世田谷区都市整備方針(世田谷区の都市計画に関する基本的な方針) 第二部、地域整備方針、後期 令和7年(2025年)7月 世田谷区 ここからは、「第5章 烏山地域」がはじまります。 第5章 烏山地域 ローマ数字のT.烏山地域の概況とまちづくりの主な課題 1.概況 (1)地域のなりたち 本地域は区の北西部、武蔵野台地のほぼ南端に位置し、仙川、烏山川の流れがつくる小さな起伏はあるものの、比較的平坦な台地となっています。 大正4年(1915年)の京王線開通以降、郊外住宅地としての開発により人口が増加し、駅周辺を中心に発展し続けていますが、現在も、農地や宅地のみどりが見られ、武蔵野の自然豊かな風情が残っています。 北烏山には、関東大震災後、都心部から移転してきた寺院が集まった「烏山寺町」と呼ばれる地区があります。また、芦花公園駅周辺は、文豪徳冨蘆花が移り住んだ「蘆花恒春園」や「世田谷文学館」があり、歴史と文化の薫り高い地区となっています。 昭和23年(1948年)に京王線の駅周辺を除く過半の地域に対し、緑地と農地保全を目的とした緑地地域が決定されました。その後、昭和44年(1969年)に緑地地域が廃止され同時に「土地区画整理事業を施行すべき区域」として決定され、その多くが未施行のまま現在に至っています。 烏山地域の町名は、上北沢、八幡山、上祖師谷、粕谷、給田、南烏山、北烏山です。 (なお、PDFファイル版では、ここに玉川地域の位置の地図を掲載しています) この本区全体のなりたちについては、「第一部 都市整備の基本方針」の12ページに、「市街地形成の沿革」として示しています。 (2)地域の姿 東西に京王線が通り、都心へのアクセスは便利ですが、南北交通の不足や開かずの踏切により、相互の交流・交通が遮断されています。その解消を目的とした京王線の連続立体交差事業により、一部側道の整備や高架橋の構築が進められています。 広域的な幹線道路として甲州街道(国道20号)と環状8号線が整備されており、地域全体の道路ネットワークの形成に向けて、補助54号線整備などの都市計画道路整備事業などが進められています。 みどり率は、区の平均をやや上回っていますが、生産緑地面積がこの10年で16.6パーセント減少するなど、民有地のみどりが減少しています。 区民の憩いの場である蘆花恒春園や祖師谷公園があり、またこの10年で松沢病院脇の将軍池広場、キューズガーデン内にある給田松の香公園などが整備されました。しかし、地域住民一人当たりの公園面積は、区全体の平均を下回っているため、(仮称)北烏山七丁目緑地の整備など、引き続き計画的に公園整備を進めています。 千歳烏山駅周辺の商業地域は身近な日用品店や飲食店などが多く、生活の利便性を高めています。烏山区民センターとその前の広場を利用した地域のイベントが積極的に開催され、年間を通してにぎわいが見られます。 (3)地域の現況等のデータ 住居系の土地利用面積割合は平成23年(2011年)時点では、砧地域に次いで2番目に低いものの、区内5地域で過去10年間の変化量が最も多く、1.7ポイント増加しています。公共系に変化はなく、5地域で最も高い割合を占めています。 道路率は区平均より低いものの、過去10年間で0.3ポイント増加しました。また、細街路率は6.7ポイント減少し、砧地域に次いで3番目に低い割合です。一方で、主要生活道路の整備率は5地域で最も低く、都市計画道路の整備率も区平均を下回っています。 ●位置・面積・地勢 ・本区の北西部に位置し、北側は杉並区、西側は三鷹市と調布市に隣接 ・面積は771.5ヘクタール、5地域で5位 ・本地域は武蔵野台地上に位置し、地域のほとんどが標高40メートル以上、北西端では50メートルを超える高台となっている ●人口・世帯 人口(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、119,968人、5地域で5位、平成26年比 約6,100人増加 世帯数(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、64,861世帯、5地域で5位、平成26年比 約5,900世帯増加 人口密度(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、156人パーヘクタール、5地域で5位、平成26年比 9人パーヘクタール増加 