、「本計画」という。)を策定します。   2.計画の位置づけ 本計画は、「文化芸術基本法」及び「世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例」に基づき、世田谷区の文化・芸術政策を推進する計画として策定するものです。また、平成30年施行の「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」の趣旨を踏まえ策定しています。国の「文化芸術振興基本計画(第2期)」や東京都の「東京文化戦略2030」と整合を図りました。 また、区の公共的指針である「世田谷区基本構想」及び区の最上位計画である「世田谷区基本計画」や、関連計画である「教育振興基本計画」「せたがやインクルージョンプラン」等と整合を図るとともに、地区・地域における取組みについては、世田谷区地域行政推進計画との整合を図り、関係所管と連携して取組みを進めます。 【参考】本計画における「文化・芸術」 本計画における「文化・芸術」とは、文化芸術基本法に例示しているものに加え、年中行事等の地域の伝統的文化、景観・風景・街並み等の文化的な環境、生活様式等、人間の生活とその精神活動に関わることを想定しています。 条 条文 第8条 文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術(メディア芸術を除く) 第9条 映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(メディア芸術) 第10条 雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊、歌唱その他の我が国古来の伝統的な芸能 第11条 講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く) 第12条 生活文化(茶道、華道、書道、食文化その他の生活に係る文化)、国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽)並びに出版物及びレコード等 第13条 有形及び無形の文化財並びにその保存技術 第14条 各地域における文化芸術の公演、展示、芸術祭等、地域固有の伝統芸能及び民俗芸能に関する活動 3.計画の期間 本計画は、文化・芸術に関する施策が中長期的な視点で取り組むべきものであることや、区の総合計画である「世田谷区基本計画」との整合を図るため、計画期間を令和6年度から令和13年度までの8か年とします。 なお、社会経済状況や区の文化・芸術を取り巻く環境の変化を反映するため、令和9年度に中間見直しを行います。 4.計画の進行管理 本計画に基づく施策を着実に推進するため、PDCAサイクルによる進捗管理を行います。 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により文化・芸術活動が大きな影響を受けたように、施策の推進に当たり、前提となる社会経済状況に大きな変化が生じた場合等については、迅速に把握・分析し、必要に応じて施策・事業の見直しを行います。 第2章 文化・芸術を取り巻く環境 1.文化・芸術を取り巻く状況 (1)社会環境の変化 ①世界情勢の混沌化 令和4年2月に開始されたロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、令和5年10月から激化したイスラム武装組織ハマスとイスラエルの戦闘は、多くの命を奪うとともに、世界経済にも影響を及ぼしています。 原油価格高騰、小麦等の食糧供給の不安定化、グローバルな物流網の混乱などにより我が国においても物価が高騰し、区民の暮らしを圧迫しています。また、エネルギーや食糧といった生活の土台が揺らぐことによる社会的な不安感がひろがり、厳しさを増す日常生活を前に、文化・芸術の持つ本来の魅力を楽しむ機会が減少することが危惧されています。 ②少子高齢化の加速 我が国では、高齢化と少子化が世界に例を見ない速さで進んでいます。若者を中心とする人口の急激な減少により社会の活力が低下してきています。 令和5年7月の世田谷区将来人口推計によると、世田谷区では今後も人口は微増が続きますが、令和24年をピークに減少に転じると推計しています。しかし、単身世帯が核家族世帯を上回って最多となるなど、単身世帯や高齢世帯が増加しており、社会的孤立や貧困、災害時支援等への影響が懸念されています。地域コミュニティの維持・活性化に向けて、文化・芸術が持つ、感動を共有し人と人との心の結びつきを作り上げる力、心のケアを可能にする力などの活用が期待されています。 ③高度情報化とデジタル・トランスフォーメーション(DX) の進展 現在、世界で、人工知能(AI)、IoT 、ビッグデータ などの新しい技術により、社会のあらゆる分野において革新的な製品やサービスが創出されています。国としても、これらの最新技術により経済発展とともに社会的課題の解決を図り、誰もが快適で質の高い生活を享受できる未来社会「Society5.0」を目指すこととしています。 文化・芸術においても、こうしたデジタル技術を活用した新たな表現、文化財の鑑賞などが次々に展開されています。また、今の子どもたちは、生まれた時からスマートフォンやタブレットが身近にあり、それらを活用して日常的に配信で音楽や映像を楽しんだり、自ら作った作品を世界に発信したりしています。こうした新たな環境における作品の権利保護のあり方も課題になっています。 ④持続可能な社会への意識の高まり 2030年までに達成するべき持続可能な開発目標(SDGs)が、将来に向けた人類共通の目標として社会に浸透してきています。 SDGsには「誰一人取り残さない社会」の実現を目指して17のゴールと169のターゲットが示されており、地球環境保護、多様性の尊重、多文化共生等への意識が高まっています。 文化・芸術においても、年齢、性別、LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ、国籍、障害の有無、経済的な状況などに関わらず、誰もが身近に文化・芸術に接することができる環境づくりや、地域課題の解決といった視点が求められています。 (2)文化・芸術に係る国・東京都の動向 ①国の動向 ア 文化芸術基本法、文化芸術基本計画   平成29年、それまでの「文化芸術振興基本法」が「文化芸術基本法」に改正されました。この改正により、文化・芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連する各分野との連携の上での総合的な推進へと、方向性が変わりました。また、文化財や芸術・文化ジャンルに加えて、茶道・華道・書道などを始めとする生活文化や食文化なども推進することとされています。   同法の規定に基づく「文化芸術推進基本計画(第1期)」(計画期間:平成30年度~令和4年度)では、社会環境変化なども踏まえて、これまで文化行政が中心としてきた文化・芸術の鑑賞や活動を「本質的価値」として変わらず推進していくとともに、文化・芸術を活用することで生まれる住民の一体感醸成や地域活性化などの効果を「社会的・経済的価値」として明確に位置づけ、こうした多面的な推進を行っていくために他省庁との連携が必要としました。   第2期計画(令和5年度~令和9年度)では、第1期計画で掲げた「本質的価値」「社会的・経済的価値」という基本を前提としたうえで、文化観光やコンテンツの国際市場進出など「社会的・経済的価値」をより強く意識した内容となっています。 イ 文部科学省設置法の改正   「文化芸術基本法」改正を経て、平成30年に「文部科学省設置法」が改正され、文部科学省及び文化庁の任務について、文化の振興に加え、文化に関する施策の総合的な推進が位置付けられました。   また、これまで文部科学省が所管していた学校教育における芸術教育や博物館に係る業務を文化庁に移管し、このうち博物館業務については、これまでも文化庁が関わっていた美術館と歴史博物館に加えて、水族館、動物園及び科学博物館等も含むよう拡大しました。 ウ 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の制定   平成30年に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が制定されました。   この法律は「文化芸術基本法」及び「障害者基本法」の基本的な理念に基づき、障害者による文化・芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することによって、障害者の個性と能力の発揮及び社会参加を促進させることを目的としています。 エ 文化財保護法の改正   「文化財保護法」は、平成30年に大きく改正され、文化財の滅失や散逸等を防ぐための保護体制の強化と、文化財の観光などへの活用が強く打ち出されました。   なお、同法については、令和3年にも、無形文化財及び無形の民俗文化財登録制度の新設、地方公共団体による文化財の登録制度の新設などを内容とする改正が行われています。 オ 博物館法の改正   「文部科学省設置法」の改正により博物館の所管が文部科学省から文化庁に移ったことを受けて、「博物館法」も令和4年に改正されました。この改正により、これまでは「社会教育法」の下にあった「博物館法」を、「社会教育法」に加えて「文化芸術基本法」の精神に基づくことと定め、また、他の博物館や地域の多様な主体との連携、地域の活力向上への取組みを努力義務としました。 ②東京都の動向 東京都では、令和4年3月に、「東京文化戦略2030~芸術文化で躍動する都市東京を目指して~」(令和4年度~令和12年度)を策定しました。 この計画では、新型コロナウイルス感染症の影響や、東京2020大会の文化プログラム(Tokyo Tokyo FESTIVAL)とそこから生まれたレガシーを踏まえて、2040年代の東京の姿を「都民の誰もが身近に芸術文化に触れることのできる環境が整い、アーティストが成長」「楽しむ、発見する、育てる、創造する好循環が生み出されることで、アートシーンが拡大」「芸術文化で東京が躍動し、都民の生活がより豊かになる」と想定し、その実現に向けて次の4つの「戦略」を掲げています。   戦略1 誰もが芸術文化に身近に触れられる環境を整え、人々の幸せに寄与する     ~人々のウェルビーイングの実現に貢献する   戦略2 芸術文化の力で、人々に喜び、感動、新たな価値の発見をもたらす     ~人々をインスパイアする   戦略3 国内外のアートシーンを中心として、世界を魅了する創造性を生み出す      ~芸術文化のハブ機能を強化する   戦略4 アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みをつくる     ~持続性のある芸術文化エコシステムを構築する 2.新型コロナウイルス感染症の影響 令和元年12月に初めて確認された新型コロナウイルス感染症は、その後急速に世界中に拡大し、多くの感染者や死者を記録するなど人類の生命や健康を脅かしただけでなく、あらゆる分野の活動や人々の暮らしにも甚大な影響を及ぼしました。日本では、緊急事態宣言等が繰り返し発出されることにより、「不要不急な行動」の制限や自粛が求められ、また、ワクチン住民接種の実施に伴う公共施設の利用の制限などにより、人々の日常生活は大きな制限を受けることになりました。 文化・芸術は、コロナ禍により最も大きな影響を受けたジャンルのひとつです。新型コロナウイルスが飛沫を通じて感染することから、演奏やセリフによる表現活動は感染リスクが高いとされ、また、人が集まることを避ける観点から、展覧会も不適切とされた他、映画や映像の制作などの創作プロセスにおいても、人の集合を伴う場合、行動制限により支障が発生しました。 美術館や劇場などの文化施設は休館や開館時間・利用人数の制限を余儀なくされ、文化施設はもちろんのこと、アーティストや表現活動を支える舞台技術者や裏方、関係者は壊滅的な打撃を受けました。令和2年のライブ・エンタテインメント市場規模は前年の82.4%減となりました。同時期の飲食業が26.6%減、宿泊業が37.2%減、航空業が51.7%減であったことと比較すると、他の業種に比べても影響が大きかったことが分かります。 