世田谷区都市整備方針(世田谷区の都市計画に関する基本的な方針) 第二部、地域整備方針、後期 令和7年(2025年)7月 世田谷区 ここからは、「第4章 砧地域」になります。 第4章 砧地域 ローマ数字のT.砧地域の概況とまちづくりの主な課題  1.概況 (1)地域のなりたち 本地域は区の西部に位置し、主に住宅地が広がる台地と、農地と住宅が混在する多摩川沿いの平地からなります。台地と平地の境には、貴重な湧水や植物、樹林地を持つ国分寺崖線が広がっています。 大正の終わりに成城学園の立地を契機に誕生した成城は、当初より計画的なまちづくりが行われ、にぎわいと落ち着きをあわせ持つ「学園のまち」として発展しました。 比較的古くから大学や映画撮影所、研究所があり、また、世田谷美術館が立地するなど教育・文化施設が多く存在する創造的・文化的環境の整った地域でもあります。 地域内には、区のイメージを代表するみどりと調和した良好な住宅地が広く分布していますが、社宅の廃止や事業所の移転などにより大規模な集合住宅も増えています。  砧地域の町名は、成城、祖師谷、千歳台、船橋、喜多見、宇奈根、鎌田、岡本、大蔵、砧、砧公園です。 (なお、PDFファイル版では、ここに砧地域の位置の地図を掲載しています) この本区全体のなりたちについては、「第一部 都市整備の基本方針」の12ページに、「市街地形成の沿革」として示しています。 (2)地域の姿 水と緑の風景軸である国分寺崖線のみどりをはじめ、砧公園など大規模な公園があり、地域住民一人当たりの公園面積は5地域の中で最も大きく、みどり率も30パーセントを超え最も高い状況にあります。また、区内の生産緑地地区の約4割が本地域にあります。しかしながら、みどり率、生産緑地地区ともに減少しています。 千歳船橋駅から喜多見駅までの各駅周辺には、ウルトラマン商店街をはじめ地域の特性に合った個性的な商店街があり、区民の生活を支えています。 岡本公園民家園や次大夫堀公園民家園では、往時の世田谷の農村風景と生活環境などを再現し、四季折々に様々な催し物を行い、現代に生きる文化財として注目を集めています。 環状8号線が南北に通っているものの、地域内の道路ネットワークはまだ十分に形成されておらず、都市基盤整備が不十分な状況です。 地域の南西部では、東京外かく環状道路の事業が進められており、今後の地区の変化を見据えたまちづくりが求められています。 (3)地域の現況等のデータ  住居系の土地利用面積割合と人口密度が、区内5地域で最も低く、公園系の割合が最も高い地域です。 専用住宅の平均宅地面積は最も大きい状況にありますが、100平方メートル未満の敷地数は過去10年間で27.3パーセント増加しています。また、道路率は増加傾向にあるものの、5地域で最も低い状況となっています。 ●位置・面積・地勢 ・本区の西部に位置し、西側は調布市と狛江市、南側は多摩川を挟んで川崎市に隣接 ・面積は1,354.9ヘクタール、5地域で2位 ・本地域は多摩川低地と武蔵野台地とに大きく分けられ、武蔵野台地を野川や仙川、谷戸川が侵食。野川の左岸側には国分寺崖線が延び、標高差20メートルを超える急傾斜地となっている ●人口・世帯 人口(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、165,024人、5地域で3位、平成26年比約8,600人増加 世帯数(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、79,569世帯、5地域で4位、平成26年比約6,500世帯増加 人口密度(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、122人パーヘクタール、5地域で5位、平成26年比7人パーヘクタール増加 平均世帯人員(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、2.07人パー世帯、5地域で1位、平成26年比0.07人パー世帯減少 人口増減数(推計値)(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、約2,400人増加、推計時点(令和5年)より10年後までの増加人数(見込み) 高齢者の人口割合(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、20.9パーセント、推計時点(令和5年)より10年後には24.1パーセントの見込み(区平均23.0パーセント) ●土地利用 住居系の割合、44.4パーセント、区平均50.4パーセント、5地域で最も低いが、平成23年比1.3ポイント増加 