平均世帯人員(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、1.85人パー世帯、5地域で3位、平成26年比 0.08人パー世帯減少 人口増減数(推計値)(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、約100人増加、推計時点(令和5年)より10年後までの増加人数(見込み) 高齢者の人口割合(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、21.0パーセント、推計時点(令和5年)より10年後には23.8パーセントの見込み(区平均23.0パーセント) ●土地利用 住居系の割合、48.3パーセント、区平均50.4パーセント、平成23年比1.7ポイント増加し、玉川地域を抜く 商業系の割合、5.3パーセント、区平均6.2パーセント、平成23年比0.4ポイント減少 公園系の割合、6.0パーセント、区平均5.8パーセント、平成23年比0.2ポイント増加 なお、公園系土地利用は、公園のほか運動場など民間施設を含む 公共系の割合、11.5パーセント、区平均9.9パーセント、5地域で最も高い、平成23年比変化なし ●地域資源 ・せたがや百景は、烏山西沢つつじ園、旧甲州街道の道筋、上北沢の桜並木 など13箇所 ・地域風景資産は、烏山寺町、蘆花恒春園花の丘、祖師谷公園 など15箇所 ・上記のほか、徳富蘆花旧宅、烏山川、水無川、仙川、瀧坂道、光風亭、蒼梧記念館 など多くの地域資源がある ●建築物・宅地・防災・みどり・道路 建築物 棟数密度、41.6棟パーヘクタール、区平均45.9棟パーヘクタール、平成23年比1.1棟パーヘクタール増加 3階建て専用住宅棟数、2,128棟、平成23年比 662棟増加 宅地 平均宅地面積、254.9平方メートル、区平均230.9平方メートル、平成23年比12.9平方メートル減少 専用住宅の平均宅地面積、136.9平方メートル、区平均143.6平方メートル、平成23年比12.6平方メートル減少 専用住宅の100平方メートル未満の敷地数、5,994敷地、平成23年比24.7パーセント増加 防災 耐火率、61.0パーセント、区平均64.3パーセント、平成23年比2.9ポイント増加 不燃領域率、66.2パーセント、区平均67.8パーセント、平成23年比2.2ポイント増加 木防建ぺい率、17.3パーセント、区平均17.1パーセント、平成23年比0.7ポイント減少 旧耐震木造棟数密度、6.7棟パーヘクタール、区平均6.4棟パーヘクタール、平成23年比 2.4棟パーヘクタール減少 みどり みどり率、25.1パーセント、区平均24.4パーセント、平成23年比0.7ポイント減少 地域住民一人当たりの公園面積(令和6年4月1日現在の世田谷区都市公園等調書)、2.08平方メートルパー人、区平均2.94平方メートルパー人、平成26年比0.05平方メートルパー人増加 生産緑地面積、21.1ヘクタール、平成23年比4.2ヘクタール減少 道路 道路率、17.0パーセント、区平均17.3パーセント、平成23年比0.3ポイント増加 細街路率、33.9パーセント、区平均31.9パーセント、平成23年比6.7ポイント減少 都市計画道路の整備率(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、40.4パーセント、区平均50.8パーセント 主要生活道路の整備率(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、12.5パーセント、区平均38.3パーセント、5地域で最も低い なお、その他の出典は、世田谷の土地利用2021と、世田谷区土地利用現況調査になります。 平成26年比は、平成26年(2014年)から令和6年(2024年)の10年間の変化 平成23年比は、平成23年(2011年)から令和3年(2021年)の10年間の変化 なお、元の値がパーセントで表現している値の変化量は「ポイント」と表現をしています 2.まちづくりの主な課題  「都市整備の基本方針」における世田谷区をとりまく状況や、前項の概況などを踏まえ、本地域のまちづくりの主な課題を5つのテーマに沿って示します。 (1)テーマT「安全で災害に強いまちをつくる」に関すること 主要生活道路の整備率は区内5地域の中で最も低く、都市計画道路も区平均を下回っており、震災時における避難路や延焼遮断等機能の確保等により地区全体の防災性の向上が課題となっています。 