一方で、「新たな生活様式」の普及に伴い、オンライン配信や「3密」を避けたイベント開催など、新しい手法を活用した活動も広がりを見せました。 世田谷区においても、緊急事態宣言の発出により、世田谷美術館、世田谷文学館をはじめとした文化施設は休館し、また、身近な文化・芸術活動の練習・発表の場であった区民会館や区民センター等の公共施設が感染拡大防止やワクチン住民接種会場となることにより利用できなくなるなど、区民がコロナ禍前の文化・芸術活動を継続したり、新たに文化・芸術に親しんだりすることが難しい状況が続きました。そのような中で、各文化施設ではオンライン配信やSNSを活用した情報発信などに取り組み、また、区では「せたがや元気出せArtsプログラム」を実施し、令和2年度にはコロナ禍により活動の制限を余儀なくされたアーティスト・施設等を対象として、令和3年度にはアーティストや団体等による主体的・積極的な文化・芸術活動の再開・継続を対象に、支援事業を実施しました。 令和5年5月には新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけが2類から5類感染症に移行し、感染対策は個人や事業者の主体的な選択に委ねられるなど、徐々に普段の生活を取り戻していくのに伴い、文化・芸術を取り巻く状況もコロナ禍前に少しずつ戻りつつあります。 今後は、コロナ禍による活動の停滞を取り戻し、再び文化・芸術活動がまちの賑わいや活性化につながるような環境づくりに取り組む必要があります。 3.世田谷区の文化・芸術の特色と歩み (1)歴史・文化財等の保護と活用 区では、昭和37年に刊行した『新修世田谷区史』の編さん事業により、郷土史の資料の収集・研究に取り組み、昭和39年9月には、都内最初の公立地域博物館となる「世田谷区立郷土資料館」を開設し、区内外における世田谷区に関する歴史資料等の収集、整理、保存、調査・研究を行い、その成果の一般公開を進めてきました。 昭和52年には「世田谷区文化財保護条例」を制定し、文化財の総合調査を進めるとともに、指定や登録により文化財の保存と活用を図り、区民への文化財の公開や郷土学習の支援に取り組みました。 しかし、社会経済状況の変化に伴い、文化財を取り巻く環境も変貌し、かつての世田谷の姿を思い起こさせる資料や風景が少なくなっており、文化財の保存も難しい状況にあります。 このような状況に対応するために、区では平成29年4月に「世田谷区文化財保存活用基本方針」を策定し、文化財を複合的に捉えて価値や魅力をわかりやすく示し、地域の歴史・文化や風景等の保護・継承していくための施策を進めてきました。 また、区内には、世田谷の歴史・文化に触れることができる施設や行事があります。例えば岡本公園民家園・次大夫堀公園民家園では古民家やかつての暮らしを体験でき、長い歴史を持つ世田谷ボロ市は毎年全国から多くの人を集め、芦花公園で行われる蘆花まつりは地域の人々に愛されるイベントに育つなど、地域に根付いて活用されている文化財が数多くあります。他にも、区内には伝統芸能も多数存在しており、区も発表の場を提供するなど活動を支援しています。 (2)施設整備及び文化・芸術事業の展開 ①世田谷美術館 昭和50年代前半、地域の文化・芸術に触れる機会や場を求める区民の声の高まりを受け、区は「世田谷美術館」を、昭和61年3月、都立砧公園内に開設しました。 恵まれた自然環境を活かした空間の中で、展覧会をはじめ講座やワークショップなど様々な活動を通して芸術との出会いの場を提供するこの美術館は、充実した収蔵作品や個性的な企画展とともに、当時は全国にほとんどなかったカフェやレストランの併設、ワークショップやアウトリーチなどの教育普及活動により、新しい「芸術との出会いの場」として全国的に大きな話題となりました。 その後、世田谷ゆかりの作家やその遺族からの寄贈により、平成5年7月「向井潤吉アトリエ館」、平成15年11月「清川泰次記念ギャラリー」、平成16年4月「宮本三郎記念美術館」を分館として開設しました。 いまも、全国から注目される意欲的な企画展を継続的に開催し、美術を専門的に学ぶ人から子どもまで幅広く支援・育成する教育普及活動を展開するなど、更なる活動の充実を図っています。 ②世田谷文学館 昭和61年、世田谷文化会議からの提言を受けて文学館整備の検討が進み、平成7年4月、東京23区では初の地域総合文学館として「世田谷文学館」が設置されました。 世田谷にゆかりのある作家の原稿や資料などを収蔵し、世田谷の文学遺産を次代に承継するとともに、身近な文学者や世田谷の風土を学び知る場として、映画、音楽、演劇、朗読、創作活動など、ジャンルを超えた幅広い活動を行う文学館を目指し、魅力的な展覧会の開催、様々な教育普及活動を展開しています。近年では収蔵品の一部をホームページで公開するなど、時代に即した多様な手法を用いた情報発信にも積極的に取り組んでいます。 ③世田谷文化生活情報センター 平成9年4月に、創造的な文化施設として、「生活工房」と「世田谷パブリックシアター」で構成された「世田谷文化生活情報センター」を開設しました。 「世田谷文化生活情報センター」は、全国の劇場・音楽堂等の概念を大きく変革する施設となりました。当時の劇場・音楽堂等の大半がクラシック音楽の買取型鑑賞事業を主体としていたのに対して、「世田谷パブリックシアター」は、現代演劇とダンスを中心ジャンルとして、海外の劇場と同じように作品制作機能を有し、区民に質の高い作品を提供しました。また、「生活工房」は、「暮らし×デザインの交流拠点」をコンセプトに、日常の暮らしに身近なデザイン、文化、環境などをテーマに新しいライフスタイルを提案しました。 とりわけ特徴的だったのが、国内の劇場・音楽堂等で初めて学芸部門を設置し、文化・芸術の普及、地域とのつながりや子どもや青少年の育成、アーティストの育成などに着目した点です。また、質の高い施設運営により劇場・音楽堂等を支える人材を輩出している点でも知られています。 現在も、国内外の賞を受賞する質の高い作品制作や地域の文化活動支援のほか、高齢者や障害者による表現の支援、地域とのつながりづくり、子ども向けプログラムなど、区の総合的な文化・芸術振興と社会包摂に資する多様な事業を展開しています。 平成19年に発足した音楽事業部(せたおん)も、常に最先端の公立文化施設運営を行ってきた世田谷区らしい新たな着眼点によるものでした。全国では劇場・音楽堂等を整備して、その場を活用する事業として公演等を実施する自治体が多いなか、公演内容に合わせて主に区立施設を使用してコンサートや教育普及活動等を通じて地域の音楽文化振興を行う音楽事業部の活動は、新しい文化事業として全国からも注目されています。 令和2年4月には、在住外国人の増加や東京2020大会を契機とした国際化気運の高まり等を踏まえ、国際施策の充実・発展に向けて、世田谷文化生活情報センターに新たな組織として「国際事業部」を設け、「せたがや国際交流センター」を開設しました。 SDGsなどにより、世界的に多様性への理解や多文化共生がこれまで以上に重要視されるなか、国際化に向けても積極的に取り組んでいます。   ④せたがや文化財団の設立 平成15年4月、それまでの施設運営等の実績を相互に連携させ、区における質の高い文化・芸術の展開と区民の自主的な文化創造活動の支援を実現するために、財団法人世田谷区美術振興財団と財団法人世田谷区コミュニティ振興交流財団を統合して新たに財団法人せたがや文化財団を設立しました。同財団は平成23年4月には公益財団法人となり、文化・芸術に関する活動の幅を拡げ続けています。 (3)条例の制定 区では、文化・芸術活動の自主性・創造性を尊重し、その活動の環境整備とともに、区、区民、民間団体、他の自治体等の相互の連携による文化・芸術振興を図るために、平成18年4月に、「世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例」を施行しました。 この条例に基づき、平成19年度を初年度とする「世田谷区文化・芸術振興計画」策定後、社会状況や環境変化などを踏まえた2つの調整計画、第2期計画の策定を経て、平成30年度~令和3年度を計画期間とする第3期計画、令和4年度~令和5年度を計画期間とする第3期世田谷区文化・芸術振興計画(調整計画)を策定し、施策推進に取り組んでいます。 (4)文化・芸術に身近に接する場の充実(全区的な文化・芸術拠点の整備) 身近な地域で文化・芸術に接する場、あるいは区民が文化活動の練習や発表を行う場として、各地域に区民会館等が整備されています。 この中で、世田谷区民会館は長年区民に親しまれてきましたが、令和3年7月から始まった世田谷区本庁舎整備工事に併せて、多様な文化・芸術活動拠点施設として生まれ変わるべく、舞台機構・音響・照明設備の改修や練習室新設などを含む再整備を行っています。改修後は、区民自治と協働・交流の拠点として、また、音楽や演劇等のイベントや公演など多様に対応できるホールとして、文化・芸術の魅力を発信していきます。 (5)区内の文化環境 民間の文化施設や大学等教育機関、各種団体、区民が、それぞれの立場で地域における文化・芸術環境を作り出しているのも、世田谷区の大きな特徴です。 区内には民間の文化施設が複数ありますが、国宝8点、重要文化財83件(併設の大東急記念文庫所蔵品を含む)を所蔵する五島美術館があり、広い庭園とともに区内外から愛されています。長年親しまれてきた静嘉堂文庫美術館は、ギャラリー機能は他区に移転しましたが、静嘉堂文庫は研究者向けの専門図書館として、近世以前(江戸時代末まで)に作られた書物である古典籍の保存、活用を行っています。 また、下北沢に8つの劇場を展開する本多劇場グループは、我が国の小劇場演劇を長年支えてきました。こうした劇場と、若手アーティストの登竜門としても著名な「下北沢演劇祭」「下北沢映画祭」、区内在住のアーティストも活躍する「下北沢音楽祭」、個性的なライブハウス、カフェ、古着屋などが融け合い、下北沢は「演劇のまち」「音楽のまち」「若者文化のまち」と呼ばれ、国内外から多くの人を惹きつけています。 下北沢だけでなく、区内の各地域にはそれぞれの魅力があり、独自の文化・芸術イベントを行っています。二子玉川では日本最大規模の子ども国際映画祭である「キネコ映画祭」や多摩美術大学によるパフォーマンスイベント「タマリバーズ」が開催されています。また、世田谷地域では東京都指定無形民俗文化財である「世田谷のボロ市」、烏山地域では蘆花恒春園と連携した「蘆花まつり」、北沢地域では羽根木公園で実施する「せたがや梅まつり」、砧・玉川地域では「たまがわ花火大会」など、地域の歴史や文化資源、自然環境を活かしたイベントが開催されます。 区におけるこうした文化・芸術イベントの特徴は、地域の人々の主導のもと、地元商店街、町会・自治会、企業、大学、区の総合支所、せたがや文化財団などの連携により実施され、いずれも長年続いていることです。 こうした地域の魅力づくりには、区内在住のアーティストも数多く関わっています。区には多くの文化・芸術人材や在住の文化・芸術指導者も多く、プロの劇団や各ジャンルのプロ団体も区内に数多くみられます。 また、アマチュアの文化活動も盛んです。世田谷フィルハーモニー管弦楽団、世田谷区民合唱団、世田谷区民吹奏楽団、せたがやジュニアオーケストラ等の団体のほか、音楽、美術、工芸、演劇、ダンス、ミュージカル、そして新しい様々なジャンルなど多様な文化団体が活動しています。また、区には古くからの伝統芸能が多数あり、いずれも地域の人々によって保存・継承されています。 表現活動のみならず、地域の文化・芸術イベントや文化施設の運営、文化団体運営、社会的弱者支援などをボランティアとして支える区民も数多くみられます。区では全国的にみても早い時期から障害者アートの取組みを行ってきましたが、区民の活動としても、障害者や子どもと文化・芸術をつなぐNPO法人等が複数あり、活発に活動しています。 区内の17の大学(学部)も、地域連携事業として、子どもの文化・芸術体験プログラム、各種講座の開催、梅まつりなど地域の文化・芸術イベントへの出演や運営ボランティア参加、地域産業と連携した新製品開発など、多様な側面で地域の文化・芸術を支えています。また、博物館を有する大学も複数あり、研究成果を区民に公開しています。 