世田谷区都市整備方針(世田谷区の都市計画に関する基本的な方針) 第二部、地域整備方針、後期 令和7年(2025年)7月 世田谷区 ここからは「第1章 世田谷地域」になります。 第1章 世田谷地域 ローマ数字のT.世田谷地域の概況とまちづくりの主な課題 1.概況 (1)地域のなりたち 本地域は区の東部に位置し、区役所をはじめ税務署・法務局・都税事務所など、官公庁が多く立地しています。 明治40年(1907年)の玉川電車(現在の東急田園都市線)の開通や、大正12年(1923年)の関東大震災に伴う罹災者の移住などにより、市街化の進展に拍車がかかりました。 環状7号線の東側は、大正から昭和にかけて農地が宅地化され、郊外型ベッドタウンのはしりとなった地域であり、古くから宅地化が進んだ密集市街地が広がっています。 西側は一部で農地も見られる住宅地となっていますが、近年は、宅地の細分化や中高層マンションの建設が進んでいます。 世田谷地域の町名は、池尻(ただし四丁目33から39番を除く)、三宿、太子堂、三軒茶屋、若林、世田谷、桜、弦巻、宮坂、桜丘、経堂、下馬、野沢、上馬、駒沢一・二丁目です。 (なお、PDFファイル版では、ここに世田谷地域の位置の地図を掲載しています) この本区全体のなりたちについては、「第一部 都市整備の基本方針」の12ページに、「市街地形成の沿革」として示しています。 (2)地域の姿 古くから宅地化が進んだ密集市街地では、都市基盤が未整備で、老朽化した建築物が多いことなどから、防災性の向上をめざすこととし、市街地の不燃化や災害時の避難路の確保、延焼防止のための道路の整備を進めています。 貴重な資源である農地が減少する傾向にあります。一方、本地域のみどり率は、近年増加傾向にあります。また、地域住民一人当たりの公園面積は、区の平均を下回っています。 三軒茶屋や経堂、松陰神社前など、駅を中心に発達している商店街は、従来から地域のコミュニティ活動ができる場としてもにぎわいを見せています。玉川通り(国道246号)沿いの三宿交差点付近では、個性的な店が集まり、新たなにぎわいを生み出しています。また、三軒茶屋には「優良ホール」に選定された世田谷パブリックシアターがあり、全国から人々が訪れています。 (3)地域の現況等のデータ 区内5地域で、住居系の土地利用面積割合は、北沢地域に次いで高く、また、人口、世帯数及び人口密度が最も高い地域です。 専用住宅の平均宅地面積が最も小さい状況にあります。 不燃化特区における太子堂・若林地区や区役所周辺地区は、不燃領域率が向上しており、延焼による焼失率がほぼゼロなると言われている70パーセントに近づいています。 ●位置・面積・地勢 ・本区の東部に位置し、東側は渋谷区と目黒区に隣接 ・面積は1,232.4ヘクタール、5地域で3位 ・本地域は東に向かって流れる烏山川が形成した広い谷と標高20メートル以上の武蔵野台地からなり、特に地域西部は一段高い、「しもすえよしめん」という地形面に属するため、区内でも最も標高の高い地域の一つとなっている ●人口・世帯 人口(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、252,995人、5地域で1位、平成26年比約15,100人増加 世帯数(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、145,459世帯、5地域で1位、平成26年比約13,900世帯増加 人口密度(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、205人パーヘクタール、5地域で1位、平成26年比12人パーヘクタール増加 平均世帯人員(令和6年1月1日現在の住民基本台帳)、1.74人パー世帯、5地域で4位、平成26年比 0.07人パー世帯減少 人口増減数(推計値)(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、約7,200人増加、推計時点(令和5年)より10年後までの増加人数(見込み) 高齢者の人口割合(令和5年7月の世田谷区将来人口の推計)、19.4パーセント、推計時点(令和5年)より10年後には20.9パーセントの見込み(区平均23.0パーセント) ●土地利用 住居系の割合、55.0パーセント、区平均50.4パーセント、北沢地域に次いで高い、平成23年比1.0ポイント増加 商業系の割合、6.9パーセント、区平均6.2パーセント、平成23年比0.4ポイント減少 