宅地の細分化による住宅などの密集化が進行し、災害時の延焼被害を拡大させないまちづくりが求められています。 細街路率は、依然として区平均より高く、円滑な消防活動等のための市街地形成が求められています。 (2)テーマU「みどり豊かで住みやすいまちをつくる」に関すること みどり率は区の平均をやや上回っているものの、樹林地や農地などのみどりの減少が見られるため、みどりの保全や創出が課題となっています。 相続等による宅地の細分化や大規模な開発などによるみどりの減少を防ぎ、ゆとりのあるみどり豊かな住宅地の維持、保全を図っていくことが望まれています。 大規模な住宅団地が点在し、老朽化の進行とともに居住環境の改善を図っていくことが望まれています。 道路、公園等の都市基盤が未整備なまま宅地開発などが進行した地区もあることから、道路、公園・緑地等の計画的な整備が課題となっています。 (3)テーマV「活動・交流の拠点をもつまちをつくる」に関すること 駅周辺地域において、商業・交流機能を充実させるなど、にぎわいとコミュニティの中心となるまちの形成を図ることが求められています。 京王線の連続立体交差事業や駅前広場整備により、駅前商店街の分断、回遊性の阻害、公共交通の分散などを解消し、にぎわいの形成を図ることが求められています。 区民の身近な活動・交流の場となる公園等が不足する地区もあることから、計画的な整備と活用が望まれています。 買い物動線となる狭い道路への自転車や自動車の流入により、歩行者の安全性や快適性が損なわれており、都市の骨格となる道路ネットワークの整備を計画的に進めることが望まれています。 (4)テーマW「地域資源の魅力を高めるまちをつくる」に関すること 蘆花恒春園や烏山寺町などの歴史的資産が点在しており、地域資源としての活用が望まれています。 みどり率が減少している中、樹林地や農地などの自然資源を守りながら地域資源として、活用が望まれています。 (5)テーマX「誰もが快適に移動できるまちをつくる」に関すること 地区幹線道路や主要生活道路の整備の遅れ、公共交通不便地域における交通弱者の移動手段の確保、歩道と車道の段差をはじめとするまちなかのバリアの存在など、誰もが安全・快適に移動できる環境が整っていないことが課題となっています。 地区の基幹となる道路の整備が遅れ、住宅地内の生活道路に通過交通が流入することから、快適に移動できる歩行空間、自転車利用環境及び交通安全への取組みが望まれています。 地域分断などの原因となる開かずの踏切の解消に向け、京王線の連続立体交差事業が進められており、それに伴い駅周辺において快適に移動できるまちづくりが求められています。 ローマ数字のU.烏山地域の目標、骨格と土地利用の方針 1.目標・地域のまちの姿 「世田谷区地域行政推進計画」の烏山地域経営方針における、本地域のまちの将来像を以下に示します。 武蔵野の面影を残す自然と文化の落ち着きの中で安心と安全をともにつくるまち 地域がつくる、活気あふれるにぎわいと笑顔のあるまち あらゆる世代がいきいきと元気で暮らせるこころのふるさと烏山 これらのまちの将来像を踏まえ、「都市整備の基本方針」の都市づくりビジョン、前項のまちづくりの主な課題などに基づきつつ、概ね10年後(2035年)を見据えた本地域のまちの姿を、以下のとおり5つのテーマに沿って設定します。 地域のまちの姿 地域の軸となる主要な道路整備を通じて、誰もが安全で快適に移動でき、災害時に延焼遮断や延焼遅延、避難路確保等が可能な災害に強いまち 農地や屋敷林の保全と、公園等の整備や民有地の緑化を進め、無秩序な市街地開発を抑制した、武蔵野の面影が残るまち 大規模な住宅団地の建て替えなどに際し、自然環境と調和した道路や公園、公共公益施設等の整備を進め、新たなコミュニティの拠点を創出していく住みやすいまち 烏山寺町のたたずまい、蘆花恒春園、文学館などを核とした歴史と文化、風土が調和した魅力あるまち 京王線の連続立体交差事業や周辺道路の整備などを通じて、南北の交流と人々が集う魅力あふれるまち 2.地域の骨格と土地利用の方針 (1)地域の骨格プラン  「都市整備の基本方針」における都市づくりの骨格プランと、地域のまちの姿に基づき、本地域の基本的骨組みを示します。 