こうした区民や民間による取組みに、区立文化施設の取組み、恵まれた自然環境、豊かな水と緑、区民の暮らしの基盤となる住宅街と景観整備の取組みなど、様々なものが複合したものが、世田谷の魅力、世田谷らしさに繋がっています。   第3章 第3期文化・芸術振興計画の評価 1.施策目標の取組み状況 (1)第1期から第2期の取組み結果 第1期(平成19年度~平成25年度) 世田谷区文化・芸術振興計画(平成19年度~平成21年度) 世田谷文化・芸術振興計画調整計画(新せたがやアートプラン)(平成22年度~平成23年度) 世田谷区文化・芸術振興計画第2次調整計画(平成24年度~平成25年度) 重点取組み 1 音楽文化の振興に向けた取組み 2 子どもの創造性を育む取組み 3 若手アーティストの飛躍機会の創出 4 まちの魅力向上やにぎわいづくり 5 ネットワークと協働による文化・芸術の振興 取組み結果 1 せたがや文化財団に音楽事業部を設置し、区内の様々な施設や場を活用した広がりのある事業展開、区民活動支援、育成型の事業の充実を図った。 2 「遊びと学びのこどもプロジェクト」として事業化し、夏休みを中心とした体験型の子ども向け事業を区内の多様な文化施設で展開した。 3 「世田谷区芸術アワード“飛翔”」実施による若手アーティストの飛躍機会を創出した。 4 「商店街アートプロジェクト」「芸術百華」により区内のにぎわいを創出した。 5 「世田谷アートネットワーク会議」を形成し、「アートマップ」を作成した。 最終年度実施区民意識調査 問「あなたご自身が文化・芸術にどのように関わっていますか。」 文化・芸術活動(鑑賞、活動)を行っている人の割合 79.8% 文化・芸術活動(鑑賞、活動)を行っていない理由 時間的な余裕がないから 52% 興味があるものがない・少ない41.2% 第2期(平成26年度~平成29年度) 世田谷区第2期文化・芸術振興計画(平成26年度~平成29年度) 重点取組み 1 文化・芸術に関する情報の集約と発信 2 文化・芸術の力を生活や地域に活かす 3 次代を担う世代の文化・芸術振興 4 文化・芸術を身近に感じられる環境づくり 取組み結果 1 文化・芸術に関わる情報誌の発行、ICTの利活用による情報発信の検討 2 商店街アートプロジェクトの拡充、医療や福祉、教育の現場で文化・芸術の力を活かす取組みの実施 3 「遊びと学びの子どもプロジェクト」の発行、せたがやジュニアオーケストラの継続的運営 4 歴史とアートに親しむ せたがや文化マップの発行、景観や風景を活かし、継承する取組み 最終年度実施区民意識調査 問「あなたは文化・芸術に関わる活動を行っていますか。」 文化・芸術活動(鑑賞・活動)を行っている人の割合 49.6% 文化・芸術活動(鑑賞・活動)を行っていない理由 時間に余裕がないから 50.8% 興味があるものがない・少ない 36.6% (2)施策目標の取組み状況・評価 第3期計画で掲げた施策目標ごとに取組みを検証し、第4期計画に向けた課題を示します。 施策目標1 世田谷の文化・芸術の魅力を発信する (第3期計画) さまざまな媒体を活用して、世田谷の文化・芸術に関する情報を効果的に区民や国内外に発信していきます。 (第3期調整計画) デジタル技術を活用した発信を強化するとともに、紙媒体での発信に継続して取り組む等、多様な手法を用いた情報発信を推進します。 【施策の方向1】 世田谷の文化・芸術情報の収集・発信 主な取組み ・世代や目的、新しい生活様式に対応したICT等の活用による情報発信 ・地域の特色を踏まえた情報発信 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 文化・スポーツ情報ガイド 年12回発行 202,600部、世田谷文学館ニュース 年2回発行 せたがや文化財団ホームページ、各施設ホームページ、メールマガジン、ブログ、ツイッター、Instagram、動画配信「世田美チャンネル」等、ポッドキャスト なぞとき風景PRESS発行 年1回 2,500部、せたがや風景MAP(改訂版)発行 年1回 5,000部 文化財紹介動画「静嘉堂文庫」及び「無形民俗文化財まむしよけ」の制作 ■区立文化・芸術施設 実施事業参加者・施設入場者推移 年度 生活工房 パブリックシアター 音楽事業部 国際事業部 美術館 文学館 平成30年度 132,017 220,974 16,158 ― 302,460 267,931 令和元年度 113,845 228,234 5,331 ― 259,088 252,502 令和2年度 44,163 100,974 3,189 2,214 151,349 165,620 令和3年度 212,399 147,748 2,608 5,047 276,315 270,977 令和4年度 159,741 214,182 6,350 7,056 352,362 375,167 〇世田谷美術館や世田谷文学館で一部写真撮影が可能な展覧会を開催したほか、世田谷文学館では収蔵品の一部をホームページで公開するなど、SNS等の区民参加型の情報発信等、時代に即した多様な手法を用いた情報発信に取り組んだ。SNSのフォロワー数も増加し、来場者の増加や満足度向上につながった。 【施策の方向2】 世田谷の文化・芸術の魅力を高め、広める取組み 主な取組み ・文化・芸術の力やせたがやらしい文化を広める取組みの推進 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 「せたがやガイドブック」の配付、三茶de大道芸の実施 他劇場との共同制作 1件、世田谷パブリックシアター新芸術監督就任記念イベント公開トーク実施 気象と音楽をテーマとした「異分野とのコラボレーション」の実施 海外招聘公演の実施 2本 〇多種多様な観光情報冊子を区内各所への配架やイベント出展時に配布することにより、区内外に世田谷の魅力を広くPRすることができた。 施策目標2 区民の誰もが文化・芸術に親しむ (第3期計画) 区民の誰もが、文化・芸術活動にふれ、体験・参加し、気軽に親しむことができる機会を充実していきます。 (第3期調整計画) 区民の誰もが文化・芸術に触れ、鑑賞、体験、参加し、親しむことができる環境を整えます。 【施策の方向1】 誰もが、文化・芸術を身近に鑑賞・体験ができる機会の充実 主な取組み ・年齢、国籍、障害の有無、また、経済的状況にかかわらず、身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実 ・音楽・演劇など多様な文化・芸術活動の拠点となる区施設の整備 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 「出版120周年 ピーターラビット™展」「絵本作家・わかやまけんの世界展」等企画展の実施 5本 「ヨシタケシンスケ展」「山下和美展」「萩原朔太郎展」の実施 収蔵品を活用したコレクション展の実施(世田谷美術館10回、世田谷文学館2回) 「どこでも文学館」出張展示の実施 49回実施 「世田谷パブリックシアター会場25周年記念ポスター展」等展示の実施 6本 Setagaya Arts Placeの実施 令和4年度 11件 せたがやまちかど・まちなかコンサート 5回実施 多様なジャンルの演奏会(せたがや音楽研究所、シリーズ和・華・調、世田谷アーティスト企画) 「@ホーム公演」(高齢者・障害者施設等への出張演劇公演) 7施設実施 〇新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、区立文化施設の休館や事業が延期・中止を余儀なくされるなど、計画どおりに取組みを進めることが困難な状況であったが、文学と現代アートのコラボレーションなど企画の工夫を図ったことによって若年層にも関心が広がり、令和3年度以降、世田谷美術館や文学館においては入場者数が令和元年度の水準を上回るなど、区民が多彩な文化・芸術活動に接することのできる環境は回復傾向にある。 〇身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実を図るため、商店街や区内で行われるイベントにアーティストを派遣する「Setagaya Arts Place」を実施し、コロナ禍による一部のイベントの中止はあったものの、まちの賑わい創出に取り組んだ。 〇リアルとオンラインの二方向での事業展開を行うことにより、日ごろ外出が難しい方の参加が可能となるなど、参加者の層が広がった。 〇コロナ禍の規制が緩和されてきたタイミングでの事業の対面開催は連日満席となり、好評であったことから、対話の効能や必要性が改めて認識された。 〇多言語表記とピクトグラムを活用し、日本語が母国語でない来場者へのアクセシビリティを向上させた。 〇高齢者・障害者施設等への出張公演について、新型コロナウイルス感染症の影響により訪問が不可能な施設に対しては、特製DVDの作成・配布により対応を行った。   施策目標3 個人や団体の文化・芸術活動を支える (第3期計画) 今後の世田谷の文化・芸術活動を支えていく仕組みづくり・取組みを推進していきます。 (第3期調整計画) 文化・芸術活動の継続を支援する仕組みづくりや取組みを推進します。 【施策の方向1】区民、団体の文化・芸術活動や文化施設等の支援 主な取組み ・誰もが文化・芸術活動をできる機会や支援の充実 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 区民ギャラリー等の貸出 来場者43,000人 「せたがやアカペラバトル」の実施 出場者44人 観客207人 障害者施設アート・オムニバス展(玉川高島屋)、障害者施設アート展(世田谷美術館)の実施 「世田谷区手をつなぐ親の会子どもたちの作品展」実施及びYouTube配信 区民講座 978人、生涯学習セミナー 参加者1,261人 区民文化祭8件、総合文化祭3件実施 陶芸講習会の実施 参加者122人、代田陶芸教室 修了者48人、土と農の交流園講座 125人 シルバー工芸教室38人 「せたがや元気だせArtsプログラム」補助事業の実施 40件 〇区民が身近な場で気軽に文化・芸術に触れる機会の充実とともに、魅力的で活気あふれるまちづくりを目指し、引き続き、地域文化芸術振興事業補助金交付事業を実施し、地域の賑わいや魅力づくりを目的とした文化・芸術事業への活動支援を行った。 〇コロナ禍の令和2~4年度において「せたがや元気だせArtsプログラム」補助事業を実施し、文化・芸術活動の再開・継続が困難な状況にあるアーティストや民間文化施設等への支援に取り組んだ。 〇障害者施設の美術展の継続開催により、来場者アンケートから障害理解の浸透が伺えた。また、動画配信も併用し、幅広い取組みを行った。 【施策の方向2】 次代を担う人材の発掘・育成 主な取組み ・次代の文化・芸術活動を担う人材の発掘、育成、交流・活動促進 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 ネクストジェネレーションの実施 世田谷文化生活情報センターでの大学生インターンの受入れ 舞台芸術制作に携わる人材育成のためのSPTラボラトリーの実施 〇新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の施設では学生インターンが実施できなかったが、将来を見据えた学生の育成を理論と実践の両面から多角的に実施することで、実践的な学びの機会を提供した。 〇学芸員の後継者育成に向けた博物館実習の講義や実習を行い、実施後のアンケートでは、参加者の満足度の高さが伺えた。 施策目標4 次代の文化・芸術を担う人材を育む (第3期計画) 次代を担う子どもたちを育むために、これまでの取組みに加え、乳幼児期から遊びの中で、文化・芸術に気軽に触れられる機会の提供を充実させていきます。 (第3期調整計画) 次代を担う子どもたちを育むため、全ての子どもや青少年が文化・芸術に触れ、親しむことができる環境づくりと機会の充実に取り組みます。 