世田谷区都市整備方針(世田谷区の都市計画に関する基本的な方針) 第二部、地域整備方針、後期 令和7年(2025年)7月 世田谷区 最初に、「もくじ構成」になります。 はじめに 地域整備方針(後期)策定の考え方 ローマ数字のT.見直しの考え方 ローマ数字のU.計画期間と次期改定に向けて 序章 地域整備方針(後期)の位置づけと構成 ローマ数字のT.地域整備方針(後期)の位置づけ ローマ数字のU.地域整備方針(後期)の目的と役割など 第1章 世田谷地域 ローマ数字のT.世田谷地域の概況とまちづくりの主な課題 ローマ数字のU.世田谷地域の目標、骨格と土地利用の方針 ローマ数字のV.世田谷地域のテーマ別の方針 ローマ数字のW.世田谷地域のアクションエリアの方針 第2章 北沢地域 ローマ数字のT.北沢地域の概況とまちづくりの主な課題 ローマ数字のU.北沢地域の目標、骨格と土地利用の方針 ローマ数字のV.北沢地域のテーマ別の方針 ローマ数字のW.北沢地域のアクションエリアの方針 第3章 玉川地域 ローマ数字のT.玉川地域の概況とまちづくりの主な課題 ローマ数字のU.玉川地域の目標、骨格と土地利用の方針 ローマ数字のV.玉川地域のテーマ別の方針 ローマ数字のW.玉川地域のアクションエリアの方針 第4章 砧地域 ローマ数字のT.砧地域の概況とまちづくりの主な課題 ローマ数字のU.砧地域の目標、骨格と土地利用の方針 ローマ数字のV.砧地域のテーマ別の方針 ローマ数字のW.砧地域のアクションエリアの方針 第5章 烏山地域 ローマ数字のT.烏山地域の概況とまちづくりの主な課題 ローマ数字のU.烏山地域の目標、骨格と土地利用の方針 ローマ数字のV.烏山地域のテーマ別の方針 ローマ数字のW.烏山地域のアクションエリアの方針 終章 区民主体の身近なまちづくりを進めるために ローマ数字のT.地域のまちづくりにおける都市整備方針の位置づけ ローマ数字のU.区民主体の身近なまちづくりの実現に向けて アクションエリアの総括図 地域整備方針(後期)と都市整備の基本方針との関係性 資料編 ローマ数字のT.検討経緯 ローマ数字のU.用語解説  もくじ構成は、以上になります。 ここからは、「はじめに」の章になります。 はじめに「地域整備方針(後期)策定の考え方」 ローマ数字のT.見直しの考え方 1.第一部「都市整備の基本方針」の見直しの考え方 計画期間は、平成25年(2013年)9月に策定した「世田谷区基本構想」に即し、平成26年度(2014年度)から概ね20年間としています。 平成26年(2014年)4月に策定した『第一部「都市整備の基本方針」』(なお、これ以降は「都市整備の基本方針」と省略して表現します。)の13ページに示す6つの「世田谷区をとりまく状況」に加え、対応が求められる「新たなとりまく状況」について考え方を整理し、区の行政全般に係る基本的事項として、まちづくりを進めるに当たり十分に考慮していきます。 「世田谷区をとりまく状況」については、今後10年間の社会情勢や他自治体の事例等により研究を深めながら、概ね10年後に全面改定する「都市整備の基本方針」において、改めてまちづくりとの関連性を整理し、施策展開へ反映していきます。 さらに、『第二部「地域整備方針(後期)」』(なお、これ以降は「地域整備方針(後期)」と省略して表現します。)の策定に当たり時点修正を行ったことにより、「都市整備の基本方針」と異なることとなった事項は「地域整備方針(後期)」を優先するものとして、「地域整備方針(後期)と都市整備の基本方針との関係性」において列挙します。 2.第二部「地域整備方針」の見直しの考え方と主な視点 平成27年(2015年)4月に策定した『第二部「地域整備方針」』(なお、これ以降は「地域整備方針」と省略して表現します。)は、策定後、概ね10年を経過し、これまでの区の取組み状況等を踏まえ、「地域のアクションエリアの方針」を中心に見直します。 「地域整備方針」の見直しに当たっては、次に示す4つの点を考慮します。 (1)上位計画等との整合や分野別整備方針・計画の反映 (2)世田谷区をとりまく状況等とその対応を整理 (3)これまでの取組み状況や事業等の進捗状況を踏まえた検討 (4)各地域の区民意見の把握 区をとりまく「まちづくりに係る新たな要素」について、各地域のまちづくりに密接に関わる主なものは、地域特性を踏まえ、「地域整備方針(後期)」の「地域のテーマ別の方針」や「地域のアクションエリアの方針」に、適宜反映します。 (1)上位計画等との整合や分野別整備方針・計画の反映 令和6年(2024年)3月に策定した「世田谷区基本計画」の基本方針及び重点政策、分野別政策、実施計画との整合を図ります。 