公園系の割合、3.1パーセント、区平均5.8パーセント、平成23年比0.1ポイント減少、なお、公園系土地利用は、公園のほか運動場など民間施設を含む ●地域資源 せたがや百景は、ボロ市と代官屋敷、松陰神社と若林公園、世田谷線(玉電)が走る など18箇所 地域風景資産は、双子の給水塔の聳え立つ風景、池尻稲荷神社を中心とする旧大山道、三宿の森緑地 など19箇所 上記のほか、西澄寺、大吉寺、旧林愛作邸、烏山川緑道、蛇崩川緑道、大山道、瀧坂道 など多くの地域資源がある ●建築物・宅地・防災・みどり・道路 ●建築物 棟数密度、51.1棟パーヘクタール、区平均45.9棟パーヘクタール、平成23年比 1.2棟パーヘクタール増加 3階建て専用住宅棟数、9,745棟、平成23年比3,090棟増加 利用建ぺい率、51.6パーセント、区平均47.7パーセント、5地域で最も高い、平成23年比 1.4ポイント増加 利用容積率、162.0パーセント、区平均136.6パーセント、5地域で最も高い、平成23年比 12.6ポイント増加 ●宅地 平均宅地面積、205.6平方メートル、区平均230.9平方メートル、平成23年比 6.8平方メートル減少 専用住宅の平均宅地面積、123.6平方メートル、区平均143.6平方メートル、5地域で最も小さい、平成23年比 12.2平方メートル減少 専用住宅の100平方メートル未満の敷地数、14,775敷地、平成23年比22.1パーセント増加 ●防災 耐火率67.7パーセント、区平均64.3パーセント、平成23年比5.7ポイント増加 不燃領域率69.1パーセント、区平均67.8パーセント、平成23年比4.3ポイント増加 木防建ぺい率、16.7パーセント、区平均17.1パーセント、平成23年比 2.4ポイント減少 旧耐震木造棟数密度、8.5棟パーヘクタール、区平均6.4棟パーヘクタール、平成23年比3.6棟パーヘクタール減少 ●みどり みどり率、17.6パーセント、区平均24.4パーセント、平成23年比 0.9ポイント増加 地域住民一人当たりの公園面積(令和6年4月1日現在の世田谷区都市公園等調書)、1.22平方メートルパー人、区平均2.94平方メートルパー人、平成26年比0.04平方メートルパー人減少 生産緑地面積、3.9ヘクタール、平成23年比1.1ヘクタール減少 ●道路 道路率、18.2パーセント、区平均17.3パーセント、5地域で最も高い、平成23年比0.1ポイント増加 細街路率、35.9パーセント、区平均31.9パーセント、平成23年比3.1ポイント減少 都市計画道路の整備率(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、62.2パーセント、区平均50.8パーセント 主要生活道路の整備率(令和6年4月の世田谷区道路整備白書)、45.4パーセント、区平均38.3パーセント なお、その他の出典は、世田谷の土地利用2021と、世田谷区土地利用現況調査になります。 平成26年比は、平成26年(2014年)から令和6年(2024年)の10年間の変化 平成23年比は、平成23年(2011年)から令和3年(2021年)の10年間の変化 なお、元の値がパーセントで表現している値の変化量は「ポイント」と表現をしています 2.まちづくりの主な課題  「都市整備の基本方針」における世田谷区をとりまく状況や、前項の概況などを踏まえ、本地域のまちづくりの主な課題を、5つのテーマに沿って示します。 (1)テーマT「安全で災害に強いまちをつくる」に関すること 密集市街地や延焼遮断帯となる都市計画道路及び公園のほか、延焼遅延帯となる主要生活道路等が未整備な地区が多いことなど、道路の整備や沿道の不燃化が課題となっています。 道路や公園などの都市基盤施設が十分に整備されないまま、高密度に市街化が進んでいる地区があり、防災上課題となっています。 広域避難場所周辺の不燃化・耐震化及び避難路の整備が課題となっています。 局所的集中豪雨の増加に伴い、更なる対応が求められています。 (2)テーマU「みどり豊かで住みやすいまちをつくる」に関すること 地域住民一人当たりの公園面積が少なく、区の平均を下回っているため、公園の整備が求められています。 まとまったみどりが比較的少なく、樹林地や農地などのみどりの保全・創出が課題となっています。 専用住宅の平均宅地面積は減少傾向にあり、宅地の細分化、低層住宅と中高層住宅の混在が課題となっています。 (3)テーマV「活動・交流の拠点をもつまちをつくる」に関すること 広域生活・文化拠点である三軒茶屋駅周辺地区や地域生活拠点である経堂駅周辺地区、区役所周辺地区においては、にぎわいや活気の維持・誘導、まちの魅力や安全性の向上が課題となっています。 