【施策の方向1】 次代を担う、子ども・若者の創造性を育む取組みの推進 主な取組み ・次代の文化・芸術の担い手である子ども・若者が鑑賞・体験できる機会の充実 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 区立保育園・幼稚園において「どこでも文学館」の実施(各1園) 区立保育園1園において東京都市大学との連携で造形遊び体験を5回実施 区立保育園・幼稚園において昭和女子大学との連携で生楽器の演奏による音楽体験を5回実施 夏休み・冬休みに行われる子ども向けのプログラム広報の発行(夏5,000部、冬4,000部) せたがやジュニアオーケストラの運営・支援 合宿、オータムコンサート、定期演奏会の実施 音楽鑑賞教室 小学5年生 61校 約6,300人 小学校美術鑑賞教室 小学4年生 61校 約6,000人 古典芸能鑑賞教室 小学6年生 61校 約6,300人 図画工作作品展 小学校代表 30校出品 642点 中学校美術鑑賞教室 中学校1~3年生(個人鑑賞) 329人 音楽発表会 中学校1~3年生 22校 545人 演劇発表会 中学校クラブ 6校 92人 ティーンエイジ・カーニバル実施 青年文化祭実施 来館者数586人 出店団体3団体31人、発表8団体81人 〇小・中学校を対象とした出張ワークショップの実施や、音楽や美術、古典芸能の鑑賞教室を開催し、文化・芸術を鑑賞・体験できる機会の充実を図った。 〇小・中学校の児童・生徒の創造性を育む取組みとして、作品展や展覧会、発表会を実施し、児童・生徒が自己の表現を発表する場を提供することができた。 〇世田谷文学館の「どこでも文学館」事業において、オンラインを活用した子ども向けワークショップや出張展示等を実施したところ、参加者や来場者に気軽に文化・芸術を楽しめる機会として好評を得ることができた。 〇子ども達が豊かな人間性や社会性を身に付けることを目指し実施している「せたがやジュニアオーケストラ」では、感染症対策による制限があるものの、年1回の定期演奏会に加え、他のオーケストラ等との連携事業も実施し、充実した活動を行うことができた。 〇二子玉川花みず木フェスティバルの一環として将棋事業を実施し、将棋のルールや礼儀作法等を学ぶだけでなく、子ども達が楽しみながら伝統文化に親しむ機会の提供につながった。 〇中高生がウイズコロナを考慮しながら主体的に実行委員会を運営し、ティーンエイジ・カーニバルを開催し、中高生の手によるバンド演奏やダンスパフォーマンスなどの、発表・鑑賞の機会となった。 〇世田谷パブリックシアター演劇部の取組みを実施し、区大会において成果発表を行うことができた。   施策目標5 文化資源を次代へ継承し、文化・芸術の力を活かし・つなぐ (第3期計画) 世田谷の文化資源や文化・芸術を活かしたまちの魅力づくりを進めていくとともに、海外との姉妹都市交流や東京2020大会、アメリカ合衆国ホストタウン・共生社会ホストタウンへの登録を契機とした様々な国との文化交流を進めていきます。 (第3期調整計画) 世田谷の豊かな文化資源を保存・継承・活用する取組みを進めていきます。 また、世田谷の豊かな文化資源を活かした国際交流や交流事業等を実施するとともに、様々な支援を通じた多文化共生の推進に取り組みます。 【施策の方向1】 区や区民の多様な文化資源やせたがやらしさを活かした取組みの推進 主な取組み ・文化資源などを活用したまちづくり、観光事業の取組みの推進 ・文化財の保存と継承 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 郷土資料館において、野外歴史教室3教室、小中学校社会科見学受入れ11校、 小学校出張授業10校を実施、資料館だよりNO.76発行 「せたがやの文化財」「文化財調査報告集」「埋蔵文化財調査年報」発行 文化財紹介動画制作 1件、無形民俗文化財記録動画 1件 〇区内に残る貴重な文化財の映像を制作・公開することにより、記録に残すとともに、文化財の普及啓発に繋げることができた。 〇文化財ボランティアの活動の場を定着させるとともに、新たな活動に向けた準備を進めることができた。 〇令和4年度にはコロナ禍以前と同様かそれ以上の来場者を数える地域の文化資産を活かしたイベントを実施することができた。 〇世田谷美術館による「さくら祭」の開催や世田谷文学館による「蘆花まつり」への参加等、地域で開催されるお祭りなどのイベントへの参加・支援を通じて、地域の賑わいの創出に協力するとともに、文化資源の保存・活用に不可欠な地域との連携を進めた。 【施策の方向2】 多文化共生と国際施策の推進 主な取組み ・外国人への支援や交流事業等の推進 ■実績・〇評価 ■令和4年度の主な実績 姉妹都市等との交流 オンライン意見交換、オンラインマラソン交流、区内中学校とのダンス交流 にほんご交流会 5回、やさしい日本語で街歩き 1回開催 ウクライナ支援映画「ひまわり」上映会実施 〇コロナ禍にあっても、姉妹都市との交流や国際メッセのオンライン開催など実施方法を工夫しながら実施し、多くの方の異文化理解・多文化共生を考えるきっかけ・機会を創出した。 〇新型コロナウイルス感染症の影響によりボランティア講座の開催はできていないが、「ウクライナ支援 映画「ひまわり」上演会」の実施や、難民支援や食糧支援をテーマとした多文化理解講座の開催により、多文化共生の意識啓発を行った。 〇外国人にもわかりやすいホームページの作成に取り組むほか、「やさしい日本語」の活用に向けた「やさしい日本語研修」を実施した。 2.文化・芸術に関する区民意識調査結果<抜粋> (1)区民の文化・芸術の鑑賞率  文化・芸術に関する区民意識調査では、「過去1年間に美術・博物館、音楽、演劇等を会場で鑑賞した(テレビ、ラジオ、CD・DVD、インターネット配信等での視聴を除く)」と回答した人の比率は79.5%でした。 一都三県の同様の調査結果と比較すると、8.8ポイント高い結果となっています。  (2)区民の自ら行う文化・芸術活動の活動率  自ら行う文化・芸術活動では、25.8%となりましたが、一都三県の同様の調査結果と比較すると5ポイント高い結果となっています。活動をしなかった理由として「関心がない」が最も高く、文化・芸術への興味を高める取組みが必要であると考えられます。 (3)文化・芸術に関する情報の入手手段  区のおしらせ「せたがや」が42.0%と最も高く、「電車、バスなどの車内広告」(28.0%)、と続いており、紙媒体の広報物による情報入手が多いことが分かります。 (4)文化・芸術に関する情報の入手しやすさ  入手しにくいが37.1%と最も高く、入手しやすい(32.9%)、わからない(26.7%)と続きます。 (5)世田谷区の文化施策として重視すること  「身近なところで気軽に文化・芸術に触れられる機会の充実」が65.3%と最も高く、次いで「文化財や史跡などを保存・活用し、区の魅力として広くアピールしていくこと」(52.9%)、「子どもがもっと文化・芸術に触れられる機会の充実」(50.2%)と続いており、この3項目が5割を超えています。 3.第4期文化・芸術振興計画に向けた課題  世田谷区の第3期計画におけるこれまでの取組みや地域の特性、社会背景や区民意識調査結果、第4期文化・芸術振興計画検討委員会における委員の意見等を踏まえ、策定に向けた課題を以下のように整理します。 (1)情報発信力の強化   紙媒体やインターネット、SNSによる情報発信を行っていますが、文化・芸術活動を行わない人の22.8%は情報が入手できないことを理由に挙げており、調査対象の年齢層と組み合わせて検証した結果、SNSを中心に情報収集を行う若年層に対する情報発信が課題であることがわかりました。   第3期計画ではSNSによる参加型の情報発信を開始し、効果が出ているため、これらの取組みを続けるとともに、関心・興味がない層へ働きかけるための新たな取組みが必要です。 (2)身近な場所での鑑賞や活動の推進   鑑賞や活動をしない理由で、「新型コロナウイルス感染症の影響」「情報がない」以外では、興味がないことや、時間が合わないこと、場所が遠いことなどが挙げられています。   身近な場所で文化・芸術に接し、関心に繋げていくことや、普段の生活の中で自然と文化・芸術に触れる機会を創出し、鑑賞や文化・芸術活動への動機付けを行う必要があります。 (3)文化資源の確実な保存   郷土資料館は開設から60年近くが経過し、また、世田谷美術館及び世田谷文学館は開設から30~40年が経過し、老朽化が進む中、郷土資料や美術品・文学資料等を適正に管理・保管し、次世代に確実に継承するため、計画的な改修を行うとともに、区民の文化・芸術へのアクセス機会が損なわれないよう効率的な更新を図っていく必要があります。 (4)文化・芸術活動場所の拡充     区民意識調査や文化・芸術活動を行う団体に対するヒアリングにおいて、活動場所の不足への声がありました。再整備を行っている世田谷区民会館に練習室を新たに設置するなど、活動場所の確保を進めていますが、さらなる充実に向けた取組みが求められています。併せて、活動場所の拡大や予約におけるデジタルを活用した利便性の向上などを図っていく必要があります。 (5)文化・芸術を通した交流の促進   文化・芸術活動をしない理由として「仲間がいない」が13.6%と高いことがわかりました。文化・芸術を通した交流により、新たに活動を始めるきっかけづくりを進め、区民同士の交流や区内における文化・芸術活動の活発化を図っていく必要があります。 第4章 計画の基本的な考え方 1.基本理念 世田谷は、みどり豊かな武蔵野の自然にあふれ、閑静な住宅地として発展し、文化及び芸術に携わる人々は、その魅力に惹かれ移り住むようになりました。その歴史は、今日に受け継がれ、多くの世田谷区民は、区内各地域における活発な演劇活動、多くの文化及び芸術に関する自主的かつ積極的な活動、文化施設を支えるボランティア活動等を行っており、文化・芸術に高い関心を持っています。また、世田谷には、日本の文化・芸術の牽引役として活動されている方も多くいます。さらに、世田谷は、文学、映画等の作品の舞台として数多く登場しており、区民にとって、文化・芸術が身近に感じられる環境にあります。 これらは、区民のかけがえのない財産であり、世田谷の大きな魅力でもあります。区はこれらの財産を活かし、文化的な環境の向上に努めるとともに、すべての区民が文化・芸術に触れ、文化的な環境を享受し、文化・芸術に関する活動に取り組むことができるようにすることが、区としての重要な使命であると考えています。 世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例 (基本理念) 第2条 文化及び芸術の振興に関する基本理念は、次のとおりとする。 (1) 文化及び芸術に関する活動における自主性及び創造性は、尊重されなければならない。 (2) 文化及び芸術を鑑賞し、その活動に参加し、及び創造することのできる環境の整備が図られなければならない。 (3) 文化及び芸術の振興に当たっては、区、区民、民間団体、他の自治体等の相互の連携が図られなければならない。 2.将来像 誰もが文化・芸術を楽しめるまち 世田谷 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が人々の身体的な接触や交流を妨げ、多くの人々が行動変容を余儀なくされました。こうした中にあって、当初は不要不急と捉えられることの多かった文化・芸術ですが、不要のものではなく、人々に安らぎや勇気、希望を与えるという本質的価値が改めて認識されました。また、ウェルビーイング の向上を図る上でも、文化・芸術が果たすべき役割が増大しています。 不安な社会情勢が続く中、先の見えない不安感の中を生き抜くには、身体的な健康だけでなく、こころの健康を保つことが重要です。人々の勇気の源となり、生きる力ともなり得る文化・芸術は誰にとっても必要なものであり、誰もが文化・芸術を楽しむことができる環境づくりが区の責務です。 世田谷区には、世田谷美術館、世田谷文学館、世田谷文化生活情報センターなどの区立文化施設をはじめ、民間の美術館や劇場等の文化施設、民家園や古墳などの文化財も数多く存在し、区民が身近に文化・芸術に触れることができる環境があります。 また、区に在住する音楽家や芸術家などのアーティストの数は全国でもトップレベルであり、文化・芸術を通じて地域づくりに積極的に参画している区民や団体が多いこと、区内に多数立地する大学等と区との連携が活発なことも特徴的です。 地域ごとのイベントや伝統的な祭り、区民による様々な文化・芸術活動が活発に行われる中、三軒茶屋では、「三茶de大道芸」が秋恒例のフェスティバルとして定着するなど、新しい文化が生まれて根づいていく、文化の輪が広がっています。 