令和6年(2024年)3月に策定した「世田谷区地域行政推進計画」と、「世田谷区都市整備方針(平成27年4月)」(なお、これ以降は「都市整備方針」と省略して表現します。)における地域のまちづくりとの整合を図るため、「地域整備方針(後期)」の「終章」において、関係性を整理します。 「都市整備方針」の策定以降に策定・改定した分野別整備方針・計画等について、適宜、必要な反映を図ります。  なお、各地域の「地域の骨格と土地利用の方針」及び「地域のテーマ別の方針図」における「みどりの拠点」については、平成30年(2018年)3月に策定した「世田谷区みどりの基本計画」の位置づけを反映し、時点修正を行います。 主な分野別整備方針・計画の策定・改定状況は、次の通りです。 世田谷区防災まちづくり基本方針(平成28年3月) 世田谷区耐震改修促進計画(令和3年4月) 世田谷区豪雨対策基本方針(平成28年3月) 世田谷区豪雨対策行動計画(改定)(令和4年3月) 世田谷区みどりの基本計画(平成30年3月) 世田谷区第四次住宅整備方針(令和3年6月) 風景づくり計画(平成27年4月) せたがや道づくりプラン(平成28年3月見直し) 世田谷区地域公共交通計画(令和7年4月) 世田谷区自転車活用推進計画及び自転車等の利用に関する総合計画(令和3年7月) 世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画(第3期)(令和7年3月) 世田谷区がけ・擁壁等防災対策方針(平成28年10月) 生きものつながる世田谷プラン(平成29年3月) (2)世田谷区をとりまく状況等とその対応を整理  「都市整備の基本方針」の策定から概ね10年が経過した中、「都市整備の基本方針」の13ページに示す6つの「世田谷区をとりまく状況」をもとに、さらに対応が求められる「新たなとりまく状況」を含め、「世田谷区をとりまく状況とその対応」及び「まちづくりに係る新たな要素への対応」として整理します。 @世田谷区をとりまく状況とその対応  「世田谷区をとりまく状況」に加え、この間の社会情勢の変化などにより、対応が求められる「新たなとりまく状況」について考え方を整理し、区の行政全般に係る基本的事項として、まちづくりを進めるに当たり十分に考慮していきます。  なお、今後10年間の社会情勢や他自治体の事例等により研究を深めながら、概ね10年後に全面改定する「都市整備の基本方針」において、改めてまちづくりとの関連性を整理し、施策展開へ反映していきます。 少子高齢化・人口減少時代への突入 「都市整備の基本方針」策定時の「世田谷区将来人口の推計(平成26年2月)」における人口は、今後概ね10年間は増加し、その後も増加傾向が続くと見込んでいました。推計期間中の年少人口は増加傾向にあり少子化は進まないものの、その後減少傾向に転じると見込んでいた中、実際にも総人口は概ね増加傾向が続くとともに、年少人口は令和3年度(2021年度)まで増加傾向が続き、それ以降減少に転じました。 令和5年(2023年)7月に取りまとめた「世田谷区将来人口推計」における人口は、令和24年(2042年)をピークに減少に転じ、年少人口は今後10年間で減少傾向、高齢者人口は増加傾向としており、少子高齢化・人口減少時代への対応の重要性がますます高まっています。 区では、これまでまちづくりの観点から、「世田谷区基本構想」に基づき、より住みやすく歩いて楽しいまちづくり(いわゆる、「ウォーカブル」)を進めているほか、すべての人にやさしいユニバーサルデザインの考え方に基づくまちづくりに取り組んできました。また、ひとり親の子育て世帯への支援等を進めるなど、引き続き、少子高齢化・人口減少時代に対応した取組みを進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに将来人口推計における人口構造の変化の図を掲載しています) 安全・安心への関心の高まり 「都市整備の基本方針」策定時の「世田谷区民意識調査」においては、今後本区が積極的に取り組むべき事業として、「災害に強いまちづくり」や「防犯・地域安全の対策」が上位を占めていました。 令和6年(2024年)5月に実施した「世田谷区民意識調査」においても10年前と同様、「災害に強いまちづくり」や「防犯・地域安全の対策」が上位を占めており、区民アンケート調査(令和5年度実施)においても安全・安心への関心は、引き続き高い状況にあります。 区では、災害に強いまちづくりについて、震災時に火災などの危険性が高い区域を指定し、防火性の高い建築物を誘導していく新たな防火規制区域の指定や、延焼による焼失がほぼゼロの「燃え広がらない・燃えないまち」を実現するための不燃化特区制度を導入するほか、耐震診断や耐震改修等の支援による建築物の耐震化の促進に向けた取組みを進めてきました。 