地域生活拠点である経堂駅周辺地区、区役所周辺地区をはじめ、区民の身近な活動・交流の場となるような拠点については、機能の充実や特性を活かした拠点づくりが課題となっています。 地域のコミュニティ活動などへの参加者が減少傾向にあり、地域の活性化が課題となっています。 (4)テーマW「地域資源の魅力を高めるまちをつくる」に関すること ボロ市と代官屋敷や松陰神社、世田谷城阯、大山道、瀧坂道などの歴史的資産や、屋敷林、社寺林、緑道などの自然資源が点在しており、地域資源としての魅力を活用するまちづくりが望まれています。 拠点のにぎわいのある界わいや魅力ある街並み、地域風景資産などを地域資源として活用することが望まれています。 まちの個性を活かした新たな地域資源の創出が求められています。 大規模な土地利用転換が想定される地区では、地域の特性を踏まえた適切な土地利用の誘導が求められています。 (5)テーマX「誰もが快適に移動できるまちをつくる」に関すること 都市計画道路や主要生活道路の整備が遅れていることから、住宅地内の生活道路に通過交通が流入していることが課題となっています。 密集市街地をはじめとした、幅員6メートル以上の道路及び狭あい道路の整備が不十分な地区があり、整備が求められています。 快適に移動できる歩行環境や自転車利用環境及び交通安全対策の更なる取組みが望まれています。 ローマ数字のU.世田谷地域の目標、骨格と土地利用の方針         1.目標・地域のまちの姿 「世田谷区地域行政推進計画」の世田谷地域経営方針における、本地域のまちの将来像を以下に示します。 世田谷の歴史と文化を大切にし、交流とにぎわい、活力のあるまち 安心して豊かな気持ちで暮らせるまち 災害に強く安全で、いつまでも住み続けたいまち これらのまちの将来像を踏まえ、「都市整備の基本方針」の都市づくりビジョン、前項のまちづくりの主な課題などに基づきつつ、概ね10年後(2035年)を見据えた本地域のまちの姿を、以下のとおり5つのテーマに沿って設定します。 地域のまちの姿 建築物の不燃化・耐震化が進み、道路や公園などが整備された、防災性が高く災害に強い安全で安心なまち みどりを保全・創出し、良好な住環境が維持された、快適に暮らせるまち 各拠点の特性を活かした、誰もが交流でき利用しやすい、にぎわいと活力のあるまち 歴史的資産や文化・自然・知的資源を活かし育む魅力あふれるまち 交通ネットワークや生活道路などの交通環境の整備が進み、誰もが安心して安全で快適に移動できるまち 2.地域の骨格と土地利用の方針 (1)地域の骨格プラン  「都市整備の基本方針」における都市づくりの骨格プランと、地域のまちの姿に基づき、本地域の基本的骨組みを示します。 三軒茶屋駅周辺地区は、交通の要衝に位置するとともに、キャロットタワーが本区の文化や観光の発信地であり、商業・サービス、業務、文化などの機能が充実し、多くの人でにぎわう本区を越えた広域的な交流の場として「広域生活・文化拠点」と位置づけています。 経堂駅周辺地区は、地域内での小田急線沿線住民の生活において中心的な役割を果たすことから、区民の日常生活に必要な商業・行政サービス等が集積し、活気とにぎわいあふれるまちづくりを進め、地域の「核」となる区民の身近な交流の場として「地域生活拠点」と位置づけています。 区役所周辺地区は、住宅地と業務・商業・文化施設等が共存し、文教的な土地利用を誘導するまちづくりを進め、地域の「核」となる区民の身近な文化・交流の場として「地域生活拠点」と位置づけています。あわせて、区役所が地域の防災機能を担っていることを踏まえ、「災害対策拠点」にも位置づけています。 豪徳寺駅・山下駅などの各周辺地区は、区民の日常生活に必要な商業・業務機能が集積した、地区の交流の場として、「地区生活拠点」と位置づけています。 沿道において生活利便施設の立地を誘導する世田谷通り(補助51号線)とその沿道などを「主要生活交通軸」と位置づけています。 拠点や軸等と位置づける場所は、次の通りです。 生活拠点の広域生活・文化拠点は、三軒茶屋駅周辺地区 生活拠点の地域生活拠点は、経堂駅周辺地区、区役所周辺地区 生活拠点の地区生活拠点は、豪徳寺駅・山下駅、千歳船橋駅、松陰神社前駅、上町駅・世田谷駅、池尻大橋駅、駒沢大学駅の各周辺地区 新たな機能を持つ拠点等の災害対策拠点は、区役所周辺地区 都市軸の都市活力と交通の軸は、環状7号線、環状8号線、玉川通り(国道246号)の各道路とその沿道 都市軸の主要生活交通軸は、茶沢通り(補助210号線)、補助154号線、世田谷通り(補助51号線)の各道路とその沿道 みどりの拠点及び水と緑の風景軸のみどりの拠点は、三宿の森緑地一帯、世田谷公園一帯、下馬中央公園・学芸大学付属高校、駒沢オリンピック公園、区役所一帯、馬事公苑・東京農業大学一帯、桜丘すみれば自然庭園一帯 (2)地域の土地利用の方針  9つの区分のうち、該当する8つの区分の土地利用ごとの方針を示すとともに、方針図でその位置を概略で示します。