商業系の割合、5.3パーセント、区平均6.2パーセント、平成23年比0.2ポイント減少 工業系の割合、0.8パーセント、区平均0.8パーセント、平成23年比0.5ポイント減少 公園系の割合、9.9パーセント、区平均5.8パーセント、5地域で最も高い、平成23年比0.2ポイント減少 なお、公園系土地利用は、公園のほか運動場など民間施設を含む ●地域資源 ・せたがや百景は、船橋の希望丘公園、祖師谷つりがね池、宇奈根氷川神社 など25箇所 ・地域風景資産は、静嘉堂緑地の自然林、岡本の富士見坂−岡本3丁目の坂、成城の桜並木といちょう並木、成城の富士見橋と不動橋、喜多見・歴史の道・慶元寺・氷川神社界わい など22箇所 ・上記のほか、世田谷美術館、ウルトラマン商店街、野川、仙川、登戸道、筏道 など多くの地域資源がある ●建築物・宅地・防災・みどり・道路 建築物 棟数密度、39.2棟パーヘクタール、区平均45.9棟パーヘクタール、5地域で最も低い、平成23年比1.4棟パーヘクタール増加 3階建て専用住宅棟数、3,340棟、平成23年比940棟増加 利用建ぺい率、43.3パーセント、区平均47.7パーセント、5地域で最も低い、平成23年比1.1ポイント増加 利用容積率、118.4パーセント、区平均136.6パーセント、5地域で最も低い、平成23年比5.9ポイント増加 宅地 平均宅地面積、273.4平方メートル、区平均230.9平方メートル、5地域で最も大きい、平成23年比19.5平方メートル減少 専用住宅の平均宅地面積、163.3平方メートル、区平均143.6平方メートル、5地域で最も大きい、平成23年比18.4平方メートル減少 専用住宅の100平方メートル未満の敷地数、6,663敷地、平成23年比27.3パーセント増加 防災 耐火率、64.0パーセント、区平均64.3パーセント、平成23年比3.8ポイント増加 不燃領域率、69.6パーセント、区平均67.8パーセント、平成23年比2.3ポイント増加 木防建ぺい率、15.6パーセント、区平均17.1パーセント、5地域で最も低い、平成23年比1.2ポイント減少 旧耐震木造棟数密度、4.6棟パーヘクタール、区平均6.4棟パーヘクタール、5地域で最も低い、平成23年比1.9ポイント減少 みどり みどり率、33.0パーセント、区平均24.4パーセント、5地域で最も高い、平成23年比0.7ポイント減少 地域住民一人当たりの公園面積(令和6年4月1日現在の世田谷区都市公園等調書)、6.72平方メートルパー人、区平均2.94平方メートルパー人、5地域で最も大きい、平成26年比0.21平方メートルパー人減少 生産緑地面積、31.6ヘクタール、平成23年比8.3ヘクタール減少、5地域で最大の減少率 道路 道路率、15.9パーセント、区平均17.3パーセント、5地域で最も低い、平成23年比0.1ポイント増加 細街路率、28.1パーセント、区平均31.9パーセント、平成23年比6.6ポイント減少 都市計画道路の整備率(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、40.6パーセント、区平均50.8パーセント 主要生活道路の整備率(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、28.3パーセント、区平均38.3パーセント なお、その他の出典は、世田谷の土地利用2021と、世田谷区土地利用現況調査になります。 平成26年比は、平成26年(2014年)から令和6年(2024年)の10年間の変化 平成23年比は、平成23年(2011年)から令和3年(2021年)の10年間の変化 なお、元の値がパーセントで表現している値の変化量は「ポイント」と表現をしている 2.まちづくりの主な課題  「都市整備の基本方針」における世田谷区をとりまく状況や、前項の概況などを踏まえ、本地域のまちづくりの主な課題を、5つのテーマに沿って示します。 (1)テーマT「安全で災害に強いまちをつくる」に関すること 消防活動が困難とされる区域や近距離の避難が困難とされる区域が多く見られ、区域を含む地区全体の防災性を高めることが必要です。 豪雨時の大規模水害や内水氾濫などの水害に備えた、河川改修や下水道整備のほか、雨水流出抑制施設の設置等の総合的な対応が求められています。 国分寺崖線をはじめ起伏のある地形を有し、がけや擁壁の崩壊による土砂災害を未然に防ぐ対応が求められています。 (2)テーマU「みどり豊かで住みやすいまちをつくる」に関すること みどり率は区内5地域のうちで最も高く、みどりとみずが豊かな地域ですが、宅地化の進行等により樹林地や農地など民有のみどりは減少傾向にあり、自然環境の保全や再生への対応が求められています。 