建築物の不燃化や平成12年(2000年)以前に建てられた新耐震基準の木造住宅建築物も含めた耐震化を促進するなど、引き続き、安全・安心な暮らしの確保に向けた取組みを進めていきます。 さらに、令和4年(2022年)12月に「世田谷区都市復興プログラム」を改定するとともに、継続して復興まちづくりに関する実践訓練を実施しています。事前復興まちづくりについても理解を促進するため、専門家による区民向け講演会の実施や区民参加の実践訓練を行うなど、引き続き、被災後の早期復興をめざした環境整備に取り組んでいきます。 防犯・地域安全の対策については、車道と歩行空間の分離や夜間照明の確保、防犯効果を高める見通しの良い公園づくりなど、まちの防犯に配慮した道路や公園の整備、防犯カメラの整備支援や防犯パトロール団体への支援など、区民の安全・安心な暮らしの確保に向けた取組みを進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに区民意識調査結果の推移の図を掲載しています) 地球環境問題への関心の高まり 「都市整備の基本方針」策定時は、国や東京都における温室効果ガス排出規制の強化や、生物多様性に関する新たな国家戦略の推進など、地球環境問題への関心が高まりをみせていました。区では、平成22年(2010年)5月に「世田谷区環境基本計画」を策定し、本区がめざすべき環境像を明らかにしたほか、平成29年(2017年)3月には「生きものつながる世田谷プラン」を策定し、生物多様性の恵みが将来に受け継がれ、人々がその豊かさを実感し大切にしている街をめざすこととしました。 また、その実現に向けたまちづくりの取組みとして、みどりとみずの保全・創出、住まいにおける再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化のほか、公共交通や徒歩・自転車利用の促進などを進め、環境と共生した「低炭素都市づくり」への対応を進めてきました。 近年では、夏の猛暑や巨大化した台風、線状降水帯に伴う集中豪雨など、観測記録を更新するような異常気象がたびたび発生し、河川氾濫や都市型水害などによりインフラ等にも影響を及ぼしており、これまで以上に気候変動に伴う自然災害リスクが高まり、人々が生存するための都市基盤が揺るがされています。区においても令和元年(2019年)の台風19号による浸水被害など、風水害の甚大な被害が発生しています。 区では、こうした気候危機の状況を区民、事業者とともに考え行動するため、令和2年(2020年)に行った「気候非常事態宣言」において令和32年(2050年)までに二酸化炭素排出量実質ゼロを宣言しました。さらに、令和5年(2023年)に策定した「世田谷区地球温暖化対策地域推進計画」において、令和12年度(2030年度)の温室効果ガス排出量削減目標として、国や東京都を上回る平成25年度(2013年度)比57.1パーセント削減を掲げ、この実現に向けて、環境分野のみならず、区役所の率先行動、都市整備分野、廃棄物分野、産業分野などあらゆる分野で気候変動対策を推進していきます。 都市整備分野では、広く国や都、区の取組みとして、多摩川の二子玉川地区堤防整備や、谷沢川流域の浸水被害を防ぐための分水路整備、雨水流出抑制施設の設置などの水害対策を進めています。また、路面温度の上昇を抑制する遮熱性舗装、建物の屋上緑化や緑陰の確保などの暑熱対策などのほか、多様な生きものが生息・生育できるみどりの保全など生物多様性を保全する取組みを進めていきます。 都市の成熟化・意識の多様化 「都市整備の基本方針」策定時は、全国的に都市化の進行が落ち着きを示し、地方都市においては集約型都市への再編の動きが見られ、都心周辺区などでは農地の宅地化が続いていました。区においては、依然として農地の宅地化が進みつつも都市農地の活用などの取組みを進めてきました。 個人の意識や価値観についても、自然との調和、生活の質や潤い、安全・安心、地域の中での人との関わり合い、心の豊かさを求めるなど、成熟化・多様化していました。区では、個人の意識や価値観については、「世田谷区基本計画」や「世田谷区地域行政推進計画」などにおいて、「多様性の尊重」という観点から、個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、エル・ジー・ビー・ティー・キューなどの性的指向及びジェンダー・アイデンティティ、国籍、文化の違いや障害の有無などに関わらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築いていくとしています。 