こうした文化的環境を活かし、年齢、性別、LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ、国籍、障害の有無、また経済的状況にかかわらず、区民の誰もが文化・芸術に親しみ、文化・芸術活動を行い、住んでいて楽しい、住み続けたいと思われるまちであるために、本計画に基づく施策の推進により、将来像の実現を目指します。   3.基本目標 区民が世田谷の財産である文化・芸術に関心を持ち、主体的に活動することによって、人と人、地域等とのつながりが広がり、まちの魅力や活力が向上していきます。また、文化人・芸術家が居を構え、活発な創作活動を重ね、築き上げてきた世田谷の文化・芸術を子どもや若者の世代に確実に引き継いでいくとともに、乳幼児期から文化・芸術に触れ、創造性を高めることが、これからの時代を生き抜く力を育むために重要な取組みとなります。 区民が文化・芸術に身近に触れ、楽しむことで、こころの健康につながる心の豊かさを育み、様々な価値観を知り、多様性を受け入れるとともに、自らの文化・芸術活動への参加機会へとつながっていきます。 将来像の実現に向け、このような展開を図っていくために、横断的に取り組むべき基本目標を掲げ、具体的な取組みを推進していきます。 <Ⅰ 区民が文化・芸術を身近に感じられる取組みの充実> 多彩で豊富な文化資源など世田谷の文化・芸術を誰もが知り、身近に感じることができるよう、情報発信や実施方法・実施場所などの工夫により、文化・芸術に関する情報の得やすさや、区民が主体的に参加しやすくなる取組みを充実させていきます。 <Ⅱ 文化・芸術活動の場や機会の充実> 再整備を行っている世田谷区民会館を区の新たな文化・芸術の拠点として位置づけ、区民や文化・芸術活動団体の交流の機会を提供することにより、世田谷区の文化・芸術を活発化させるとともに、文化・芸術活動の場や機会の充実を図ります。 <Ⅲ 多様な文化・芸術の発展と次世代への継承の推進> 世田谷区内の歴史的建造物などの文化資産、風景、食文化などの文化的環境や地域・地区特性を活かしたまちづくり、文化的環境及び伝統文化の保存・継承の取組みの推進を図ります。   4.成果指標 本計画で掲げた将来像の実現に向けて、第3期計画策定時に設定した成果指標を引き続き本計画の成果指標として位置づけ、進捗の把握や評価を行います。 なお、中間目標の達成状況により、必要に応じて実態に応じた修正を検討します。 成果指標 現況値(令和4年度) 中間目標(令和9年度) 計画目標(令和13年度) 文化・芸術に親しめる環境の区民満足度 55.6%※ 70% 75% 鑑賞活動への区民参加の割合 79.5% 83% 85% 文化・芸術の創作活動等への区民参加の割合 25.8% 30% 33% ※令和5年11月実施の次期世田谷区基本計画の策定に向けた区民アンケート調査結果では、文化・芸術に親しめる環境の区民満足度は65.0%であった。 5.推進体制(連携強化) (1)庁内連携   本計画では、文化・芸術の振興が区民生活の充実や質の向上、地域の活性化等に資するものであることを改めて認識し、まちづくりや教育、産業、福祉など幅広い分野を対象として、総合的に文化政策を推進することを目指しています。   文化芸術基本法においても、文化・芸術のみを振興するのではなく、他の行政分野と連携して総合的に推進するとされています。   区では、これまでも教育や福祉、産業、まちづくりなどとも連携を図りながら文化政策を推進してきました。本計画の推進に当たっては、文化の範囲を広く捉え、これまでの庁内における関係部署との連携・協力を継続しながら、より発展的な取組みを進めていきます。 (2)公益財団法人せたがや文化財団との連携・協力   せたがや文化財団は、区における質の高い文化・芸術事業の展開と区民の多様な文化創造活動・市民活動・交流活動を支援することにより、地域文化の振興と心豊かな地域社会の形成に寄与することを目的として、平成15年4月に設立されました。平成23年4月には公益財団法人となり、文化・芸術に関する活動の幅を広げています。   せたがや文化財団が持つ6つの分野、「生活デザイン」「演劇(舞台)」「美術」「文学」「音楽」「国際交流」で培ってきたノウハウを活かし、質の高い魅力ある事業を展開していきます。   本計画の将来像「誰もが文化・芸術を楽しめるまち 世田谷」の実現に向け、4つの取組みの方向性「触れる」「楽しむ」「創る」「繋がる」に基づく具体的な取組みを、せたがや文化財団の総合力、専門能力を活かしながら、更なる連携強化を図り、推進していきます。 (3)多様な主体との連携   本計画を着実に推進し、世田谷の文化・芸術を振興していくためには、区民、地域の文化・芸術活動団体、アーティスト、商店街、NPO、民間の文化施設、大学等の教育・研究機関、さらに文化・芸術に関心を持つ様々な人々と連携・協働して取り組むことが重要です。   区は、これまでも様々な団体や関係機関等と連携を図りながら文化・芸術振興の取組みを進めてきましたが、今後も多様な主体と連携を図り、区の文化・芸術施策の充実に取り組みます。    第5章 計画の内容 1.取組みの方向性 条例で掲げた基本理念と本計画で掲げる将来像の実現に向け、基本目標の達成に繋がる4つの「取組みの方向性」を設定します。 1 触れる  文化・芸術に関する情報発信の取組みや、気軽に鑑賞ができる環境の整備などにより、まずは「文化・芸術に触れる」ことが重要です。従前の取組みに加え、これまで文化・芸術に親しむ機会が少なかった方や関心が低い方に対する情報発信や、文化・芸術の楽しさや魅力に触れる機会の創出に取り組みます。 【取組み内容】 〇様々な世代に向けた多様な手段による情報発信 〇誰もが、身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実 2 楽しむ  文化・芸術に関心を持った方が、日常的かつ継続的に楽しさや魅力を感じることのできる機会を用意し、さらに関心を深めることができるよう取組みの充実を図ります。 【取組み内容】 〇文化・芸術を楽しめる場や機会の提供 〇文化・芸術を楽しむ人の交流の場や機会の提供 〇まちなかで文化・芸術を楽しめる取組みの充実 3 創る  自ら文化・芸術活動を行う方や、新しく活動を始める方に対して、その機会や支援の充実を図ります。また、世田谷の多種多様な文化に目を向け、区の魅力として広めていく取組みを進めます。 【取組み内容】 〇誰もが、文化・芸術活動をできる機会や支援の充実 〇世田谷の多種多様な文化を広める取組みの推進 4 繋がる  これまで続いてきた文化・芸術の歴史を絶やさず、さらに発展させていくために、新たな担い手や団体間の交流促進に向け、支援を行います。また、区内にある様々な文化資源を保存・継承するとともに、活用により世田谷区の魅力を高める取組みを行います。 【取組み内容】 〇次代の文化・芸術活動を担う人材の発掘、育成、交流・支援活動 〇文化資源などを活用したまちづくり、観光事業の取組みの推進 〇文化資源の保存と継承 〇外国人への支援や国際交流の推進 2.計画の体系   取組みの方向性1:「触れる」 区民の文化・芸術鑑賞率は79.5%と、周辺自治体と比べても高い結果となっていますが、自ら行う文化・芸術活動については29.5%にとどまり、活動を行わない理由のうち最も多かったものが「関心がない」というものでした。 文化庁が令和4年に実施した「文化に関する世論調査」において、地域の文化芸術活動に「関心がない」という人たちは、ウェルビーイングが低い傾向にあることが示されており、ウェルビーイングの向上の観点からも、文化・芸術への関心の必要性が高まっています。また、令和4年に東京都が策定した「東京文化戦略2030」においても、4つの戦略の1つ目として、「人々のウェルビーイングの実現に貢献する」と謳われています。 また、博物館の持つ癒しやリフレッシュ効果を血圧や心理測定で数値化し、健康増進や疾病予防に活用する取組み「博物館浴」の研究が国内の大学等で進められており、怒り、混乱、うつといった精神状態を示す数値が多くの参加者で低下し、血圧が正常値に近づく傾向が見られたとの研究結果もありました。 こうしたことも踏まえ、これまで文化・芸術に親しむ機会が少なかった方や、関心が低い方に対する情報発信を強化し、さらに多くの区民が文化・芸術の楽しさや魅力に触れる機会の創出に取り組んでいきます。 【取組み内容】 ①様々な世代に向けた多様な手段による情報発信 ②誰もが、身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実   ①様々な世代に向けた多様な手段による情報発信 区内には、様々な文化施設が立地し、日々公演や展示、イベント等の様々な催し物が行われ、各施設や開催団体等からは多様な情報が発信されています。コロナ禍により、社会全体でデジタル化が進み、情報発信のあり方も、従来の紙媒体を中心とした発信から、ホームページやSNS等を活用した発信へと手法の変化が見られています。世田谷区が令和4年に実施した調査(※)では、年齢層によって情報を得る手段に違いが見られる結果となり、紙媒体を活用した発信に加え、SNSによる情報収集を中心とする概ね40代以下の年齢層に対しても効果的に情報発信を行う必要があります。 また、障害のある方に向けた発信について、文化・芸術に触れる機会が一層増えるよう取組みを進める必要があります。 ※文化・芸術に関する区民意識調査:文化・情報に関する情報の入手手段として、40代以下の年齢層では、SNSを回答した割合が他の手段に比べて高いのに対し、60代以上の年齢層では、区広報紙や新聞・情報誌等の紙媒体が最も多いことがわかりました。一方で、文化・芸術に関する情報が入手しやすいかを尋ねると、40代以下は「入手しにくい」と回答した割合が最も高く、60代以上は「入手しやすい」と回答した割合が最多となりました。 ◆オンライン・紙媒体による多様な情報発信 区の文化・芸術に関する取組みを分かりやすく発信するため、区のホームページの文化・芸術に関するページの見直しを行い、文化・芸術に関連する様々な情報が入手しやすくなるよう取組みます。 また、SNS、動画配信等のオンラインによる情報発信を強化し、様々な年齢層に対する多様な発信を行うとともに、SNSを活用した情報の受け手側からも広がる区民参加型の情報発信を行います。オンラインによる発信とともに、引き続き、紙媒体も活用し、広く区民に対する情報の発信を行います。 主な取組み 取組み名 取組み内容 「(仮称)文化・芸術ポータルサイト」の開設 区のホームページに掲載している文化・芸術に関する様々な情報を集約・整理し、一元的に情報発信を行うポータルサイトを開設します。【令和6年度中に開設】 文化・芸術公演や展覧会における印刷物への音声コードの導入促進 障害の有無に関わらず文化・芸術を楽しむ機会を充実させる取組みとして、パンフレットやチラシ等の印刷物への音声コードの導入を積極的に進めます。 【令和6年度から順次導入】 ◆世田谷の文化的な魅力についての情報発信  ガイドブックやホームページにおいて、各地域にある自然や文化施設、歴史的建造物、また地域の文化の特色や観光スポットを紹介していきます。 また、生活や文化が感じられる街並みや、商店街の賑わいなど、区民が誇りと愛着を持っている風景についての情報発信を行い、区内の身近で魅力ある風景を紹介します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 「せたがやガイドブック」の発行 世田谷の食や歴史文化、芸術、四季折々の風景などをテーマごとに紹介するガイドブックを発行します。【継続】 ◆世田谷の歴史・文化・芸術に関するデジタルコンテンツの充実  歴史、民俗などに関するデジタルデータや動画コンテンツ、区が収蔵する作品等をインターネット上で公開し、多くの方が手軽に区の歴史・文化に触れることができるよう情報発信に取組みます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 世田谷デジタルミュージアム 区内の指定文化財をはじめ、郷土資料館や民家園で収蔵している歴史、民俗等に関するデジタルデータや動画コンテンツをインターネット上で公開します。