人口は10年後まで増加を続ける予測となっており、開発などによる街並みやみどりへの影響を踏まえた対応が求められています。 (3)テーマV「活動・交流の拠点をもつまちをつくる」に関すること 成城学園前駅周辺地区は主要な地域生活拠点としての役割を担えるよう、地区特性を活かした機能の充実が必要です。 地域生活拠点である祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区をはじめ、区民の身近な活動・交流の場となるような拠点については、機能の充実と活性化を図ることが必要です。また、身近に商店街のない地区への対応が必要です。 (4)テーマW「地域資源の魅力を高めるまちをつくる」に関すること 地域資源の魅力を高めるまちをつくるため、本区が誇る自然資源である国分寺崖線の風景や、多摩川沿いに残る世田谷の原風景ともいえる農村風景などの活用が望まれています。 また、多くの埋蔵文化財が発掘され、江戸初期に大名の陣屋が置かれていたことや、学園のまち成城、映画撮影所、世田谷美術館などがあり、このような歴史・文化資源の活用も望まれています。 (5)テーマX「誰もが快適に移動できるまちをつくる」に関すること 都市計画道路や主要生活道路の整備が遅れており、道路率は区内5地域で最も低い状況にあり、各拠点や施設をつなぐ道路や南北交通のネットワークの形成が必要です。 歩行空間の確保やベンチ等の設置による安全性・快適性の向上とあわせて、自転車利用環境の向上が求められています。 コロナ禍の影響による利用者減少など、厳しい状況にある公共交通事業者の状況を踏まえつつ、高齢化の進行を見据えた移動環境の確保・維持が望まれています。 広域からの通過交通による環状8号線や世田谷通り(補助51号線)などの交通渋滞の発生や、住宅地への通り抜け車両の流入が見られ、対応が必要です。 ローマ数字のU.砧地域の目標、骨格と土地利用の方針 1.目標・地域のまちの姿  「世田谷区地域行政推進計画」の砧地域経営方針における、本地域のまちの将来像を以下に示します。 災害等に強い安全・安心のやすらぎのあるまち みどり豊かで持続可能なライフスタイルを実現するまち 歴史と伝統を大切にあらゆる世代のにぎわい・交流のあるまち これらのまちの将来像を踏まえ、「都市整備の基本方針」の都市づくりビジョン、前項のまちづくりの主な課題などに基づきつつ、概ね10年後(2035年)を見据えた本地域のまちの姿を、以下のとおり5つのテーマに沿って設定します。 地域のまちの姿 地震や火災、水害など災害に強い市街地が整備された、安全・安心のまち 多摩川緑地、砧公園、国分寺崖線などがもつ、恵まれた自然・生態系を大切にするまち にぎわいと元気あふれるコミュニティの形成された生活拠点と、誰もが利用できる身近なみどりの拠点のあるまち みどりとみずと農の豊かな原風景と、ゆとりある街並みを後世に残すまち 南北方向等の道路が整備され、歩行者や自転車利用者にとって安全で快適に移動できる交通ネットワークが充実したまち 2.地域の骨格と土地利用の方針 (1)地域の骨格プラン 「都市整備の基本方針」における都市づくりの骨格プランと、地域のまちの姿に基づき、本地域の基本的骨組みを示します。 成城学園前駅周辺地区は、駅西口の駅前広場や砧区民会館、まちの玄関口となる複合的な駅ビルなどが整備され、商業などの機能が充実し、区民の交流の「核」であるとともに地域外に居住する区民も多く利用する拠点として「主要な地域生活拠点」と位置づけています。 祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区は、住宅地と駅周辺及び商店街通りの商業地が調和した、安全で暮らしやすいまちづくりを進め、地域の「核」となる区民の身近な交流の場として「地域生活拠点」と位置づけています。 千歳船橋駅、喜多見駅の各周辺地区は、区民の日常生活に必要な商業・業務機能が集積した、地区の交流の場として、「地区生活拠点」と位置づけています。 世田谷通り(補助51号線)や地域の中央を南北に貫き、二子玉川駅周辺から成城学園前駅周辺を経由する補助216号線、補助217号線及び多摩堤通りとその沿道などを、「主要生活交通軸」と位置づけています。 砧公園一帯、岡本静嘉堂緑地一帯、成城みつ池緑地一帯などを「みどりの拠点」と位置づけるとともに、みどりに恵まれ、多様な生きものが生息・生育し、みどりとみずの風景が連なった国分寺崖線とその周辺を、「水と緑の風景軸」と位置づけています。 