千歳烏山駅周辺地区は、京王線の南北両側にそれぞれ商店街が密度高く広がり、商業・サービス、交流などの機能が充実し、区民の交流の「核」であるとともに地域外に居住する区民も多く利用する拠点として「主要な地域生活拠点」と位置づけています。 上北沢駅、八幡山駅、芦花公園駅の各周辺地区は、区民の日常生活に必要な商業・業務機能が集積した、地区の交流の場として、「地区生活拠点」と位置づけています。 地域の中央を南北に貫き、成城学園前駅周辺から千歳烏山駅周辺に至る補助216号線とその沿道を、「主要生活交通軸」と位置づけています。 大規模公園である蘆花恒春園・希望丘公園一帯、祖師谷公園や、烏山寺町一帯、給田一丁目一帯、松沢病院の中にあるまとまりのあるみどりを「みどりの拠点」と位置づけています。 拠点や軸等と位置づける場所について、 生活拠点の主要な地域生活拠点は、千歳烏山駅周辺地区 生活拠点の地区生活拠点は、上北沢駅、八幡山駅、芦花公園駅の各周辺地区 新たな機能を持つ拠点等の災害対策拠点は、烏山総合支所周辺地区 都市軸の都市活力と交通の軸は、環状8号線と甲州街道(国道20号)の各道路とその沿道 都市軸の主要生活交通軸は、補助216号線、補助217号線の一部とその沿道 みどりの拠点及び水と緑の風景軸のみどりの拠点は、烏山寺町一帯、蘆花恒春園・希望丘公園一帯、 祖師谷公園、給田一丁目一帯、松沢病院 (2)地域の土地利用の方針 9つの区分のうち、該当する7つの区分の土地利用ごとの方針を示すとともに、方針図でその位置を概略で示します。なお、大規模な土地利用転換の際は、都市基盤整備を進めるとともに、地区の特性や周辺住宅地と調和した土地利用を誘導します。 @駅周辺商業地区 千歳烏山駅の周辺地区は、地域外に居住する区民も多く利用する場として、商業や交流等の機能が充実するよう土地利用を誘導します。 上北沢駅、八幡山駅、芦花公園駅の各周辺地区は、区民の日常生活における商業等の機能が集積するよう土地利用を誘導します。 A近隣商店街地区 旧甲州街道沿いや住宅地等の中にある商店街は、それぞれの特徴を活かし、周囲の住宅地との調和を図りつつ、身近な商業地としての土地利用を誘導します。 B幹線沿道地区 環状8号線と甲州街道(国道20号)の沿道は、集合住宅や事務所・店舗・サービス施設等が立地する地区として、後背の住宅地環境と調和を図りつつ、都市の活力を生み出す場として育むとともに、基幹的な避難路、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 C地区幹線沿道地区 補助54号線、補助215号線、補助216号線などの沿道は、後背の住環境と調和を図りつつ、住宅と店舗などが共存するとともに、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 D低層住宅地区 戸建て住宅や低層の集合住宅からなる良好な住環境を維持します。 E住宅地区 地域特性に応じた住環境の保全や改善、住宅相互の調和を図りつつ、生活利便施設などが適切に配置された土地利用を誘導します。 F準工業地区 八幡山二丁目などの準工業地区は、供給処理施設の機能を維持するとともに、周辺の住環境との調和を図ります。 (なお、PDFファイル版では、ここに烏山地域の骨格と土地利用の方針図を掲載しています) V.烏山地域のテーマ別の方針               まちづくりの主な課題を解決するとともに、地域のまちの姿を実現するため、5つのテーマからなる「地域のテーマ別の方針」を示します。  地域の特性や課題などを踏まえ、主要なテーマを中心に記載します。方針図は、テーマTからXの重ね合わせで示します。 1.テーマT 安全で災害に強いまちをつくる 延焼遮断帯や延焼遅延帯の整備を進める 補助54号線などの延焼遮断帯を構成する都市計画道路の整備にあわせ、沿道の不燃化を進めます。 延焼遅延帯として重要な役割を担う主要生活道路の整備を進めます。 防災生活圏内の安全性を向上させる 木造建築物が密集し防災上課題のある地区では、建築物の不燃化や耐震化、緊急時・災害時に活用される道路の整備に向けた取組みを地区の住民とともに進めます。 地区内に公園や広場等を整備する際に、防災活動の拠点として、消防水利の整備などを進めます。 消防活動困難区域を解消するため、地先道路の整備を進め、地域の防災性の向上を図ります。 復興に備える 防災・減災対策を第一に取り組むとともに、被災後の復興まちづくりを円滑に進めていくために、平時から人と人とのつながりを大事にしながら復興手順や役割分担の整理を図ります。