まちづくりにおいては、これまで、福祉的環境整備を進めてきた梅ヶ丘駅周辺地区など、すべての人にやさしいユニバーサルデザインの考え方によるまちづくりを進めてきましたが、より広い多様性の視点によるまちづくりへの対応が求められています。 区では、障害の有無に関わらず、誰もが楽しく遊べる公園づくりに向けた取組みの一つとして、インクルーシブ遊具の設置を進めています。また、高齢者や障害者の移動を支援する新たなモビリティなど、多様化する移動手段と歩行者が共存できる安全対策やインフラ整備の取組みを進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに 歩道と施設の敷地の段差解消、連続した誘導用ブロックの敷設(梅ヶ丘駅周辺)の写真と、インクルーシブ遊具を設置した公園(区立岡本公園)の写真を掲載しています) 地域・住民が主体となるまちづくり 「都市整備の基本方針」策定時は、まちづくりの進め方について、規制緩和や地方分権の進展などにより、まちづくりが区民に近い存在となり、平成25年(2013年)には国から全員参加のもと自助・共助・公助のバランスの取れた政策を検討していく必要があるとして、共助社会づくりの重要性が示されました。 区では、昭和57年(1982年)に「世田谷区まちづくり条例」を制定し、その後、平成3年(1991年)の地域行政制度の発足、平成6年(1994年)の「世田谷区基本構想」の改定などを受け、各地区の特性に応じたまちづくりや世田谷まちづくりセンター(現在の世田谷トラストまちづくり)、世田谷まちづくりファンドの設置等へ対応するため、平成7年(1995年)に条例を改正し、区民・事業者・区が協働した区民主体のまちづくりを進めてきました。 また、「地域整備方針」では区民・事業者・区が協働し、まちづくりを優先的に進める地区として「アクションエリア」に位置づけ、まちづくりを進めてきました。地区のまちづくりにおける区民との協働による取組みでは、機会を捉え子ども参加によるオープンパークやアンケート調査等の取組みを実施しているほか、様々なまちづくり活動団体・大学・事業者等が連携した取組みや、事業者を中心とした自主的な取組みなど、様々な主体によるまちづくりも進められています。 こうした次代の社会を担う子ども・若者のまちづくりへ参加する機会の創出、様々な主体の取組みに対する区の支援などの対応が求められています。 地域における区民に身近なまちづくりや公園づくり等においては、子ども・若者の意見聴取やまちづくり等への参加に向けた取組みを、機会を捉えながら進めていきます。また、民間企業等との官民連携や、エリアマネジメントの取組みなど、様々な主体との連携を進めるとともに、様々な取組みに対する区の支援を進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに子ども参加によるアンケート調査(代田地区)の写真と、二子玉川でのエリアマネジメントの取組み(多摩川河川敷を活用したキッチンカー事業)の写真を掲載しています) 都市財政の逼迫 「都市整備の基本方針」策定時は、日本が成熟型社会へと移行し、高度成長を遂げた時代のような経済成長が見込めない中で、福祉部門の支出や公共施設の維持・管理・更新のための支出が増えるものと想定していました。 区の財政状況は、新型コロナウイルス感染症対策や物価高騰等への対応から歳出額が増加したほか、今後も子ども・子育て関連施策の充実や超高齢社会への対応をはじめ、多様な行政需要等への対応が求められています。 区では、将来的な財政見通しに基づき、公共施設を管理・保全・更新するため平成29年(2017年)3月に「世田谷区公共施設等総合管理計画」を策定し、令和6年(2024年)3月には一部改訂を行ったほか、財政負担の軽減や公共サービスの向上を図るため、平成29年(2017年)4月に「世田谷区官民連携指針」を策定し、民間企業等と区の連携を推進するなどの取組みを進めてきました。 さらに、多様な行政需要に対応するための人材需要も増加し、限られた人材の中で効率よく対応していくことが求められており、デジタル技術の活用などディーエックスの推進による業務の効率化及び多様な主体との協働や公的サービスの提供を民間に委ねるピーエフアイ手法等のほか、施設管理を事業者に包括的に委託する包括管理業務委託の検討など、民間活力を活用した外部委託化なども進めていきます。 さらに、6つの「世田谷区をとりまく状況」に加え、この間の社会情勢の変化などにより、対応が求められる「新たなとりまく状況」として以下が挙げられ、これらについても区の行政全般に係る基本的事項として考慮しながら、まちづくりを進めていきます。    