拠点や軸等と位置づける場所について、 生活拠点の主要な地域生活拠点は、成城学園前駅周辺地区 生活拠点の地域生活拠点は、祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区 生活拠点の地区生活拠点は、千歳船橋駅、喜多見駅の各周辺地区 新たな機能を持つ拠点等の災害対策拠点は、砧総合支所周辺地区 都市軸の都市活力と交通の軸は、環状8号線とその沿道 都市軸の主要生活交通軸は、補助216号線、補助217号線及び多摩堤通り、世田谷通り(補助51号線)の各道路とその沿道 みどりの拠点及び水と緑の風景軸のみどりの拠点は、砧公園一帯、岡本静嘉堂緑地一帯、祖師谷公 園、成城みつ池緑地一帯、成城学園一帯、次大夫堀公園一帯、蘆花恒春園・希望丘公園一帯、外環道東名ジャンクション(仮称)の上部空間及び周辺地域 みどりの拠点及び水と緑の風景軸の水と緑の風景軸は、国分寺崖線とその周辺 みどりの拠点及び水と緑の風景軸の環境保全ゾーンは、多摩川 (2)地域の土地利用の方針 9つに区分した土地利用ごとの方針を示すとともに、方針図でその位置を概略で示します。 なお、大規模な土地利用転換の際は、都市基盤整備を進めるとともに、地区の特性や周辺住宅地と調和した土地利用を誘導します。 @駅周辺商業地区 成城学園前駅の周辺地区は、地域外に居住する区民も多く利用する場として、商業・業務、文化、行政等の機能が充実するよう土地利用を誘導します。 祖師ヶ谷大蔵駅の周辺地区は、区民の日常生活に関わる商業・業務、行政等の機能が集積し、区民の身近な交流の場となるよう土地利用を誘導します。 千歳船橋駅と喜多見駅の各周辺地区は、区民の日常生活における商業・業務等の機能が集積するよう土地利用を誘導します。 A近隣商店街地区 住宅地等の中にある商店街は、それぞれの特徴を活かし、周囲の住宅地との調和を図りつつ、身近な商業地としての土地利用を誘導します。 B幹線沿道地区 環状8号線の沿道は、主として事務所・店舗・サービス施設等が立地する地区として、後背の住宅地環境と調和を図りつつ、都市の活力を生み出す場として育むとともに、基幹的な避難路、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 C地区幹線沿道地区 世田谷通り(補助51号線)や補助54号線などの沿道は、後背の住環境と調和を図りつつ、住宅と店舗などが共存するとともに、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 D低層住宅地区 戸建て住宅や低層の集合住宅からなる良好な住環境を維持します。 E住宅地区 地域特性に応じた住環境の保全や改善、住宅相互の調和を図りつつ、生活利便施設などが適切に配置された土地利用を誘導します。 F住商複合地区 世田谷通り(補助51号線)の北側などに見られる住商複合地区は、大学や研究所等の立地を維持します。 G準工業地区 船橋などの準工業地区は、生産環境の保全とともに、住環境との調和を図ります。 H河川環境地区 多摩川及びその河川敷は、自然環境の保全やみどり豊かで水辺に親しめる環境の創出を図ります。 (なお、PDFファイル版では、ここに砧地域の骨格と土地利用の方針図を掲載しています) ローマ数字のV.砧地域のテーマ別の方針 まちづくりの主な課題を解決するとともに、地域のまちの姿を実現するため、5つのテーマからなる「地域のテーマ別の方針」を示します。 地域の特性や課題などを踏まえ、主要なテーマを中心に記載します。方針図は、テーマTからXの重ね合わせで示します。 1.テーマT 安全で災害に強いまちをつくる 延焼遮断帯や延焼遅延帯の整備を進める 延焼遮断帯を構成する都市計画道路の優先的な整備にあわせ、沿道の不燃化を進めるとともに、緑化の推進や空地の確保を進め、延焼遮断帯や延焼遅延帯の整備を進めます。 延焼遅延帯として重要な役割を担う主要生活道路の整備を促進します。 幅員8メートル以上の既存道路、鉄道敷・河川、大規模施設用地、大規模な住宅施設、公園・運動場、公共施設、連担する不燃建築物などの既存ストックを活用し、これらをつなげて延焼遅延効果を持つ空間のネットワーク形成を図ります。 防災生活圏内の安全性を向上させる 祖師谷地区などの防災上課題のある地区は、建築物の不燃化や耐震化、地先道路の整備や狭あい道路の拡幅整備、消防水利の確保、ブロック塀の安全対策、管理不全な建築物等の対策などを進めます。 消防活動困難区域を解消するため、地先道路の整備を進め、地域の防災性の向上を図ります。 都市基盤が未整備なまま市街化が進行している地区は、土地区画整理事業や開発行為、建築物の個別建て替えなど、様々な機会を捉えて道路整備に取り組みます。