被災後は本方針や地区計画等を踏まえて早期の復興まちづくりに取り組みます。 災害時の拠点機能を強化する 烏山総合支所が災害対策拠点であることを踏まえ、災害対策機能を強化するとともに、公共施設の再編等も視野に、更なる機能強化を図ります。 水害を抑制する 浸水被害を軽減するため、グリーンインフラの観点も踏まえた雨水流出抑制施設の設置を進めます。 2.テーマU みどり豊かで住みやすいまちをつくる みどりとみずを守り育てる 民有地のみどりが多く残る住宅地では、市民緑地・特別緑地保全地区など各種制度の活用や、地域ぐるみの緑化推進により、脱炭素地域づくりにもつながるみどりのまちづくりを進めます。 環境保全や雨水浸透などの多面的な機能を有する貴重な資産であり、都市にあるべきものとして位置づけられた農地について、区民の理解・関心を高めるとともに、農地保全重点地区における農業公園の整備などの保全策を進めていきます。また、宅地化に際しては環境負荷の低減や緑化に配慮した適切な開発の誘導を進めます。 烏山寺町一帯などのみどりの拠点と水辺や緑道等を中心とした、地域内のみどりが連続するよう、公共公益施設や宅地内の緑化を進め、良好な市街地環境の形成を図り、グリーンインフラとしての活用も推進します。 武蔵野の面影を残す住みやすい住環境を確保する 地区計画制度などの活用により、地区の特性に応じた区画道路等の整備や敷地面積の最低限度の規制などを誘導し、より良い住環境の維持・保全に取り組みます。 建て替えが見込まれる比較的大規模な住宅団地は、周辺環境や周辺地域への貢献を誘導し、優良な住宅の創出やオープンスペースの確保、緑化などについて、適切な誘導を進めます。 大規模敷地の建て替えや土地利用転換では、都市基盤整備や公園・公開空地の整備、緑化等の環境配慮を誘導します。 土地区画整理事業を施行すべき区域内で、農地の宅地化や開発による市街化が進行した地区では、東京都の「周辺区部における土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドライン」を踏まえ、土地区画整理事業に代わる整備手法の検討を行い、無秩序な市街化を抑制します。 3.テーマV 活動・交流の拠点をもつまちをつくる 区の北西部を支えるにぎわいとコミュニティの中心となるまちをつくる 主要な地域生活拠点である千歳烏山駅周辺地区は、鉄道の南北両側にそれぞれ複数の商店街が密度高く広がっていることや、多目的な活動に利用できる広場と一体となった烏山区民センターが駅前に立地していることなどを活かし、商業の誘導や、交流機能などの充実を図るとともに、誰もが利用できるようユニバーサルデザインによる整備を進め、本区の北西部を支えるにぎわいとコミュニティの中心となるまちを形成します。 京王線沿線各駅で、にぎわいや活気のある拠点の魅力を高める 京王線の各駅周辺地区は、連続立体交差事業の進捗にあわせ、地区まちづくり協議会など区民主体のまちづくりの活動を支援しながら、沿線まちづくりの気運醸成に取り組みます。 また、側道や駅前などが整備された後のまちの姿を見据えて、地区特性にあわせて、駅周辺のにぎわい形成や安全・快適な歩行空間などの街並みの改善などを進めます。 身近に公園等の活動・交流の場をつくる 人々が集う公園・緑地・オープンスペースなどの活用により、区民にとって身近な活動・交流の場づくりを進めます。 4.テーマW 地域資源の魅力を高めるまちをつくる 風景の魅力を高める 烏山寺町などの歴史的資産と屋敷林や社寺林、松沢病院周辺などのみどりの資産がある地区では、まちの魅力を高めるため、区民周知に努めるとともに、地域住民が地域の資産を守り・育て・つくるための活動を支援します。 地域資源を有効活用する 公園や水路などの身近な地域資源を活かし、親しみやすい地域の空間づくりを通じ魅力を高めます。 5.テーマX 誰もが快適に移動できるまちをつくる 公共交通の安全性・利便性や快適性を高める 京王線の連続立体交差事業にあわせ駅前広場を整備するとともに、歩行者が安全で快適に回遊できるまちとして、駅周辺地区を一体とした沿線まちづくりを進めます。 地区の生活道路の整ったまちをつくる 主要生活道路や地先道路の整備を進めることにより、地区内の移動の利便性の向上を確保します。 