持続可能なまちづくりの実現 エス・ディ・ジーズ(持続可能な開発目標)とは、平成27年(2015年)9月の国連サミットで採択された、持続可能な世界の実現のため、包括的な17のゴールと169のターゲットで構成された、令和12年(2030年)までに世界中で取り組む国際目標です。 区では、「世田谷区基本計画」において、エス・ディ・ジーズのゴールと各分野別政策との関連を明らかにすることで、関連性を意識しながら分野横断的な施策展開を図り、持続可能な社会の実現をめざしています。 まちづくりにおいても、「世田谷区基本計画」で示した、各分野別政策と関連するエス・ディ・ジーズのゴールを意識しながら、都市整備領域の分野別整備方針・計画に基づき施策を進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに世田谷区基本計画の分野別政策に関連するエス・ディ・ジーズのゴールと本方針に関連する個別計画等の表を掲載しています) ディーエックスを推進するためのデジタル技術の活用 区では、「世田谷区基本計画」に基づき、時代に即したデジタル技術の活用によるディーエックスの取組みを推進しています。 国においては国土交通省が主導するスリーディ都市モデルやオープンデータ化プロジェクトであるプラトーの構築が進められています。区においてもジーアイエスオープンデータの提供や、スマートフォンのアプリを活用した区民等から道路・公園の損傷、異常箇所の通報を受け付けるシステム導入のほか、特定地域の来訪者属性分析等として人流ビッグデータを活用試行するなど、デジタル技術を活用した取組みを進めています。 まちづくりにおいても、三軒茶屋や下北沢において、区民との意見交換のツールとしてデジタル技術を活用した双方向のオンライン会議を実施するほか、障害のある方への参加機会の提供として、音声コードや音声読み上げ機能などを活用した情報提供、区民意見聴取におけるオンライン受付の取組みなどを進めています。 さらに、まちづくりにおけるデジタル技術の活用の検討や、アイシーティーの活用による交通手段の多様化をめざすほか、様々な世代や障害の種別等に応じた適切な情報提供、意見聴取や意見交換などのツールとして、デジタル技術の活用についても検討していきます。 Aまちづくりに係る新たな要素への対応  区をとりまく「まちづくりに係る新たな要素」について、各地域のまちづくりに密接に関わる主なものは、地域特性を踏まえ、「地域整備方針(後期)」の「地域のテーマ別の方針」や「地域のアクションエリアの方針」に、適宜反映していきます。 ■官民連携 区では、区民・事業者・区が協働した区民主体のまちづくりを進めており、公共サービスの更なる充実をめざし、民間企業等との官民連携による取組みを進めています。 まちづくりにおいては、官民連携の取組みとして、区民の移動利便性向上効果を目的とした民間シェアサイクル事業者と協定を締結するなど、従来のまちづくりのルールを定める地区計画や地区まちづくり計画制度などに限らず、様々な主体により地域のまちの姿を実現するためのまちづくりの取組みが進められています。 本方針における「アクションエリア」に限らず、区全体において、新たなまちづくりの取組みも含め、地域におけるまちづくりを進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに官民連携による民間施設の活用(せたがやキューズガーデン)の写真、官民連携によるシェアサイクルポートの設置(二子玉川公園)の写真を掲載しています) ■脱炭素 区では、気候変動や地球環境問題への関心の高まりの中で、「都市整備の基本方針」策定時の「まちづくりの主な課題と対応」に示していた低炭素都市づくりの取組みから、更に脱炭素社会の実現に向けた取組みを進めています。 まちづくりにおいては、地区の特性に応じて、地域づくりと一体となった地域の脱炭素化やみどりの保全・創出などにより、地域の持続可能性の向上や地域課題の解決につなげていく「脱炭素で持続可能なまちづくり」の実現に向けた取組みを進めています。 住宅都市である本区においては、エネルギー性能の高い住宅づくりや住宅における再生可能エネルギーの創出・利用を進めるとともに、エネルギーの地産地消の推進や大規模な土地利用転換の機会を捉えた地域の自立電源の整備の検討、環境負荷をかけない移動の促進、適応策となるみどりの保全・創出などにより、都市の脱炭素化を進めていきます。 ■グリーンインフラ 区では、グリーンインフラを「自然環境が持つ様々な機能を目的に応じて積極的かつ有効に活用することで、安全で快適な都市の環境を守り、街の魅力を高める社会基盤や考え方のこと」と捉え、「世田谷区みどりの基本計画」や「世田谷区豪雨対策行動計画(改定)」、「世田谷区環境基本計画」などに位置づけています。