また、地区計画制度を活用し安全性の向上を図ります。 土地区画整理事業を施行すべき区域については、東京都の「周辺区部における土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドライン」を踏まえ、区画道路率の確保など地域の安全性を高めるまちづくりに取り組みます。 砧公園・大蔵運動公園一帯などの広域避難場所等へのアクセス路としての安全性を高めるため、歩道幅員の確保や、無電柱化などを進めるとともに、広域避難場所等の周辺の地先道路整備に優先的に取り組みます。 復興に備える 延焼遮断帯や延焼遅延帯の整備、防災生活圏内の安全性を向上させるなどの継続的な都市基盤や市街地の整備に取り組むとともに、災害情報の周知や防災機器の設置などの短期的な取組みを並行して行うことで、人の命を守る災害に強いまちづくりに取り組みます。 防災・減災対策を第一に取り組むとともに、被災後の復興まちづくりを円滑に進めていくために、平時から人と人とのつながりを大事にしながら復興手順や役割分担の整理を図ります。被災後は本方針や地区計画等を踏まえて早期の復興まちづくりに取り組みます。 水害や土砂災害を抑制する 河川に近い区域や、浸水被害が想定される地区を中心に豪雨・浸水対策を進めます。 野川や仙川などの治水能力の向上を促進するとともに、グリーンインフラの観点も踏まえ、雨水を貯留浸透させる自然面の確保や、道路・公園、民有地などにおける雨水流出抑制施設の設置を進めます。 国分寺崖線沿いに多く分布する土砂災害特別警戒区域等において、公共施設のがけや擁壁の安全性を確保するため、定期的な巡回点検等により適切な維持管理に努めるとともに、樹林地の保全と両立する斜面保護対策を検討し、対応に努めます。また、土地所有者等への必要な支援に取り組みます。 2.テーマU みどり豊かで住みやすいまちをつくる みどりを守り育てる 本地域は、国分寺崖線、まとまった農地、公園・緑地等の、みどりの資源に恵まれています。これらを保全するとともに、緑道や街路樹、民有地のみどりなどでネットワークを形成します。 公共公益施設の新築や改築時には、既存樹木を保全し活用するとともに、新たなみどりの創出を図ります。 国分寺崖線や街路樹などのみどりは、適切に維持管理し、暑熱環境を緩和する緑陰の確保に努めるとともに、多様な生きものが生息・生育できるみどり環境づくりに取り組みます。 民間開発や民間住宅などの建築に際しては、緑化地域制度の運用や条例による緑化指導などにより、みどりの保全・創出を図ります。 環状8号線などの幹線道路等の沿道の緑化を進めます。 農地等を生産緑地地区、屋敷林を市民緑地や保存樹林地などに追加指定を進めるとともに、特に野川の西側に広がる農地保全重点地区や国分寺崖線付近の生産緑地地区などでは、農地や屋敷林等を主に都市計画公園・緑地に位置づけるなど、保全を図ります。 みずを守り育てる 多摩川、野川、仙川などのみず資源を保全しつつ、多自然川づくりなどにより、多様な生きものが生息・生育できる水辺環境の再生を図ります。 国分寺崖線などの湧水・地下水の一層のかん養・保全のため、雨水浸透施設の設置を進めるほか、緑地や農地等の自然面を保全・創出し、グリーンインフラの取組みや潤いのある風景づくりに努めます。また、自然のみずとのふれあいの場や、災害時に必要な水の供給源などとして活用します。 地区特性に応じたみどり豊かな住宅地等の整備を進める 開発行為や土地区画整理事業などの機会を捉え、公園・緑地等の設置を進めます。また、開発行為などに伴う宅地内の緑化を進めるため、「世田谷区みどりの基本条例」の届出に際し、必要に応じて緑地協定を誘導します。 国分寺崖線など本地域特有の自然環境や風景を守るため、風致地区制度などを活用し、みどり豊かでゆとりのある住宅地等の形成を図ります。 大規模な住宅団地の建て替えなどにあわせて、地区計画などの手法も活用し、周辺の住環境などに配慮したまちづくりを誘導します。 外環道東名ジャンクション周辺地区では、周辺環境に配慮しながら適正な土地利用を誘導し、みどりとみずとの調和をめざしたまちづくりを進めます。 また、主要生活交通軸となる道路の沿道などでは、日常生活に必要なものが買える商業施設などが立地し、安全・安心で暮らしやすいまちの形成をめざします。 土地区画整理事業を施行すべき区域のうち、土地区画整理事業による整備が困難な地区については、東京都の「周辺区部における土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドライン」を踏まえ、土地区画整理事業に代わる整備手法の検討を行い、無秩序な市街化を抑制します。 