【継続】 収蔵資料に関する情報のホームページでの公開 世田谷美術館に収蔵されている作品について、展示の機会ごとに目録リストをホームページで公開します。また、世田谷文学館の収蔵資料のうち、森鴎外家族資料など、特徴のある一部のコレクションの内容をホームページから確認することのできるコレクション検索を実施します。【継続】   ②誰もが、身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実 区内の文化施設では、国内外に誇れる、多彩な文化・芸術活動が行われています。また、各地域では、まちの魅力を高め、活性化を図るために、様々な活動が展開されており、これらの活動を契機として新たに文化・芸術に関心を持つ区民が増えています。 また、文化庁における文化芸術の振興に関する基本的な方針の中でも、すべての子どもや若者が、学校や地域において優れた文化芸術に触れ、豊かな感性や創造性、コミュニケーション能力を育む機会を充実することにより、心豊かな子どもや若者の育成を図ることとしています。 前出の文化・芸術に関する区民意識調査においても、区の文化施策に対し期待することとして、「身近なところで気軽に文化・芸術にふれる機会の充実」が65.3%と、最も高いものとなっています。 年齢、性別、LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ、国籍、障害の有無、また経済的状況にかかわらず、誰もが文化・芸術に触れ、鑑賞、体験、参加し、親しむことができる環境の充実を図ります。 ◆身近な場所での鑑賞機会の充実 身近な場所でのコンサートや寄席、落語会等の開催や、区施設における美術品の展示など、気軽に鑑賞する機会を充実し、文化・芸術への興味・関心を高めていきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 区民会館・区民センターにおける鑑賞機会の充実 身近な地域の区民会館や地区の区民センターでコンサートや寄席、落語会等を開催します。【継続】 区施設における美術品の展示 再整備を行っている区役所本庁舎やまちづくりセンター、公園など、身近な場所に彫刻や絵画などを展示します。【拡充】 <美術品展示数> 現況値 令和6年度 令和7年度 令和8年度 令和9年度 369点 430点 450点 470点 490点 ◆学校や施設等におけるアウトリーチ活動  学校や幼稚園・保育園、高齢者・障害者施設、図書館等への出張公演やワークショップ、出張展示、出張授業等の実施により、様々な方が身近な場所で鑑賞・参加できる機会を提供します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 どこでも文学館 世田谷文学館で、学校や地域の図書館等と連携した写真展や文学作品のパネル等の出張展示・出張ワークショップを実施します。【継続】 <開催数> 現況値 令和6年度 令和7年度 令和8年度 令和9年度 49回 50回 50回 50回 50回 移動劇場「@ホーム公演」、学校のためのワークショップ 高齢者・障害者施設等において、コンパクトな公演を実施します。また、区内の小・中学校の児童・生徒・教員を対象に、演劇ワークショップや事業報告会を実施します。【継続】 ◆子どもの鑑賞・参加機会の充実 すべての子どもが乳幼児期から文化・芸術に親しむことで、自らの才能や個性に気づき、将来の夢や目標を発見し、成長できるよう、保育園や幼稚園、学校等や各文化施設が連携し、年齢に応じた文化・芸術を体験・創造する機会を充実していきます。また、文化・芸術体験を通じて、子どもたちの非認知的能力 等、「これからの社会を生き抜く力」の伸長を図っていきます。   主な取組み 取組み名 取組み内容 保育園・幼稚園等での文化・芸術体験 昭和女子大学や東京都市大学と連携し、保育園・幼稚園等で楽器の生演奏を聴く体験や粘土遊び体験を実施します。【継続】 美術鑑賞教室、古典芸能鑑賞教室 区立小学校4年生が、展覧会鑑賞及び美術館施設見学を行い、ボランティアである鑑賞リーダーと共に、児童が少人数グループで鑑賞します。また、区立中学校全学年を対象に生徒個人で美術館を訪れ鑑賞する「個人鑑賞方式」で実施します。 区立小学校6年生を対象に、狂言の公演とワークショップを実施します。【継続】 ◆区の文化資源を活かした鑑賞機会等の充実 世田谷パブリックシアターや世田谷美術館、世田谷文学館など区の文化施設において、様々な公演、企画展や収蔵品展を実施することにより、区内で多様な芸術に触れる機会を提供します。 また、区内の文化財や史跡を巡る教室の開催や、区内の民間文化施設との連携により、区民がより多くの文化・芸術に触れる機会の拡大を図っていきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 収蔵品を活用した取組み 子どもからシニア世代まで、誰もが楽しめる質の高い魅力ある収蔵品展を開催します。 世田谷美術館では、美術の専門図書、雑誌等の閲覧ができるアートライブラリーを運営し、収集資料の閲覧や相談対応等の提供を行っていきます。 世田谷文学館では、書物との新たな出会いと多様な楽しみ方を可能にする、地域の図書空間を提供します。【継続】 野外歴史教室 区内の文化財や史跡を学芸員とともに実際に歩いてめぐりながら、歴史を学ぶ教室を実施します。【継続】 ◆区立文化・芸術施設の区民割引 世田谷パブリックシアターの公演チケットや世田谷美術館、世田谷文学館の観覧料などが割引価格になる「せたがやアーツカード」や、18歳から24歳の方を対象とした公演チケットの割引を実施しています。また、世田谷区在住・在学の小・中学生は、土曜、日曜、祝・休日及び夏休み期間に世田谷美術館及び文学館の収蔵品展を無料で観覧できます。これらの取組みにより、文化・芸術に気軽に触れる機会の拡大を図っていきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 せたがやアーツカード 15歳以上の世田谷区民であればどなたでも登録でき、入会金・年会費無料で、公演チケットや観覧料、生活工房のワークショップ等に割引価格で参加することができます。【継続】   取組みの方向性2:「楽しむ」 令和5年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類となったことを契機に、コロナ禍において制限されていたお祭りなどのイベントが、コロナ禍前のような形態で再開し始めています。令和4年度に実施した文化・芸術に関する区民意識調査においても、文化・芸術イベントなどによる地域コミュニティ活性化への期待が、平成28年度調査時から約3倍に増え、地域の中で楽しみたいという意識が見られます。 また、令和6年度に完成する世田谷区民会館が新たに文化・芸術の拠点と位置付けられ、室内音響性能が向上し、より質の高い文化・芸術を鑑賞できるようになりました。さらに、ホワイエにおける絵画の常設展示や集会室を利用したワークショップ等、気軽に立ち寄って文化・芸術に触れ、参加や交流によって楽しめる場所として生まれ変わります。既存の文化資源も活用しながら、「誰もが文化・芸術を楽しめるまち せたがや」の実現に向けた取組みを進めていきます。 【取組み内容】 ①文化・芸術を楽しめる場や機会の提供 ②文化・芸術を通じた交流の場や機会の提供 ③まちなかで文化・芸術を楽しめる取組みの充実   ①文化・芸術を楽しめる場や機会の提供 文化・芸術に触れ、興味を持った人たちが、実際に体験したり、文化・芸術を通じた交流を楽しんだりすることで、日々の暮らしを豊かに彩り、文化・芸術に関する関心をさらに高めていきます。 ◆世田谷区民会館での多彩な文化・芸術イベントの実施 新たな文化・芸術の拠点である世田谷区民会館では、多彩な文化・芸術イベントを実施します。また、ラウンジで来館者が楽しむことができるミニコンサートの開催等により、気軽に文化・芸術を楽しむことができるような取組みを進めます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 世田谷区民会館ホールでの多彩な公演の実施 世田谷区民会館オープニングイベントをはじめ、音楽コンサートをメインに多彩な公演を実施し、良質な文化・芸術の鑑賞の機会を提供します。【令和6年度から実施】 区民利用・交流拠点施設を活用した音楽イベント等の実施 区民利用・交流拠点施設内のラウンジにおいて、ミニコンサート等を実施するほか、施設全体を活用して、気軽に文化・芸術に触れ、楽しむ機会を提供します。【新規】 令和6年度 令和7年度 令和8年度 令和9年度 試行 検証・試行 実施 実施   ◆文化・芸術の参加機会の充実 様々なワークショップや教室・講習会の実施など、実際に体験する機会を通じて豊かな感性や表現力を育むとともに、ストレスの解消や心の安定を図り、文化・芸術を楽しむ人の増加を目指します。   主な取組み 取組み名 取組み内容 ワークショップ、講座の開催 世田谷文化生活情報センターでは、通年で様々なテーマのワークショップやセミナーを開催し、生活や文化等を考え、体験する機会を提供します。 世田谷美術館や世田谷文学館では展覧会と連動したワークショップや講座を実施します。【継続】 ◆伝統文化を楽しむ機会の提供 区民センター等で行う寄席、着付け教室や地域のお祭りでのお囃子等を通じ、伝統文化を体験することの楽しさや地域での交流の促進を支援していきます。 ◆映画や様々な体験を楽しむ機会の提供 子どものための国際映画祭である「キネコ国際映画祭」を共催実施することにより、映画・映像を通じて子どもたちが国際性や道徳を学び成長する機会を提供するとともに、様々な体験を通じて、親子で楽しめる機会を提供します。 ◆デジタル技術を活用した文化・芸術を楽しむ機会の提供 鑑賞者のアクションによって変化が起こる参加型の「インタラクティブ・メディアアート」や、VRによる劇場紹介など、デジタル技術を活用した取組みにより、文化・芸術体験への接点を拡大し、より楽しめる機会を提供します。   ◆高齢者の文化・芸術活動支援 文化等を学び、体験する継続的な講座や高齢者向けのイベントの開催により、生涯を通じた学びや交流、生きがいに繋げ、いきいきと楽しく過ごす機会を提供します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 いきいきせたがや文化祭 高齢者相互、高齢者と地域社会のふれあいを深めるため、高齢者の祭典である「いきいきせたがや文化祭」を開催します。【継続】 生涯大学 講義と健康体育を中心に学習し、自主的な交流や様々なサークル活動を実施します。【継続】 ◆昔の暮らしや風習などを体験する機会の提供 体験事業の実施を通じ、かつての世田谷の農村の暮らしぶりや風習を体で感じ、楽しみながら、歴史文化の次世代への継承を図っていきます。 また、「第二のふるさと」である群馬県川場村において、日本の伝統的な技術を学び、体験することで、自然の中で文化を楽しむ機会を提供します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 民家園での体験事業 かつての世田谷の農村の暮らしぶりや風習などを再現している区内2つの民家園で、「昔の農村体験」や「民家園教室」などの体験事業を実施します。【継続】 里山塾(茅葺きコース) 群馬県川場村で収穫した素材を活用して、茅葺職人の指導の下、村で茅葺き屋根をつくる体験事業を実施します。【継続】   ◆誰もが文化・芸術を楽しめる環境の整備 施設のバリアフリーや、車いす・音声イヤホンの貸出、補聴システムの設置、手話通訳等の配置、多言語表記の充実などにより、ユニバーサルデザインに基づいた、誰もが文化・芸術を楽しむことができる環境の整備を継続して進めていきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 来館者サポート 貸出やスペースの確保などの車椅子サービスのほか、視覚障害者のための音声案内システム付き化粧室の設置、補助犬を伴っての観劇、ヒアリングサポートシステム、台本貸出等を行います。【継続】 ◆子育て中の方への鑑賞支援 ひととき保育や託児サービスなど育児期の方に向けた取組みや、親子で参加できるプログラム、親子観覧室の整備など、親子で文化・芸術を鑑賞できる環境の充実を図ります。   ②文化・芸術を通じた交流の場や機会の提供 文化・芸術を通じた交流は、異なる文化や価値観を共有し、相手の立場や視点に対する理解、尊重に繋がります。このような交流は、地域や社会の結束力を高めるだけでなく、個人の成長や多様性の受容力をもたらし、新たなシナジーによる文化・芸術活動の活性化が期待できます。 ◆地域発信の文化・芸術による交流促進 地域団体や地域住民、小・中学生による音楽会等を通じて、コミュニティの醸成や交流の促進を支援していきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 地域文化交流会 各地域の児童館を利用する子どもたちが年に一度、一堂に会して太鼓演奏、手品など文化的なパフォーマンスを発表する地域文化交流会を開催します。【継続】 区民センターまつり 日頃、区民センターを利用して文化・芸術等の活動を行っている団体に発表の場を提供するとともに、利用団体同士、来場した地域住民との良好なコミュニケーションの場となる区民センターまつりを実施します。【継続】 ◆文化・芸術活動団体間の交流支援 世田谷区民会館を活用し、地域で活動している文化・芸術活動団体同士の交流のきっかけづくりを行い、横のつながりの創出を図ります。 主な取組み 取組み名 取組み内容 文化・芸術活動団体交流事業 世田谷区民会館におけるコラボレーションイベント等交流事業の実施により、文化・芸術活動団体間の交流のきっかけとなる機会を提供します。【新規】 令和6年度 令和7年度 令和8年度 令和9年度 検討・試行 実施 実施 実施 ③まちなかで文化・芸術を楽しめる取組みの充実 文化施設に行かなくても、休日の商店街や公園などを散歩していると自然に文化・芸術に出会える、歩いていて楽しいまちとなるような取組みを進めていきます。 ◆地域団体による文化・芸術を楽しむ場づくりの支援 地域で活動する詩吟や民謡、日舞など様々な団体の発表会や、地域団体による寄席などを開催し、地域自らの力で文化・芸術で楽しむ場を作る支援をしていきます。 ◆まちの中で文化・芸術を楽しむ機会の提供 街全体が劇場となる「世田谷アートタウン『三茶de大道芸』」の実施のほか、屋外でのコンサートや、商店街等のイベントへのアーティスト派遣、区内文化施設の近隣で開催される祭りなどの地域行事の開催協力等により、まちなかで文化・芸術を楽しむ機会を提供していきます。 また、様々な場所での音楽等のパフォーマンスが可能となるよう検討していきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 世田谷アートタウン『三茶de大道芸』 三軒茶屋の街を舞台に、商店街、町会・自治会、ボランティア等との連携により、商店街の各所で大道芸などのパフォーマンスを行う「世田谷アートタウン『三茶de大道芸』」を実施し、三軒茶屋の活性化と地域の文化向上を図ります。【継続】 せたがやまちかど・まちなかコンサート 区内各所で、小さな規模の区民が親しみやすい演奏会を開催し、気軽に音楽を楽しめる機会を提供することで、音楽との出会いづくりとともに、地域の活性化に繋げていきます。【継続】   コラム 「新たな文化・芸術の拠点~世田谷区民会館」 昭和34(1959)年に開館した世田谷区民会館は、竣工から60年が経過し、施設の老朽化やユニバーサルデザイン等、様々な面で問題や課題を抱えていました。 そのため、令和3年7月から始まった世田谷区本庁舎等整備工事に併せて、音響性能の向上、楽屋面積の拡充等の機能向上を図るための改修・改築工事を行い、令和6年9月にリニューアルオープンします。 ここが変わります 区民の文化活動の場としてこれまで様々な利用をされてきた世田谷区民会館の役割を継承しつつ、世田谷区の新たな文化・芸術の拠点として、区民の誰もが文化・芸術に触れ、楽しみ、繋がることができる取組みを進めてまいります。 基本方針1 区民が気軽に、文化・芸術に触れ、楽しめる場を創出する 音楽コンサート等を実施し、文化・芸術の鑑賞の機会を提供します。 ホール以外の場所でも、ミニコンサートや世田谷美術館の収蔵作品の展示を行い、気軽に文化・芸術に触れ、楽しめるような環境をつくります。 基本方針2 区民及び地域の団体の文化活動を支援する 区民や地域の団体が様々な文化・芸術活動に取組むことができるよう、ホールの音響性能の向上や練習室の新設等、環境の整備・充実を図ります。 基本方針3 文化・芸術を通して多様な交流(繋がり)を生み出し、区内の文化・芸術活動を活性化する 文化・芸術を通じた交流事業を実施し、区内で文化・芸術活動を行う区民や団体同士の様々な交流を促進することで、区内の文化・芸術活動の活性化を図ります。 取組みの方向性3:「創る」 文化庁が令和4年に行った調査では、1年以内に文化活動を実践した方は、活動しなかった人たちに比べ、より人生の意義(ユーダイモニア)を感じる経験頻度が高かったことが示されています。 近年では、ビジネスシーンでもデザイン思考やアート思考に注目が集まり、創造性を育み、豊かな人間性の涵養に繋がる、自身で行う文化・芸術活動へのニーズが高まってきています。 区民の文化・芸術活動を支援することで、文化・芸術の土壌を豊かにし、活動や交流の活性化を図っていきます。 また、世田谷区の多種多様な文化を広めることで、区のブランド力を向上し、区の魅力を高める取組みを進めていきます。 【取組み内容】 ①誰もが、文化・芸術活動をできる機会や支援の充実 ②世田谷区の多種多様な文化を広める取組みの推進 ①誰もが、文化・芸術活動をできる機会や支援の充実  年齢、性別、LGBTQなどの性的指向及びジェンダーアイデンティティ、国籍、障害の有無、また、経済的状況にかかわらず、区民の誰もが多様な文化・芸術活動ができるよう、身近に文化・芸術活動に取り組める場の充実を図っていきます。また、障害者の創作活動を支援し、作品の魅力を発信するとともに、障害者が文化・芸術活動に参加しやすい環境の整備に取り組んでいきます。   ◆文化・芸術の発表の場の充実  日々の活動の成果を発表する場を提供することで、文化・芸術活動の振興を促進します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 フリーステージ 音楽やダンスなどの文化活動を行っている団体から出演団体を公募して、世田谷パブリックシアターとシアタートラムでフリーステージを開催し、日頃の成果の発表の場を提供します。【継続】 総合文化祭・区民文化祭 幅広い区民の参加による文化団体活動成果発表の場として、区内の芸能、芸術を一同に集める「総合文化祭」とジャンル別の「区民文化祭」を開催します。【継続】 ◆地域の文化・芸術活動団体の発表の場の提供 区民センター利用団体や、生涯学習セミナー修了者の団体の発表会等の開催により、地域で文化・芸術活動を行う団体の発表の場を提供し、文化・芸術活動への意欲の向上に繋げていきます。 ◆子どもの作品展の実施 区内小学生の絵画の作品展や、環境などテーマごとのポスターコンクールの実施等により、子どもの豊かな感性や情操の育成に向けた取組みを推進します。 ◆若者が主体的に参画し、地域で活躍する機会の創出 若者が自ら企画・運営するイベントの実施等により、地域と関わり、交流する機会を提供します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 青年文化祭 青少年交流センターで活動する若者が参加し、自らの企画・運営により「青年文化祭」を開催します。【継続】 ダンスフェスティバルSETAGAYA 区内の中学や高校から参加を募ってジャンルを問わないオリジナルダンスの発表や交流の機会とする「ダンスフェスティバルSETAGAYA」を開催します。【継続】 ◆障害者の文化・芸術活動支援 障害者アートの美術展を様々な場所で開催することで、障害者の文化・芸術活動を支援し、障害への理解促進を図ります。 主な取組み 取組み名 取組み内容 障害者施設の美術展 世田谷美術館区民ギャラリーや玉川高島屋SCにて障害者施設に通う障害のある人たちが創作した作品の展覧会を開催します。【継続】 障害のある子どもたちの作品展 世田谷区内在住の特別支援学級、区立小・中学校、特別支援学校に通う障害のある子どもたちの絵画、工作、手芸等の作品展を区役所展示スペースで開催していきます。【継続】 ◆文化・芸術活動団体への支援 区民の文化・芸術活動の支援や、文化・芸術によるまちの賑わい・魅力の創出支援の取組みを進めるため、区民が鑑賞や参加することができる文化・芸術事業に対する補助を行うほか、区内で実施する文化・芸術事業の広報を支援します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 地域文化芸術振興事業補助金事業 区民等の鑑賞または参加の機会が提供され、まちのにぎわいや魅力づくりを目的とした文化・芸術事業に対して補助を行います。【継続】 <補助事業数> 現況値 令和6年度 令和7年度 令和8年度 令和9年度 8件 10件 10件 12件 12件 世田谷芸術百華 区内で開催される文化・芸術イベントを認証し、周知することにより、区民に身近な場所の文化・芸術情報を提供します。【継続】   ◆部活動の地域移行に向けた取組みの支援 中学校部活動の地域移行に際し、せたがや文化財団の専門性を活かして取組みを支援していきます。 ◆地域のアーティストが活躍できる仕組みの導入 世田谷区で活動するアーティストを公募し、区内イベント等への派遣、区立施設等における活動場所の提供、アーティスト情報の発信を行っていきます。アーティスト活動の支援により、区内の文化・芸術活動がより活発になり、文化・芸術であふれるまちを目指します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 (仮称)世田谷アーティストバンク 区内で活動するアーティストを公募・登録し、区や商店街が主催するイベントへの派遣のほか、区施設等における活動場所の提供などを行います。【新規】 令和6年度 令和7年度 令和8年度 令和9年度 検討 募集・実施 実施 実施   ②世田谷の多種多様な文化を広める取組みの推進 世田谷区には、公立劇場や美術館、古墳や歴史的な建造物、また地域ごとの伝統的な祭りやイベントなど、様々な文化が根付いています。また食文化においては、パンやスイーツの街としても名高く、世田谷パン祭りは2日間で約5万人が来場する日本最大級のローカルイベントとなり、いまや世田谷の食文化を象徴するものとなっています。 こうした多種多様な魅力を区内外に広め、区内の文化のみならず、観光や経済などの活性化に繋げていきます。 ◆地域の歴史や文化を活かした事業展開 多摩川の水辺に親しんでもらうとともに、周辺環境の美化に努めている「たまがわ花火大会」の開催のほか、地域の文化資源に位置付けた「大山道」や、23区唯一の渓谷「等々力渓谷」を活かした事業を展開するなど、各地域の歴史や文化を活かし、次代に継承する事業を展開していきます。 また、地域に密着したテーマや人材を中心にした講座を実施し、区民が地域の歴史や伝統文化を学ぶ機会を提供していきます。 さらに、各図書館では地域特性に応じた資料構成や、各館の地域の歴史に応じた資料展示、講演会などの事業を実施することにより、地域の文化や歴史を発信するとともに、地域文化形成を支援していきます。 ◆区立文化施設における世田谷発の文化発信 公立劇場である世田谷パブリックシアターにおいて、高品質な舞台作品を制作するほか、世田谷ならではの特色ある演奏会の実施や、世田谷美術館、世田谷文学館では、企画した展覧会を全国に巡回させるなど、世田谷から全国へと文化の発信をしていきます。   主な取組み 取組み名 取組み内容 国内演劇創作事業 多様な表現が生まれる芸術の農園=「アートファーム」のコンセプトのもと、公立劇場として未来に向けて文化的・芸術的財産として再演を繰り返すことができる高品質な舞台作品を提供します。【継続】 世田谷ならではの演奏会 音楽以外の領域からゲストを招き、音楽監督とのトークや映像を交えながら、テーマにまつわる音楽の生演奏を身近な施設で楽しむことができる演奏会を開催します。【継続】 ◆地産地消の取組みや区内産農作物の発信 世田谷区の農地は、東京23区内で2番目の規模で、旬の野菜や果実、季節の花など多岐にわたって農産物が生産されています。