なお、大規模な土地利用転換の際は、都市基盤整備を進めるとともに、地区の特性や周辺住宅地と調和した土地利用を誘導します。 @駅周辺商業地区 三軒茶屋駅の周辺地区は、本区を越えた広域的な交流の場として、商業・業務・文化などの機能が充実するよう土地利用を誘導します。 経堂駅の周辺地区は、区民の日常生活に関わる商業、業務機能が集積し、区民の身近な交流の場となるよう土地利用を誘導します。 駒沢大学駅、豪徳寺駅・山下駅、千歳船橋駅の各周辺地区は、区民の日常生活における商業等の機能が集積するよう土地利用を誘導します。 A近隣商店街地区 住宅地等の中にある商店街は、それぞれの特徴を活かし、周囲の住宅地との調和を図りつつ、身近な商業地としての土地利用を誘導します。 B幹線沿道地区 環状7号線、環状8号線、玉川通り(国道246号)の沿道は、主として事務所・店舗・サービス施設等が立地する地区として、後背の住宅地環境と調和を図りつつ、都市の活力を生み出す場として育むとともに、基幹的な避難路、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 C地区幹線沿道地区 補助26号線、世田谷通り(補助51号線)、補助52号線、補助128号線、補助154号線、茶沢通り(補助210号線)などの沿道は、後背の住環境と調和を図りつつ、住宅と店舗などが共存するとともに、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 D低層住宅地区 戸建て住宅や低層の集合住宅からなる良好な住環境を維持します。 E住宅地区 地域特性に応じた住環境の保全や改善、住宅相互の調和を図りつつ、生活利便施設などが適切に配置された土地利用を誘導します。 F住商複合地区 区役所周辺の住商複合地区は、住宅と業務・商業施設等が共存する土地利用を誘導するとともに、低中層住宅と中高層住宅との調和を図り、市街地の住環境を保全します。 G準工業地区 池尻、経堂、弦巻の準工業地区は、生産環境の維持・保全とともに、周辺の住環境との調和を図ります。 (なお、PDFファイル版では、ここに世田谷地域の骨格と土地利用の方針図を掲載しています) ローマ数字のV.世田谷地域のテーマ別の方針                 まちづくりの主な課題を解決するとともに、地域のまちの姿を実現するため、5つのテーマからなる「地域のテーマ別の方針」を示します。  地域の特性や課題などを踏まえ、主要なテーマを中心に記載します。方針図は、テーマTからXの重ね合わせで示します。 1.テーマT 安全で災害に強いまちをつくる ●延焼遮断帯や延焼遅延帯の整備を進める 延焼遮断帯を構成する都市計画道路の整備にあわせ、沿道の不燃化を進めます。 ミニ防災生活圏の形成を図るため、延焼遅延帯の整備を促進します。 ●防災生活圏内の安全性を向上させる 防災生活圏内では、建築物の不燃化や耐震化、地先道路の整備、無電柱化の推進、ブロック塀等の生垣化等による安全対策、消防水利の整備などにより、地区の防災性の向上を図ります。 区役所周辺地区などの密集市街地では、地区計画制度や補助事業等を活用し、建築物の不燃化や耐震化、道路や公園の整備、行き止まり路の解消など、総合的な防災まちづくりを進めます。 ●避難時の安全性を向上させる 国士舘大学一帯などの広域避難場所等への避難路の安全性向上や防災拠点、緊急輸送道路の機能確保を目的として、周辺の建築物の不燃化・耐震化を進めるとともに、安全で安心できる避難場所の形成を図ります。 ●復興に備える 防災・減災対策を第一に取り組むとともに、被災後の復興まちづくりを円滑に進めていくために、平時から人と人とのつながりを大事にしながら復興手順や役割分担の整理を図ります。被災後は本方針や地区計画等を踏まえて早期の復興まちづくりに取り組みます。 ●災害時の拠点機能を強化する 区役所が災害対策拠点であることを踏まえ、防災や減災の観点に加え、人や物資の流れが円滑になるよう配慮し、災害に強い拠点を形成します。 ●水害を抑制する 浸水被害を軽減するため、グリーンインフラの観点も踏まえた雨水流出抑制施設の設置を進めます。 ●日常の安全・安心を確保する 建築物の建て替えの機会を捉え、効率的・効果的な狭あい道路の拡幅整備を進め、日常の安全・安心なまちづくりを進めます。 2.テーマU みどり豊かで住みやすいまちをつくる ●みどりとみずを守り育てる 脱炭素地域づくりにもつながる公共公益施設や生産緑地地区、民有地の多様なみどりを保全・創出し、これらの水循環を支えるみどりの基盤をしっかりと守り、良好な市街地環境の形成を図り、グリーンインフラとして活用します。 三軒茶屋駅周辺では、公園の活用に関するマネジメントを検討し、公園と隣接する施設や公共的空間との連携による魅力あるまちづくりを進めます。 ●地区特性に応じたみどり豊かな住宅地を形成する みどり豊かで良好な住環境を維持・保全するため、敷地内の緑化や敷地面積の最低限度をはじめ、地区特性に応じたまちづくりに関するルールづくりを進めます。 大規模敷地の建て替えでは、都市基盤整備や公園・公開空地の整備、緑化などを誘導します。 屋敷林、社寺林、農地などの多様な生きものが生息・生育する場の保全とともに、生きものに配慮した場を創出し、区民や事業者及び関連団体等との協働によるみどり豊かなまちづくりを進めます。 ●住みやすいまちをつくる 複数のまちづくりが連続して行われる区域において、必要が生じた場合は、統一的なまちづくりの方針を示し区域全体の融合を図ります。 3.テーマV 活動・交流の拠点をもつまちをつくる ●特性に応じた拠点の魅力を高める 広域生活・文化拠点である三軒茶屋駅周辺地区や地域生活拠点である経堂駅周辺地区、区役所周辺地区は、拠点ごとの特性に応じて、様々な機能を充実させるとともに、歴史や文化、街並み等、まちの資源の活用などにより地域の魅力を高めます。 松陰神社前駅周辺地区や上町駅・世田谷駅周辺地区などの地区生活拠点や商店街は、区民の日常生活に必要な環境を確保するとともに、地域のコミュニティ活動ができる場としての機能を誘導します。 ふれあい広場をはじめとする人々が集う公園・緑地・公共的空間などの活用により、地域のコミュニティ活動ができる拠点づくりを進めます。 4.テーマW 地域資源の魅力を高めるまちをつくる ●自然資源や歴史的資産、風景資産を活かし、まちの魅力を高める 良好な風景を形成する屋敷林や社寺林、都市の貴重な資源である緑道や農地など、日常生活に身近な自然資源の魅力を区民と共有し、大切にします。 世田谷のボロ市などの文化財や世田谷代官屋敷などの史跡、大山道などの古道のほか、地域に点在する歴史的資産を活かし、まちの魅力を高めます。 拠点周辺のにぎわいのある界わいや街並みなどを活かし、誰もが訪れたくなる魅力的なまちづくりを進めます。 大規模な土地利用転換等が想定される地区においては、地域の特性を踏まえて歴史的資産などの保全・活用を図り、周辺と調和した適切な土地利用を誘導します。 ●新たな地域資源を創出する まちの魅力や特性を活かしたルールづくりや、地域の知的資源の活用などにより、新たな地域資源の創出を図ります。 ●地域資源をPRし、愛着を高める 自然・歴史・風景・にぎわいなど、地域の資源を発信し、区民の活動を支援することなどにより、地域への愛着を高めます。 5.テーマX 誰もが快適に移動できるまちをつくる ●地先道路の整ったまちをつくる 幹線道路、地区幹線道路と主要生活道路で囲まれた地区ごとに、まちづくりのなかで地先道路の適切な配置を検討し、整備を進めることにより、地区の安全性と快適性、防災性を向上させます。 ●誰もが安全・快適に利用できる交通基盤とする 道路整備や駅周辺の拠点整備などでは、歩行環境、自転車利用環境などを整え、誰もが安全で快適に移動できる環境の整備に取り組みます。 世田谷区役所周辺地区では、「世田谷区移動等円滑化促進方針(令和5年6月)」における「促進地区」として、駅や官公庁施設、福祉施設、商業施設など高齢者、障害者等が日常生活において利用する施設・経路の移動等の円滑化を促進します。 新たなモビリティの普及やアイシーティーの活用による、交通手段の多様化をめざします。 ●歩いて楽しめる魅力づくりを進める 座れる場づくりの推進により、安全で安心な歩行者ネットワークを形成するなど、人中心の歩いて楽しいまちづくりを進めます。 (なお、PDFファイル版では、ここに世田谷地域のテーマ別の方針図を掲載しています) ローマ数字のW.世田谷地域のアクションエリアの方針  地域のまちの姿を実現するため、今後、概ね10年間にわたりまちづくりを優先的に進める地区と、その方針を示します。