住宅地から排出される二酸化炭素の大部分を占める電気及び都市ガスなどの脱炭素化を推進するとともに、みどり豊かな自然環境の保全や、太陽光発電設備及び蓄電池の設置による災害時の自立電源の確保等、様々な地域課題をあわせて解決していくことで持続可能な地域づくりに取り組みます。 3.テーマV 活動・交流の拠点をもつまちをつくる 活力ある生活拠点とする 主要な地域生活拠点である成城学園前駅周辺地区は、おしゃれでみどり薫る拠点とするため、駅周辺の活力ある商業地と閑静で良好な住宅地の双方が調和し、風景に配慮したまちづくりを進めます。 地域生活拠点である祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区は、まちのにぎわいに満ちた拠点とするため、風景に配慮した地域のコミュニティの場となるような商店街の形成を進めます。 地区生活拠点である千歳船橋駅と喜多見駅周辺地区は、地区の交流の場となる拠点とするため、区民の日常生活に必要な環境を確保するとともに、身近なコミュニティの場としての機能を誘導します。 身近に商店街がない地域の利便性の向上のため、幹線道路や地区幹線道路の沿道等では周辺環境に配慮しながら、生活利便施設の誘導を図ります。 誰もが利用できるみどりの拠点とする 砧公園一帯は、みどり、文化、スポーツなどの様々な機能の施設整備を進め、誰もが利用できる魅力あるみどりの拠点とします。 砧公園一帯などのみどりの拠点で行われているみどりを守り育てる活動を活性化し、みどりの豊かさを実感できる機会や場づくりを推進します。 活力ある産業環境とする 環状8号線沿道や世田谷通り(補助51号線)の一部沿道は、敷地や街区の規模、後背地の住環境などに配慮しながら、魅力ある沿道型商業・業務・サービス施設等の立地を進めます。 船橋五・六丁目の準工業地区は、生産環境の保全とともに住環境と調和した住工共存のまちづくりを進めます。 4.テーマW 地域資源の魅力を高めるまちをつくる 自然資源の魅力を高める 国分寺崖線の緑地や湧水などの自然環境は、多様な生きものを育む場として、また貴重な地域風景資産の一部として、後世に残していけるよう保全します。また、民有樹林地や水辺についても、公有化に努め、公園・緑地とすることで、自然資源の確保を進めます。 住宅地においては、垣・さくの緑化、敷地内の緑化を進めるとともに、保存樹木・保存樹林地の保全に努め、みどりの保全・創出を図ります。 みどりとみず及び農のある風景が多く残る地区では、自然や生態系を大切にし、国分寺崖線や農地の保全、環境共生等に係る、世田谷・みどりのフィールドミュージアムなどの活用により、身近なみどりとみずの魅力に触れることのできる学習・体験の場を提供します。 風景の魅力を高める 水と緑の風景軸(国分寺崖線とその周辺)や風致地区に指定されている地域をはじめ、地域の豊かな地形やみどりなどの風景特性を活かした個性ある風景づくりをめざします。特に喜多見や宇奈根に多く分布する遺跡や寺社等の良好な樹林地を保全し周辺の風景の魅力を高めます。 農地が比較的まとまって残っている地区は、農地を都市の貴重な資源と捉え農のある風景として保全に努めます。 まちの骨格となる幹線道路等の沿道緑化や街並みの統一などの風景づくりを進めます。また、古道や水辺、緑道等は、舗装材の工夫などにより風景づくりを進めます。 次大夫堀公園や岡本静嘉堂緑地などの整備改修の際は、その周辺地域の風景づくりを大切にする考え方で取り組みます。 喜多見地区などには、世田谷の原風景ともいうべき、社寺やみどり豊かな農地、古道などが残っており、こうした資産を活かしたまちづくりを進めます。 富士山への眺めを多くの人が楽しむことができる岡本の富士見坂などの景観重要公共施設や、世田谷を特徴づける風景と感じられる場所は、地域住民との連携により保全や整備などに取り組みます。 地域資源を有効活用する 大規模な土地利用転換の際は地区計画制度を活用して、まとまったみどりの創出や沿道のみどりの保全・創出、公開空地の整備などを進めます。 東名ジャンクション(仮称)の整備に伴い創出される上部空間等の利用については、殿山遺跡等の記憶の継承や次大夫堀公園と野川の連携、国分寺崖線からのみどりのネットワークなど、砧の原風景である地域特性を踏まえた有効活用を図ります。 民家園や学園のまち成城、映画撮影所、世田谷美術館など地域の歴史・文化資源を活かした魅力あるまちづくりを進めます。 5.テーマX 誰もが快適に移動できるまちをつくる 歩行者や自転車利用者の安全性と快適性を高める 道路や公園、河川・水路・緑道等を活用し歩行空間を確保するとともに、ベンチ等の設置に取り組むことで、安全で誰もが楽しいウォーカブルなまちづくりを進めます。 