これらを活用した地産地消の推進の取組みや、小学校での花の栽培指導など区内産農作物のイメージアップとPRを図っています。また、世田谷区の地場野菜である大蔵大根を使った料理レシピの紹介や、子どもたちが献立を考える学習などを行うことで、食育の推進や伝統的な食文化の継承に繋げています。 主な取組み 取組み名 取組み内容 せたがやそだち 世田谷で生産された野菜・果実・花などを総称して「せたがやそだち」と呼び、区立小・中学校では、地産地消、食育等の観点から「せたがやそだち」を活用した給食の提供を行います。また、メニューに積極的に使用している飲食店等を登録し、区のホームページ等でお店を紹介することで、「せたがやそだち」の魅力を発信していきます。【継続】 ◆食文化の振興・継承に係る取組みの推進  食育動画や区ホームページ「食育ポータルサイト」を通じて伝統的な食文化を発信し、次世代へ繋げる食育に取り組んでいます。学校や保育園、地域等と連携して、昆布やかつお節などの出汁、醤油などの発酵調味料、伝統野菜等伝統食材を活用した食事、箸等食具の取扱いやしつらいなどの「食」の体験を通じ、家庭や地域に向けた食育を推進していくことで、食文化の普及・啓発を進めます。 また、「食」をテーマとしたイベントの開催や、食に関するイベント支援等を通じ、食文化の振興と地域の活性化を図っていきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 食育ポータルサイト ライフステージに応じた、多様な暮らしに対応する望ましい食習慣の普及啓発や、一汁三菜を基本とした和食や、季節の移ろいとともにある行事食など、日本の食文化を伝える動画やポスターを発信します。【継続】 「食」に関するワークショップ等の実施 「暮らし×デザインの交流拠点」である生活工房において、様々な切り口から「食」に関するワークショップ等を行い、食文化を考えるきっかけづくりを行います。【継続】   取組みの方向性4:「繋がる」 世田谷には、地域に根差し、受け継がれてきた歴史や文化財、史跡、建造物などとともに、人々の暮らしの中で育まれてきた伝統文化や風景が数多くあります。今後も、こうした世田谷の豊かな文化資源を守り、次世代へ継承するため、確実な保存の取組みを進めていきます。 また、世田谷の豊かな文化資源を活かした国際交流や交流事業等を実施するとともに、様々な支援を通じた多文化共生の推進に取り組みます。 【取組み内容】 ①次代の文化・芸術活動を担う人材の発掘、育成、交流・支援活動 ②文化資源などを活用したまちづくり、観光事業の取組みの推進 ③文化資源の保存と継承 ④外国人への支援や交流事業等の推進   ①次代の文化・芸術活動を担う人材の発掘、育成、交流・支援活動 これからの文化・芸術の創造を担う若手アーティストの支援や、その創作活動を支える専門的な人材の育成・支援に取り組んでいきます。また、文化施設等で実施する事業や育成プログラムの実施により、生きがいや心の豊かさの醸成にも繋げていきます。 ◆次代の担い手を生み出す取組み 有望な劇作家、演出家、劇団の発掘、育成を図る事業を実施することで、次代の担い手を発掘し、育成していきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 シアタートラム・ネクストジェネレーション 若い才能の発掘と育成を目的に「ドラマ(演劇)」「フィジカル(ダンス、サーカス等身体表現)」の2ジャンルを隔年で実施し、シアタートラムが次代を担う若手実演家・実演団体にとっての創造・活動の拠点となることを目指します。【継続】   ◆専門的な人材育成、交流・支援 世田谷美術館や世田谷文学館において、区内大学からの学生インターンシップや研修生の受け入れや、学芸員の資格取得を目指す実習生等の受入れ、中学生の職業体験の受入れ等のほか、世田谷パブリックシアターにおいて舞台芸術に関する人材育成を行うことにより、文化・芸術を支える人材の育成に取り組みます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 インターンの受入れ 区内にある大学などからの学生インターンシップの受入れを通じ、事業の現場や学校、劇場等での人材育成を行います。また、世田谷美術館では学生インターンによる区内小学校への出張事業など、人材育成と児童・生徒、学生の世代間交流を促進します。【継続】 創造へ向けた人材育成調査研究プログラム、舞台芸術家のための人材育成プログラム 将来のワークショップの担い手を育成するためのワークショップラボや講座事業の展開、コミュニティプログラムでの若手ファシリテーターの起用などを積極的に行います。 また、劇場運営者、劇作家、演出家など様々な講座等を実施するほか、舞台芸術を支える舞台、音響、照明等、舞台技術人材を育むためのワークショップや講座を開催していきます。【継続】 ◆ボランティアの育成・交流 文化・芸術活動を支えるボランティアの積極的な募集と、事業を通したボランティア育成と世代を超えた交流を推進します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 美術館ボランティアの育成 鑑賞リーダーとして小・中学生を誘導するボランティアを育成し、世代を超えた交流を促進するほか、ボランティアがワークショップの企画に参画するなど、やりがいや生きがいにつながる仕組みとしていきます。【継続】 <人数> 現況値 令和6年度 令和7年度 令和8年度 令和9年度 398名 400名 400名 400名 400名 ②文化資源等を活用したまちづくり、観光事業の取組みの推進 世田谷の豊かな文化資源などを活用して、地域の魅力を引き出し、地域経済の活性化に繋げていきます。歴史的建造物や伝統文化行事など、地域特有の文化資源を活かした活用は、地域の発展のみならず、世田谷にしかない魅力を求めた観光客の来訪を促します。また、住民や観光客が共に楽しむイベントは、地域の結束力を高め、地域に愛着を持つ人材の定着に繋がります。 ◆文化施設の地域連携 美術館や文学館をはじめとする区立文化施設を中心に、民間を含めた区内の多様な文化施設において、地域連携を図り、地域行事の参加や支援を行うことで、地域との交流を深めるとともに、文化・芸術を楽しむ場であることを積極的に発信していきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 セタブンマーケット 世田谷文学館において、書物との出会いと多様な楽しみ方を発信する本と雑貨のノミの市を区内・近隣の古書店や雑貨店等と協力しながら、人と人、人と本、人とモノとの新たな交流の場を作ります。【継続】 ◆世田谷らしい風景の保全と創出 区民一人ひとりが愛着と誇りを持てるような魅力あるまちを形成していくため、世田谷らしい風景の保全と創出に努めていきます。 また、世田谷の特徴でもある、多様で良好なみどりを皆で守り、育てていく取組みを進めていきます。   主な取組み 取組み名 取組み内容 風景と風景づくり 「世田谷区風景づくり条例」と「風景づくり計画」に基づき、区民・事業者・行政が協働して風景づくりを進めていきます。また、地域の個性ある風景づくりを進めると共に、地域資源の有効活用を図るなど、世田谷らしい風景の保全と創出に努めていきます。【継続】 みどりの保全と創出 国分寺崖線や社寺林・屋敷林、農地、公園緑地などまとまりあるみどりや湧水を保全しながら、多様なみどりを新たに創出し、世田谷らしいみどりの保全・創出に努めていきます。【継続】   ③文化資源の保存と継承 文化資源とは、人々の歴史や習慣、伝統や芸術など多岐にわたる文化の遺産です。これらを確実に保存し、次世代へと継承することは、人々が自らの歴史や文化を理解し、共有するための重要な手段となるとともに、地域のアイデンティティの形成にもつながります。 ◆文化・芸術施設の計画的な改修と美術品・文学資料の保存・収集・活用・継承 区立文化・芸術施設は、開設から相当期間が経過し、老朽化が著しく進行しています。美術品や文学資料を保存し、次世代に確実に継承していくため、寄附を募りながら、計画的に施設の改修を進めていきます。また、収蔵作品の積極的な活用を図るとともに、収集した美術品・文学資料を適切に保存するための収蔵庫の整備等を進めます。 ◆文化財の保存 「世田谷区文化財保存活用基本方針」に基づき、文化財を取り巻く様々な課題を踏まえた総合的な取組みを推進していきます。 また、解体や土木工事により保存することができない歴史的建造物や埋蔵文化財等についても適切な調査、研究に基づく記録の保存や成果の公開により、文化財保護への理解の向上を図っていきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 文化財の登録・指定、保存助成 文化財のうち、特に重要なものを世田谷区の文化財として登録・指定し、文化財保護奨励金や保存・修理についての補助金を交付し、文化財の保存を支援していきます。 また、発掘調査により出土した遺物の展示・公開などを通し、区民の埋蔵文化財に対する理解の向上を図っていきます。【継続】 埋蔵文化財の保存 区内に約300か所ある遺跡を記録として残していくほか、発掘調査により出土した遺物の展示・公開や遺跡見学会、遺跡調査発表会などを通し、区民の埋蔵文化財に対する理解の向上を図っていきます。【継続】   ◆地域における文化財保護の担い手の育成 地域における文化財の保存や活用の担い手を育成し、歴史や文化についての解説・案内ボランティアの活動の場を創出していきます。 ◆地域の歴史や食文化を学ぶ機会の提供 民家園において、区民が地域の歴史や食文化を学ぶ機会を提供し、歴史文化の次世代への継承を図っていきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 昔の農作物の展示栽培及び「ハレの日」の食文化の伝承 民家園において、かつての世田谷に見られた季節ごとの農作物を栽培展示するとともに、収穫した農作物などを活用し、農家などが行っていた「ハレの日」の食の展示やお供え物作りの実演、うどん打ちなどの体験を通して、区民が地域の歴史や食文化を学ぶ機会を提供します。【継続】   ④外国人への支援や国際交流の推進 世田谷の豊かな文化資源を活かした国際交流や、多様な文化・慣習等に対する相互理解を深める講座等を通して多文化共生を進めていきます。また、外国人等に向けた多言語化や「やさしい日本語」の活用、日常生活への支援、地域との交流などの取組みを推進します。 なお、これらの取組みを含めた諸施策は、「世田谷区第二次多文化共生プラン」と整合を図り推進します。 ◆多文化共生の推進 多様な文化を理解し合える交流イベントや講座等を開催し、外国人住民と日本人住民が相互理解を深め、ともに活躍しながら暮らしていける多文化共生の意識の醸成・啓発を強化していきます。 主な取組み 取組み名 取組み内容 せたがや国際メッセ 区内大使館や大学、国際交流団体等と連携し、ブース出展やステージイベント、体験コーナー等を実施するとともに、チラシ・パンフレットにルビを振るなど、誰もが気軽に多様な文化に触れられる機会を作ります。【継続】 多文化理解講座 海外の文化や慣習、考え方の違いを学ぶ機会を設けることで、多文化共生の意識を醸成します。【継続】 「やさしい日本語」や英語によるまち歩き 文化施設や商店街、様々な地域イベントをめぐるツアーなど、日本人住民と外国人住民が共に世田谷の魅力を感じることができるまち歩きを実施するとともに、多文化料理の食べ歩きマップなど、多文化を新たな魅力とした情報発信を推進します。【継続】 ◆姉妹都市を始めとする国際交流の推進 3つの姉妹都市や、その他の都市と交流を深め多様な国際交流を推進することで、交流がもたらす活力を国際化の推進に活用していきます。交流については、相互交流(パートナー・テーマ型交流、包括的な交流)、地域での交流の実践を通じて、多様な文化とふれあい、様々な国際交流が展開する地域づくりを目指します。 主な取組み 取組み名 取組み内容 姉妹都市交流事業、多様な国際交流事業 3つの姉妹都市とのさらなる交流促進とともに、ホストタウンであるアメリカ合衆国との交流や、世界の国々からの多様なテーマ交流等を実施します。【継続】