(地区の並びは50音順) 1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区(一部、地区計画や地区まちづくり計画などが策定されている地区を含む) なお、地区名の後の「新規」「継続」「移行1」「移行2」の意味は、次の通りです。 「新規」は、本方針において、新たにアクションエリアに位置づける地区 「継続」は、「地域整備方針(平成27年4月)」に引き続き、「1」または「2」のアクションエリアを継続する地区 「移行1」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「2」といいます。)である地区のうち、新たな手法を活用するなど、更なるまちづくりの検討を行うため、本方針において、「1.地区計画などを策定し、まちづくりを進めていく地区」(本注釈において、「1」といいます。)に移行する地区 「移行2」は、「地域整備方針(平成27年4月)」において、「1」である地区のうち、地区計画などを策定したため、本方針において、「2」に移行する地区 1-1 経堂駅周辺地区(継続) 駅周辺における交通結節機能の強化、防災性の向上及び魅力的な商業環境の育成、環境にやさしいまちの形成を図り、地域生活拠点として活気やにぎわいを維持、発展させるとともに、市街地環境の動向にあわせ、駅前広場の機能の確保等、地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 周辺住宅地の不燃化を図ることにより、防災性の向上を図ります。 1-2 駒沢一丁目1番地区(新規) 土地利用転換の際は、歴史的資産の保全・活用を図るためのオープンスペースの確保など、地域の特性を踏まえて、高度利用を図りつつ周辺と調和した適切な土地利用を誘導します。 みどり豊かで環境にも配慮した健全で安全な住宅地を形成するため、地区計画などを策定しまちづくりを進めます。 1-3 三軒茶屋一丁目地区(新規) 三軒茶屋駅周辺地区とあわせて、にぎわいの創出や利便性の向上を図り、住宅地との調和に配慮したまちづくりに取り組みます。 良好な住環境の保全や安全で災害に強いまちを形成するため、地区計画などを策定し、まちづくりを進めます。 1-4 三軒茶屋駅周辺地区(継続) 「三茶のミライ(三軒茶屋駅周辺まちづくり基本計画)(令和4年3月)」に基づき、三軒茶屋の歴史と個性を継承・強化し、まちの滞在性・回遊性・防災性を向上するため、区民・事業者との連携・協働によるソフトとハードが一体となったまちづくりを進めます。 地区の拠点性を活かし、文化・産業・行政機能の計画的な更新・配置・機能集積や、地区の回遊性を高める歩行空間・地下空間の充実など「三茶のミライ」に掲げるまちの空間の実現を図ります。 三軒茶屋駅付近においては、市街地再開発事業の事業者等との連携により、老朽木造建築物の更新による防災性の向上及び広場空間の形成によるにぎわいの創出や南北移動の円滑化などを誘導し「三茶のミライ」の具体化に向けて取り組みます。 2.既に策定された地区計画などに基づき、まちづくりを進めていく地区 1-5 旭小学校周辺地区(継続) みどり豊かで環境にも配慮した健全で安全な市街地を形成するため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 1-6 池尻三丁目西地区(継続) 生活利便性に富み、みどり豊かで良好な住環境の形成及び防災性に優れた安全で安心できる都市環境の形成を図るため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 1-7 池尻四丁目・三宿二丁目地区(移行2) 建築物の不燃化の促進などにより、防災性の向上を図るとともに、良好な住環境の保全を図るため、地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 1-8 上馬二丁目地区(継続) 居住環境の悪化を防止し、緑化を推進し、落ち着きのある街並みを創出するため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 1-9 環七沿道地区(継続) 後背地の住環境保全と延焼遮断帯の形成のため、沿道地区計画に基づきまちづくりを進めます。 1-10 環八沿道地区(継続) 沿道地区計画に基づき、後背地の住宅地との調和を図りながら商業・業務地として誘導するとともに、建築物の不燃化を促進し、みどりと潤いのある良好な沿道の街並みを形成します。 