誰もが安全・快適に利用できる交通基盤とする 道路整備や駅周辺の拠点整備に際して、公共交通の導入可能な環境や自転車走行環境などを整え、安全で快適な移動の実現とあわせて、歩行者と自転車利用者の安全性の向上に取り組むとともに、座れる場づくりなど、居心地が良く歩きたくなるまちづくりに取り組みます。 (なお、PDFファイル版では、ここに烏山地域のテーマ別の方針図を掲載しています) ローマ数字のW.烏山地域のアクションエリアの方針            地域のまちの姿を実現するため、今後、概ね10年間にわたりまちづくりを優先的に進める地区と、その方針を示します。(地区の並びは50音順) 1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区(一部、地区計画や地区まちづくり計画などが策定されている地区を含む) なお、地区名の後の「新規」「継続」「移行1」「移行2」の意味は、次の通りです。 「新規」は、本方針において、新たにアクションエリアに位置づける地区 「継続」は、「地域整備方針(平成27年4月)」に引き続き、「1」または「2」のアクションエリアを継続する地区 「移行1」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「2」といいます。)である地区のうち、新たな手法を活用するなど、更なるまちづくりの検討を行うため、本方針において、「1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「1」といいます。)に移行する地区 「移行2」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「1」である地区のうち、地区計画などを策定したため、本方針において、「2」に移行する地区 5-1 上祖師谷三丁目地区(新規) 耐火性の低い木造建築物などが密集している地区において、延焼被害の防止、建築物の不燃化の促進等により、地区内の防火性を高める安全・安心なまちづくりに取り組みます。 5-2 烏山北住宅・烏山松葉通り住宅地区(継続) 地区計画に基づき、延焼遮断機能の確保などの防災性の高い市街地の形成、安全で快適な道路・歩行者ネットワークの形成に向け、まちづくりを進めます。 コミュニティの拠点として地域に親しまれる公園・広場を確保するとともに、周辺環境と調和した市街地の形成をめざします。 5-3 北烏山七丁目地区(岩崎学生寮周辺地区)(継続) 烏山寺町一帯のみどりの拠点として、みどりを保全・創出するとともに、生物多様性に配慮した生きものの拠点をつくります。 多世代の地域住民が活動・交流できるよう、みどりを活かした地域の防災性を高めるとともに、各種施設を適切に配置することで、安全・安心して集うことができる基盤整備を図ります。 5-4 京王線沿線(新規) 南北・東西のつながりによる街の回遊性・快適性の向上をめざし、にぎわいと交流の軸を育むまちづくりを進めます。 5-5 千歳烏山駅周辺地区(地区計画区域)(継続) 駅周辺の整備とあわせ、商店街への通過交通の流入を抑制し、歩きやすく回遊性のある商業環境の魅力アップを図り、安全で快適な歩行者空間の整備を進めます。 整備を進める都市計画道路の補助216号線と駅前広場周辺は、市街地再開発事業との連携により整備を進め、地権者の生活再建と、まちの玄関口として防災力や交通結節機能の強化を図り、京王線の連続立体交差事業を契機とした南北の回遊性向上の拠点として、歩行者空間や広場を創出し、主要な地域生活拠点にふさわしい活気とにぎわいづくりを進めます。 安全で快適な歩行者空間の整備とともに、人々の交流のため、駅周辺の公共施設の再編等、施設の充実も図ったまちづくりを進めます。 5-6 八幡山三丁目地区(八幡山団地地区)(継続) 広域避難場所としての機能の維持・向上のため、公園、緑地等のオープンスペースの整備を進めます。 みどり豊かで良好な住環境の形成及び保全を図ります。 住宅団地のみどりなどを活かした、みどりのネットワークの形成及び保全を図ります。 コミュニティの拠点として地域に親しまれる公園・広場を確保するとともに、周辺環境と調和した市街地の形成をめざします。 5-7 補助54号線沿道地区(補217以西)(新規) 都市計画道路の補助54号線の整備にあわせ、周辺の地区計画、都市計画道路・主要生活道路の整備状況や地区の課題・特性等も踏まえながら、沿道の建築物の不燃化や土地利用の誘導など、沿道のまちづくりを検討します。 