広幅員の道路が少ない砧地域において、自転車で安全かつ快適に通行できるよう自転車利用環境の改善を図ります。 各拠点や施設をつなぐ 各拠点や主要施設をつなぐ地区幹線道路や主要生活道路の整備促進のため、計画的かつ継続的な取組みを進めます。 南北方向の交通渋滞の解消と主要生活交通軸の形成のため、これを構成する都市計画道路等の整備にあわせ、交通ネットワークの形成を図ります。また、沿道では地域間交流のシンボル軸としての風景の質の向上や緑化などを進めます。 新たなモビリティを活用したコミュニティ交通の実証運行など、公共交通不便地域の移動環境の改善につなげ、誰もが快適に移動ができるまちづくりを進めます。 交通環境の質を高める 駅周辺や日常生活の主要な動線となる道路は、ユニバーサルデザインの視点に立った整備・改善を進めます。 東京外かく環状道路(東名高速から湾岸道路間)をはじめとする広域的な道路ネットワークの形成を促進し、環状8号線や世田谷通り(補助51号線)の渋滞解消、住宅地等への流入抑制や安全性確保に向けた取組みを進めます。 (なお、PDFファイル版では、ここに砧地域のテーマ別の方針図を掲載しています) ローマ数字のW.砧地域のアクションエリアの方針              地域のまちの姿を実現するため、今後、概ね10年間にわたりまちづくりを優先的に進める地区と、その方針を示します。(地区の並びは50音順) 1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区(一部、地区計画や地区まちづくり計画などが策定されている地区を含む) なお、地区名の後の「新規」「継続」「移行1」「移行2」の意味は、次の通りです。 「新規」は、本方針において、新たにアクションエリアに位置づける地区 「継続」は、「地域整備方針(平成27年4月)」に引き続き、「1」または「2」のアクションエリアを継続する地区 「移行1」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「2」といいます。)である地区のうち、新たな手法を活用するなど、更なるまちづくりの検討を行うため、本方針において、「1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「1」といいます。)に移行する地区 「移行2」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「1」である地区のうち、地区計画などを策定したため、本方針において、「2」に移行する地区 4-1 成城学園前駅周辺地区(移行1) 主要な地域生活拠点の実現に向けて、駅周辺の活力ある商業地と良好な住宅地の双方が調和したまちづくりを、駅周辺の関係団体等と連携しながら進めます。また、脱炭素化や誰もが楽しいウォーカブルなまちづくりに取り組みます。 駅西口交通広場や駅前小広場の整備、駅周辺の既存道路や歩行空間の改良等を行い、安全で快適な歩行者環境整備のまちづくりを進めます。 4-2 祖師谷一丁目地区(新規) 耐火性の低い建築物が密集するとともに、災害時の活動に有効な空間が不足している地区において、建築物の不燃化など防災機能の向上を図り、地区の安全性を高めるまちづくりに取り組みます。 4-3 祖師谷五・六丁目地区(新規) 耐火性の低い木造建築物などが密集している地区において、延焼被害の防止、建築物の不燃化の促進等により、地区内の防火性を高める安全・安心なまちづくりに取り組みます。 4-4 外環道東名ジャンクション周辺地区(継続) 区画道路などの都市基盤整備にあわせ、安全・安心で利便性の高い土地利用を図るとともに、誰もが移動しやすく生活環境の心地よいみどり豊かな市街地の形成、周辺地区と連続する野川沿いのみどりとみずのネットワークなどの充実を図ります。 また、主要な道路沿道での生活利便施設や東京外かく環状道路の上部利用等と沿道の事務所・店舗等が一体となった利便性が高く、地域交流を育むまちづくりに取り組みます。 東名ジャンクション(仮称)の整備に伴い創出される上部空間等の活用については、高速道路や関連施設の事務所などとのゾーン区分を調整しつつ、緩衝緑地帯の整備を図るとともに、憩いの公園や運動施設などの地域コミュニティの場の創出、防災機能の確保などに向けた整備を進めます。 2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区 4-5 大蔵地区(継続) 国分寺崖線の自然環境の保全や良好な居住環境の維持のため、国分寺崖線に配慮した住宅の誘導、道路・公園等の都市基盤整備を進め防災機能及び生活利便性の高い安全・安心なまちづくりを進めます。 