1-11 経堂駅東地区(継続) 住宅と商業・業務の調和のとれた活力ある健全な市街地環境の形成を図るため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 1-12 経堂農大通り沿道地区(継続) 安全で快適な買い物空間を形成し、良好で活力ある商業環境を適切に誘導するため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 1-13 区役所周辺地区(継続) 地区内の広域避難場所周辺を災害に強い市街地として誘導するとともに、みどり豊かで暮らしやすい住環境を保全・創出するため、防災街区整備地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 公共施設や大規模な建築物の建設及び道路などの改修の際には、意匠やユニバーサルデザインなどについて、これまでの「やさしいまちづくり」を継承するとともに、区役所周辺については施設の特性を活かした活気のある全区的な文化・交流拠点として、一体感を持つまちづくりを進めます。 1-14 豪徳寺駅周辺地区(継続) 地区生活拠点として、身近な商店街のにぎわいを維持、発展するとともに、良好な住環境の保全を図るため、地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 1-15 桜丘区民センター周辺地区(継続) 空間的なゆとりがある低層戸建て住宅と集合住宅などが調和した快適な住環境の維持・保全を図ります。 1-16 桜丘二丁目西地区(継続) 良好な住環境づくりと商店街の活性化を図るため、地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。また、区民まちづくり協定の周知により良好な住環境の実現を図ります。 1-17 世田谷二丁目千種住宅地区(継続) みどり豊かなゆとりと潤いのある住宅地として、良好な住環境の維持・保全を図るため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 1-18 太子堂二・三丁目地区(継続) いつまでも住み続けられる災害に強い市街地の形成を図るため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 広域避難場所周辺の不燃化を進め、安全性の向上を図ります。 1-19 太子堂四丁目地区(継続) 安全で住みやすく快適なまちを実現するため、地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 1-20 太子堂五丁目・若林二丁目地区(移行2) 良好な住環境の保全を図るため、地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 1-21 千歳船橋駅周辺地区(継続) 地区生活拠点の実現に向けて、駅周辺商店街の活性化を図るとともに、周辺住宅地との調和を図りながら、活力があり快適に生活できる魅力あるまちづくりを進めます。 1-22 都営下馬アパート周辺地区(移行2) みどり豊かでゆとりある良好な住環境の形成及び、健全な商業市街地の形成を図るため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 広域避難場所周辺の不燃化を進め、安全性の向上を図ります。 1-23 補助52号線沿道若林・梅丘・豪徳寺・宮坂地区(移行2) 都市計画道路の整備にあわせ、沿道の建築物の不燃化や土地利用の誘導、周辺の住環境との調和のため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 1-24 三宿一丁目地区(継続) 住み続けることができる安全で快適な住環境をもつ市街地への誘導及び形成を図るため、地区計画及び地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 密集市街地である地区内の防災性向上のため、防災まちづくりの事業や規制誘導の制度を活用し、建築物の不燃化を進めるとともに、道路や公園の整備を進めます。 広域避難場所周辺の不燃化を進め、安全性の向上を図ります。 1-25 若林一丁目地区(継続) 防災性の向上、住環境の改善を図り、安全・安心に住み続けられるみどり豊かな街を実現するため、地区まちづくり計画に基づきまちづくりを進めます。 (なお、PDFファイル版では、ここに世田谷地域のアクションエリアの地図を掲載しています) 第1章世田谷地域の内容は以上となります。 最後に、奥づけになります。 発行は、世田谷区 編集は、総合支所 まちづくり課、都市整備政策部 都市計画課 問い合わせ先は、都市計画課 電話番号:03-6432-7174