また、区と区民、事業者がそれぞれの立場でグリーンインフラに取り組むための指針として、「せたがやグリーンインフラガイドライン(令和6年3月)」を策定し、みどりの保全や豪雨対策を推進しています。 まちづくりにおいては、「地域のテーマ別の方針」の「水害を抑制するまちづくり」や「みどりとみずを守り育てるまちづくり」に位置づけるなど、グリーンインフラの観点も踏まえた取組みを進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここにグリーンインフラの取組み(シモキタ雨庭広場)の写真、グリーンインフラの取組み(区立保健医療福祉総合プラザ(うめとぴあ))の写真を掲載しています) ■ウォーカブル 区においては、平成25年(2013年)9月に策定した「世田谷区基本構想」の九つのビジョンの一つとして「より住みやすく歩いて楽しいまちにする」を掲げ、区民とともに、地域の個性を活かした都市整備を進めてきました。 国においても、人中心のウォーカブルな公共空間の必要性について、国土交通省が令和3年(2021年)5月に策定した「ストリートデザインガイドライン」においては、「まちなかの人とクルマの交通量と、それぞれに要している面積との「アンバランス」が生じていることから、道路と駐車場で区域面積の過半を占めてしまうような空間利用の現状を、人々のための空間へ転換することが必要である。」などとしています。 区では、国土交通省が募集する「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の形成をめざしたウォーカブルなまちづくりをともに推進する「ウォーカブル推進都市」について、令和元年(2019年)に賛同しました。 まちづくりにおいては、三軒茶屋駅周辺における滞在性を向上させる公共的な空間の利活用の取組みや、下北沢駅周辺においても、歩行者が主体の安全・快適で、回遊性のあるまちづくりに取り組んでいます。引き続き、各地区の特色や資源を活かしながら、区民の健康増進にもつながる「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の形成に向けて、ウォーカブルな視点に立った取組みを進めていきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに公共空間を活用した社会実験(三軒茶屋駅周辺)の写真、小田急線上部利用による歩行空間の創出(下北沢駅周辺)の写真を掲載しています) (3)これまでの取組み状況や事業等の進捗状況を踏まえた検討 「地域整備方針」の策定後、「地域のテーマ別の方針」及び「地域のアクションエリアの方針」に係る、概ね10年間の地区計画や地区まちづくり計画等の策定状況やまちづくりの取組み状況、関連する事業等の進捗状況を整理し、各地域や地区における今後のまちづくりの方向性や方針を検討します。 (4)各地域の区民意見の把握 「地域整備方針(後期)」の策定に当たり、各地域において実施した、区民アンケート調査や意見交換、オープンハウス、意見募集等により、区民意見を把握した上で、見直しの検討を行います。 なお、令和4年(2022年)9月に制定した「世田谷区地域行政推進条例」に基づき、令和5年度(2023年度)に実施した車座集会やタウンミーティング等におけるまちづくりに係る区民意見も把握した上で、各地域や地区における今後のまちづくりの方向性や方針を検討します。 U.計画期間と次期改定に向けて 「地域整備方針(後期)」の計画期間は、令和7年度(2025年度)から概ね10年とします。 「都市整備方針」の次期改定は、「世田谷区基本構想」にあわせ、概ね10年後を予定しています。(「都市整備の基本方針」策定の概ね20年後) 次期改定に当たっては、社会情勢の変化や、今後、概ね10年を経過した時点のまちづくりの進捗状況等を踏まえ、「都市整備の基本方針」及び「地域整備方針(後期)」について全面的な改定を実施します。 なお、今回の見直しに当たり、「地域整備方針(後期)」の「はじめに」において整理した、「世田谷区をとりまく状況とその対応」や対応が求められる「新たなとりまく状況」については次期改定(全面改定)に向けて検討を進め、適宜反映していきます。 (なお、PDFファイル版では、ここに都市整備方針の計画期間と改定の考え方の図を掲載しています) 表紙、目次、はじめに、の内容は以上となります。 最後に、奥づけになります。 発行は、世田谷区 編集は、総合支所 まちづくり課、都市整備政策部 都市計画課 問い合わせ先は、都市計画課 電話番号:03-6432-7174