4-6 大蔵三丁目地区(移行2) 国分寺崖線の自然環境の保全とスカイラインに配慮した街並みの形成及び周辺の居住環境に配慮したまちづくりを進めます。 広域避難場所としての防災機能の向上を図るとともに、快適な歩行者空間や便利で安全な道路ネットワークの形成のための整備を進めます。 4-7 鎌田一丁目地区(継続) みどりの確保と狭あい道路の解消などを行い、みどり豊かで防災性の高いまちづくりを進めます。 流域対策推進地区として、雨水流出抑制施設設置の促進や豪雨対策を推進し、水害を抑制するまちづくりを進めます。 4-8 環八沿道地区(継続) 沿道地区計画に基づき、後背地の住宅地との調和を図りながら商業・業務地として誘導するとともに、建築物の不燃化を促進し、みどりと潤いのある良好な沿道の街並みを形成します。 4-9 喜多見駅周辺地区(継続) 地区生活拠点の実現に向けて、駅周辺の商業地と良好な住宅地の双方が調和したまちづくりを進めます。 4-10 砧一・三丁目地区(継続) 地区の防災性の向上を図るとともに、安全で快適かつ文化的な住環境及び周辺環境と調和したまちづくりを進めます。 広域避難場所である砧公園・大蔵運動公園一帯への避難経路の確保や歩行者の安全性の向上のため、区画道路や歩行空間の整備を進めます。 4-11 砧三・五丁目世田谷通り沿道地区(継続) 世田谷通りの商店街として、土地の合理的かつ健全な高度利用と広域避難場所への安全な避難路の形成を図るまちづくりを進めます。 4-12 成城一から九丁目地区(移行2) 良好な住環境・自然環境の維持保全を基本とし、みどりとゆとりに包まれた成城らしい街並みを継承したまちづくりを進めます。また、脱炭素化など持続可能なまちづくりに取り組みます。 4-13 成城八丁目地区(継続) より高い水準の住環境を実現するため、みどり豊かで良好な住宅地を保全・形成します。 4-14 祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区(継続) 地域生活拠点の実現に向けて、住宅地と駅周辺及び商店街通りの商業地が調和した暮らしやすいまちづくりと、道路拡幅や交差点改良などにより防災機能を高める安全なまちづくりを進めます。また、駅周辺における建築物の共同化など、まとまった土地利用転換が行われる際には、土地の有効利用を図りつつオープンスペース等の確保による回遊性の向上や、商業・業務等の機能が集積した賑わいの創出を図ります。 商店街通りは、買い物空間の確保や無電柱化などを推進し、歩行者にとって安全で快適な交通環境となるよう整備を進めます。 4-15 祖師谷二丁目地区(移行2) 住宅団地の建て替えにあわせ、地域に必要な道路や公園などの都市基盤の整備を進めるとともに、グリーンインフラ施設の整備や樹木保全、オープンスペースの確保を誘導するなど、地域における利便性や防災性を強化し、隣接する住宅地と調和するみどり豊かなまちづくりを進めます。 4-16 千歳台六丁目地区(継続) 地区内の防災性の向上を図り、安全・安心なまちづくりを進めます。 土地区画整理事業が完了した区域については、土地区画整理事業の効果を維持しつつ、建築物の誘導など良好な住環境のあるまちづくりを進めます。 4-17 千歳船橋駅周辺地区(継続) 地区生活拠点の実現に向けて、駅周辺商店街の活性化を図るとともに、周辺住宅地と調和し、防災機能を備えた活力があり快適に生活できる魅力あるまちづくりを進めます。 4-18 宇奈根地区、大蔵・岡本・鎌田地区、大蔵・喜多見地区、喜多見・成城地区、喜多見地区、喜多見北部地区、成城地区、祖師谷地区、千歳台地区(継続) みどり豊かな住環境を生み出すとともに、農地などの自然環境を保全・育成し、農地と住宅地が共存するまちづくりを進めます。 土地区画整理事業が完了した区域については、土地区画整理事業の効果を維持しつつ、建築物の誘導など良好な住環境のあるまちづくりを進めます。 4-19 宇奈根西部地区、宇奈根東部地区、打越地区、鎌田前耕地地区、喜多見南部地区、喜多見東住宅地区、喜多見宮之原住宅地区、砧五丁目地区、成城四丁目住宅地区、田直地区、千歳台二丁目住宅地区(継続) 地区計画に基づき、土地区画整理事業の効果を維持しつつ、建築物の誘導など良好な住環境のあるまちづくりを進めます。 (なお、PDFファイル版では、ここに砧地域のアクションエリアの地図を掲載しています) 第4章砧地域の内容は以上となります。 最後に、奥づけになります。 発行は、世田谷区 編集は、総合支所 まちづくり課、都市整備政策部 都市計画課 問い合わせ先は、都市計画課 電話番号:03-6432-7174