2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区 5-8 粕谷二丁目・南烏山一丁目地区(継続) 地区計画に基づき、みどり豊かで良好な住環境の形成及び保全を図ります。 5-9 上北沢駅周辺地区(継続) 京王線の連続立体交差事業にあわせ、駅前環境の整備改善と商店街の商業環境の充実を図り、コミュニティの場となる地区生活拠点を形成します。 桜並木を含む民有地のみどりを保全・創出し、みどり豊かな住宅地の形成を図ります。 5-10 上北沢二丁目地区(松沢病院地区)(移行2) 周辺の住環境と調和を図りながら、病院のみどりや外周の公園・広場が連続したみどり豊かな、安全で快適な歩道などを維持・保全します。 5-11 上祖師谷四丁目地区(継続) 地区計画に基づき、みどり豊かで良好な住環境の形成及び保全を図ります。 5-12 烏山西団地地区(移行2) 防災性に優れた安全で安心できる市街地の形成や、地域に親しまれるみどり豊かで良好な住環境の形成をめざします。 地域の生活道路をつなぐ便利で安全な道路ネットワークの形成をめざします。 5-13 環八沿道地区(継続) 沿道地区計画に基づき、後背地の住宅地との調和を図りながら商業・業務地として誘導するとともに、建築物の不燃化を促進し、みどりと潤いのある良好な沿道の街並みを形成します。 5-14 北烏山二丁目北部地区(継続) 地区計画に基づき、みどりを重視した街並みと周辺市街地に配慮した定住性の高い住宅地の形成を図ります。 5-15 北烏山三丁目地区(継続) 地区まちづくり計画に基づき、農地を保全し、みどり豊かな快適で安全な市街地を形成するよう誘導します。 5-16 北烏山九丁目地区(継続) 地区まちづくり計画に基づき、道路・公園等の整備を進め、みどり豊かな住環境のあるまちづくりを進めます。 5-17 給田一丁目地区(第一生命グラウンド周辺地区)(移行2) 広域避難場所としての機能維持・向上を図るとともに、都市計画道路の補助217号線・主要生活道路122号線(六所神社前通り)の整備に際し、地区内の防火性を高める安全・安心なまちづくりに取り組みます。 引き続き、みどり豊かで良好な住環境を維持するとともに、地区内外の移動の利便性の向上を図ります。 5-18 千歳烏山駅周辺地区(地区計画区域外)(移行2) 道路が狭く、戸建て住宅や集合住宅が混在する地区は、街並みや住環境の改善を図るとともに、道路と街区が整備されたみどり豊かな地区は、落ち着きのある住宅地として街並みの維持・保全を図ります。 5-19 千歳通り北部沿道地区(継続) 地区計画に基づき、住宅と商業、業務等が調和した防災性の高い市街地環境の形成や、みどり豊かで潤いのある良好な街並み景観の形成、安全で快適な歩行者空間の確保などを図るとともに、周辺の道路整備に伴う交通環境の変化や区民意識の高まり等を捉えて新たなまちづくりにつなげていきます。 5-20 補助54号線沿道地区(補216から補217)(新規) 周辺の住環境との調和や道路整備の状況等も踏まえながら、沿道の不燃化や土地利用など、沿道のまちづくりを進めます。 5-21 芦花公園駅周辺地区(移行2) 日常生活の利便に資する商業環境の充実を図り、地区住民や来訪者の活動・交流の場として地区生活拠点を形成します。 防災性の高い市街地環境を形成するとともに、良好な住環境を保全し、地域の文化・歴史的資産、豊かなみどりなど、地域の魅力を活かしたコミュニティを育むまちづくりを進めます。 5-22 粕谷・南烏山地区、上北沢・桜上水・八幡山地区、上北沢地区、上祖師谷・給田地区、北烏山・給田地区、北烏山東部地区、北烏山南部地区、北烏山北部地区(継続) 地区計画に基づき、みどり豊かな住環境を生み出すとともに、農地などの自然環境を保全・育成し、農地と住宅地が共存するまちづくりを進めます。 5-23 北烏山七丁目住宅地区、大道北地区(継続) 土地区画整理事業の効果の維持増進を図り、北烏山七丁目住宅地区については、建築物の誘導など良好な住環境のあるまちづくりを進め、大道北地区においては、農地と住宅が調和したみどり豊かな市街地の形成を誘導します。 (なお、PDFファイル版では、ここに烏山地域のアクションエリアの地図を掲載しています) 第5章烏山地域の内容は以上となります。 最後に、奥づけになります。 発行は、世田谷区 編集は、総合支所 まちづくり課、都市整備政策部 都市計画課 問い合わせ先は、都市計画課 電話番号:03-6432-7174